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「フェアリーフェンサー エフ ~砂塵のマントを纏う者たち~ (桜ノ杜ぶんこ)」鐘弘亜樹

良質な二次創作#

原作ゲームはプレイ済み。その上で言うと、本当に良質な二次創作。

キャラクターの立ち位置はだいたい原作通り。
ファングと相棒のティアラ、協力者的立ち位置のティアラ。さらには情報屋のロロ、ドルファのマリアノ、勇者ピピン等も登場する。
どれもこれもが見覚えあるキャラクターたち、ゲーム本編と遜色ない性格と立ち位置ながら、物語の内容だけは違う。

この物語で描かれるのは、ゲームでは存在していない……というか存在出来ないエピソードだ。
ファングらとマリアノ・ピピンの初邂逅の物語。
とある古びた村にフューリーがあると聞きつけたファングらが向かうと、そこにはドルファから派遣され同じくフューリー回収に訪れていたマリアノらがいる。村長はフューリーを与えるための試練を課すとして、彼らに芋掘りや草取りなどを命じる――という物語。
本編中には存在しない話だ。

けどこれがまた面白いんだなー!!!

草取り面倒でろくにやらないファング&アリン! マリアノ側の草を横から奪えばいいじゃんと姑息な手段を開始するファング&アリン! うわこれ原作ゲームでめっちゃありそう! 超ありそう! その絶妙なショボさとセコさ!!!!
と、読んでいてめちゃくちゃテンションが上ってしまった。

本当に良質な再編集二次創作なんだよな……。
めちゃくちゃ笑ってしまったしありそうすぎて最高だった。そしてそこから始まるドタバタも、何から何まで最高。

個人的にはマリアノ様が子供に優しいとこが描かれててそこ~~~~!!! それ~~~~~!!! となった。
ゲームでマリアノ様が孤児院で演奏しているシーンがめっちゃ好きで……。そんなマリアノ様だからこそ、村長の孫の声にちゃんと気づいて彼のために動けたのだなと思う。
原作ゲームではあまり濃くは描かれないマリアノ様の内面が描かれたこと、共闘がめっちゃ格好良かったこと、どれをとっても最高だった。

ところで、この良質な二次創作というか、完全再編集のやり方というか、このあたりは見覚えがある。そう、小説版仮面ライダーディケイドだ。
あれも、発売直後は「ディケイドに思い入れがない人が書いた室の良い二次創作」だのなんだの言われていたし、私もそれを読んでめっちゃわかる……となった。
この作者である鐘弘亜樹氏と原案井上敏樹の組み合わせがまんまディケイドと同じなんだよね。

というか、小説版仮面ライダーの井上敏樹絡みがだいたいそれというか。
具体的に言うと、アギト・龍騎・555(これは異形の花々再録+書き下ろしだからまたちょっと違うけれど)・キバあたりかな。どれもこれも再編集だった。
ライダー・ライターによっては再編集ではなく本編の続きのものもあるなかで、ちょっと異質さすらある。
しかし、小説だけ読んで理解出来るという意味ではとても良かった。

あとがきで、鐘弘亜樹先生が井上敏樹氏にお寿司食べさせてくれてありがとうございました、と書いているのめっちゃ笑ってしまった……。鐘弘亜樹=井上亜樹子=井上敏樹氏ご息女だよね? 笑ってしまった……。