「クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話 (HJ文庫 し 09-02-01)白乃友」ご都合主義がどんどん気にならなくなっていく面白さ

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クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話 (HJ文庫 し 09-02-01)白乃友

クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話 (HJ文庫 し 09-02-01)白乃友

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あらすじ

今日も教室で同志達とオタク話にいそしむ高一男子、風見鳳理。
彼には秘密がある。モデルもこなすクラスの人気者香月桜は義妹であり、同居中であり、恋人同士なのだ。
学校では鳳理と適度な距離を保ちつつ、鳳理ラブとオタク趣味がバレないように頑張る桜だったが、家ではアニメを見たり、コスプレをしたり、鳳理の手料理を食べたりとラブラブで!
「お魚の煮つけ、おいしー!」
そして今日も楽しい2人の夕食の時間が始まるのだった。

ずいぶんとタイトル・表紙から受ける印象と中身の内容が違わない!?

てっきりクラスの一番可愛いギャルにひょんなことから飯を食われてあまり料理が上手ではない彼女のために飯を作る話になるかと思いきやまるで全然違った。こんなことある??
個人的にはかなり面白かったしKindle Unlimitedで気軽に読んだから良かったんだけど、お金払って買ってここまで予想と違ったらなんじゃこりゃになるかもしれん。あらすじと試し読みを読んでから買え、それはそう。

義理の兄妹で恋人の二人

両親の再婚から義理の兄妹となった二人が恋人となり、両親が海外に行くことになり日本で二人っきりの同棲生活、学校には兄妹ということを内緒にしたまま、学校ではオタクとギャルの親しくないクラスメイト、家では兄妹で恋人という物語だった。
冒頭にこの設定が出てきたときにはかなりご都合主義の盛り合わせかな? と感じてたのに、読み進めるうちにどんどんその要素が気にならなくなっていくところがすごい。

物語の前半は、すでに恋人として出来上がっている二人の日常ラブコメ。モデルをしているヒロインで妹の桜は実は家ではコスプレをするようなオタクで主人公の前でのみコスプレをしていたり、近場で唯一二人の関係性を知っているご近所さんのカップルにお呼ばれして料理をすることとなったり。
こういうイチャイチャ物ってたいていだらだらなんとなく続いているなーという印象になりがちなのだけれども、どの話も起承転結しっかりついてて、盛り上がったり「そうなるか!」とひっくり返してきたりでとにかく面白かった。

ご近所さんカップルにお呼ばれして料理をすることになる話がすごく好き。この回で、どちらかというと桜からの恋愛感情のほうが多そうに見えるのが、実際は主人公側も彼女から好きでいてもらうために努力しているというのがわかる
好きな人に好きでいてもらうために頑張る話に弱いんだよ!! そんなん大好きに決まってる。さりげない努力をいくつも重ねて彼女に好きでいてもらうために頑張ってる主人公なんて最高に決まってる。

ところで桜が家では主人公を「お兄ちゃん」って呼んでるのがヤバさを増してくる。「お兄ちゃん大好きー!」って言ってくる妹だけど、でも恋人。そういうこともおそらくこなした恋人。背徳感がマシましじゃないか。せめて恋人関係になった時点でお兄ちゃん呼びをやめさせるとか無かったのかよ。いいぞもっとやれ。

ギャルを嫌いなオタクなんて、いる

たいていギャルを嫌いなオタクなんていません! だし、陽キャでクラス内カースト上位のギャルに構われいじられるのはご褒美です! みたいなノリが定番のこういう話において、ギャルに構われたくない、俺達3人で楽しくやっているのにイジってほしくない、見ているアニメのOPを勝手に大音量で再生してほしくないという要素が来るの、結構予想外だし確かに。納得。
陽キャのオタクいじり嫌なのに、創作上のギャルだと受け入れられて喜ばれるのが当然と思ってしまいながら読んでたので、主人公の友人たちが「むしろどっちかというと嫌い」とまで言い出したあたりで驚いたけれども、考えてみればひっそりとしたいところをイジってくる人なんて怖いし嫌だよな。
考えてみれば4話で友人があげた好きな子で桜じゃなくて桜の友人ギャルなあたりでそこらへんの伏線は出てたのかも。

そこから始まる後半のシリアスな過去話も面白かった。前半で桜が『お兄ちゃんだけいればいい、友情はステータスでしか見ていない』的な状況であると説明されたときに、うわー強烈な恋人だけ女で嫌なやつだな~と認識してたんだけど、それが綺麗にひっくり返された。おもしろ。
クラス内で中心的存在だったが、本当に些細な、本人すらどれが原因なのかわからないような理由でハブられてしまったら、他人との関係性なんてステータスとしか思えなくなるし、そのときに助けてくれた主人公はヒーローにも思える――というところからもう一回転あって本当に面白かった。

タイトルとの乖離やご都合主義部分

タイトルで想像していたギャルと一緒にご飯という要素からはかなりかけ離れ、でも予想外にめちゃくちゃおもしろい話だった。
料理要素もあるし結構しっかり描かれてるんだけど、それ以外の部分が強すぎるのでさほど印象に残ってないのはちょっと申し訳ない。飯は全部うまそうです。

『クラスの気になっていた女子と両親の再婚により義理の兄妹となる、両親が海外に行くため二人っきりでマンションに同棲、学校には兄妹だと話していない、家では兄妹で恋人だけど学校ではただのクラスメイトのオタクとギャル』なんて設定、あまりにご都合主義の塊すぎる。特に両親が海外に行って二人っきり同棲になるあたりと、学校に兄妹だって伝えてないあたり。いや普通にバレるやろがい。住所同じだろうが。
でもご都合主義部分が気になるのって、それだけ物語にのめりこめてないから粗のほうが目についているからという場合が多い。
この話はもちろんご都合主義的ポイントが本当にたくさんあるんだけど、1話1話で起承転結をキメてきて、なおかつ全体でも前半ラブコメ後半シリアスとキメてくる物語の形が面白くてご都合主義なのがどんどん全然気にならなくなっていった。

えー本当にめっちゃくちゃ面白かった……スゴ……好き……。

クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話 (HJ文庫 し 09-02-01)白乃友

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