
女性専用のレンタルフレンド業を行っている主人公が出会った依頼人たちの物語。連作短編集だけれど、物語のひとつひとつが種類が違っていておもしろかった。
1話目の一緒にスイーツビュッフェに行ってほしい女子大生の香澄の話で大学のゼミの友人って難しいなから始まって、人間関係をメインに持ってきながら最後はミステリー仕立ての話で終わるのが面白い。
友達のいない人に、友達の斡旋を
こういうのって結婚披露宴のような人生の一大イベントが多そうだけれども、この物語の主人公は、もっと些細な『一緒にスイーツビュッフェに行ってほしい』『月イチで一緒に映画を見てお喋りをしてほしい』といったものも対応してくれる。
ただ、そんなスイーツビュッフェを一緒に行ってくれる人を求めている人にはその人なりの事情と背後関係があり、観劇に付き合ってほしいというメイクアーティストもその人としての事情があるのが面白かった。
これ、主人公である七実の性格の良さと地頭の良さで出来てる仕事だよなー。
依頼人の本当の友人や知り合いと出会った際にアドリブで話を回して場を繋ぐ機転の良さと、すぐさま依頼人の懐に入り込む人当たりの良さ。なかなか心を開いてくれない依頼人に気を使わせちゃったかな? と考えられる性格の良さ。
人によってはメンタル完全に病むだろう仕事内容を楽しげにこなしている七実に、こういう友達をふとしたときにレンタルしてえ~~~! って思ってしまった。
でも七実は絶対ズブる人がいそうなタイプの気の利かせ方をするので、もし相手が男性な仕事だったらやばかっただろうな。絶対刃傷沙汰になっていそう。この人って本当に私を好きなんだって思わせる能力の高さは職業人としての強さにもなるが、同時に感情労働の場合は相手が依存してくる可能性がありそう。とても怖い。そしてそういうときに七実は相手に優しく言いそうで、それでまた事故りそう。
連作短編としておもしろかった。シリーズとしてこの先どうなるんだろうと主人公の成長や変化に期待する感じはないんだけど、短編として1本を読んだときにこの物語や依頼人はこの先どうなるんだろうって感じがすごくあっておもしろかった。