
前の巻では飛び級天才少女(8歳)のひめと仲良くしているうちに懐かれて「お兄ちゃんになってほしいからお姉ちゃんと結婚してください!」とお願いされた陽平。
今回は陽平がひめや聖と過ごす夏イベントの巻。
余談だけれども、陽平が聖を『よく親しく会話するが、仲が良いというほどでもない距離感』と認識しているのは面白かった。そのぐらいの距離感なんだな。さっぱりしている。
ひめの恋愛感情がすくすく育つ
前の巻を読み終えた時には、てっきり『飛び級天才美少女をだしにして、ポンコツながらも妹と仲の良い姉とのラブコメ』であり、その割にはひめがラブコメヒロインのイベント全てこなしているが、とはいえメインヒロインは姉である聖でしょって思ってた。
これはひめが8歳で聖と陽平が17歳と年齢差がかなりあること、陽平がひめの保護者視点で守っていたことから来てたんだけど、2巻はかなりひめの恋愛感情にスポットをあてて来ていたので驚いた。
陽平と一緒にいるとはしゃぎすぎて疲れちゃうひめが、ものすごく8歳の年相応の子供で可愛いんだよなあ! 聖といるときはしっかりした8歳なんだけど、陽平といるときははしゃぎ倒す8歳という年相応の様子が見られて可愛い。大好きな年上のお兄さんと遊べるの、楽しいよなあ!
家に来てもらってはしゃいだり、でも陽平が聖と親しくしているといじらしく自分を構って欲しがったりと、ずーっと陽平が大好きなお兄ちゃんなのが示されていて読んでいてたまらなく可愛い。こういうのがいいんだよこういうのが……。
プールに行って大好きなお兄ちゃんに手を握ってもらったり、泳ぎ方を教えてもらったり、絶対最高に思い出になるだろうなと微笑ましくなってしまう。この年になるとこのぐらいの子供の愛らしさがたまらねえ……。
それが中盤あたりから、ひめの恋愛感情が恋愛感情として示されだす。
陽平に対してうっすらとした恋愛感情を持っていた聖が、もしかしてと訝しんでひめに確認し、やっぱりそこにあるのは恋愛感情だと確信する。親愛と恋愛の区別がつかない(もしくはついていないと自己認識させている)が故に自覚していないひめに対し、自分の恋を叶えるためならひめには自覚させず、『大好きな陽平と大好きな聖が結婚して妹になるのが一番幸せ!』と思わせ続けた方が良いのではないかと葛藤。けれども妹が大事なお姉ちゃんはひめに自覚させ、告白を促す。
ここで聖がうっすらと陽平に恋愛感情じみたものを持ってたところに驚いた。読んでいて、聖から陽平への感情って、ひめという大事なものを守る保護者としての同族意識だと認識していたので、淡いとはいえ恋愛感情があるのか……いやまああるか? あってもそりゃそうか……あまり親しい異性がいない人間で突然身近に来た人だもんなあ、そうなっちゃうか……。
とはいえ、そこでひめを優先できるのが聖の強いところだなと。同時に妹大事なところだなとも。
聖ってシスコンではあるんだけれどもベタなシスコンではないのが良いんだよね。妹が恋愛するのは許さない! とか、妹が誰かの恋人になるなんて! と恋愛を妨げる方向へ行くのではなく、ひめの恋愛を素直に応援してくれる。そっちのほうが姉妹・兄弟関係としては正常な距離感ではないのかなあ。というか、妹の好きな人を否定して貶めるやつはそりゃあ妹から好かれるかと行ったらそうはならんやろ。
勉強関係では妹に負けているようなポンコツな部分もあるけれども、人の良さで今まで周囲から愛されてたんだろうなってすごく感じるんですよ……。良いやつだ……。こういう子が幸せになる話が欲しいよ……番外編とかでどうにかならないですかね……。
そうして夏祭りでのひめからの告白。陽平がここで即座に答えず一旦待ってねって置いておくの、かなりわかる~~~~~なんだよな。年齢差9歳、健気に懐いてくれる年下の女の子。自分を好きという様子は見せてくれているけれども、どう応えるのが正しいかわからない。年上のお兄さんに甘える感情もあるだろう、あこがれが恋愛感情になったかもしれない。そういうひめのことを色々考えて迷っちゃうのもわかるんだよな~~~~~。どう答えたら傷つけないで済むかわからないし。
と思ってたので、告白受け入れたのにめちゃくちゃびっくりしてしまった。え、いや、大丈夫なんかいこれ。お、おう……マジか……。
年齢差9歳のおにロリモノへ
あとがきでも書かれていたとおり、この年齢差ではっきりした関係性の変化ってかなり冒険だし驚かされた。というか、ヒロインが8歳の時点で、いくら大人びていようとも恋愛対象にはならなくない!? と思ったので。
ひめは確かに大人びていて、学力も17歳の高校2年生に混じれるほどにある。けれどもプールに行った時のはしゃぎようや夏祭りでのはしゃぎ方は普通に8歳。それで恋愛対象として見れるの!? マジで!? という部分がでっかいかもしれない。8歳って本当に子供だよ……?
10歳差って、成人した同士の恋愛ものなら理解できるというか、ラノベでもあるものだと思うんですよ。このあたり望公太先生が爆裂書きまくっているとおり。年上上司~の成人同士、ママ好きの大学生と成人女性。年カノは高校生と成人女性の干支一回り違う系ラブコメだけど、ある程度こう、人格形成されているし。
でも8歳は……となってしまう。さすがに8歳は。
8歳って、特に優しくしてくれた年上のお兄さんにときめいちゃって好きになりかねない年頃だし、それが恋愛感情といえるのか? 少なくとも17歳の持つ恋愛感情と同じものとして判じていいのか? とはいえ8歳の子の持った恋愛感情を違うと断じて切り捨てるのも違う、しかしいやだから……と、読みながらめちゃくちゃ頭を抱えてしまった。
陽平の恋愛感情の自覚も幾分聖から誘導されたものであり、『妹として一緒にいたいのか彼女として一緒にいたいのかわからない』という陽平に対し、聖が『私と結婚してひめを妹にしたいわけじゃないということはそういうこと』と来てるので、それは全くひめへの恋愛感情の証左にはならなくない!? ともなるし……。
陽平のそれも庇護欲であり、聖への恋愛感情もないがひめへの恋愛感情もないってのも全然成り立つのでは? と考えてしまう。
陽平だったらこの先のひめへの対応も間違えたりしないし、ひめが誹謗中傷の的にならないように動いてくれるだろうとは思うけれども、でも17歳と8歳。どう考えてもよろしくない視線にも晒されるでしょ……。
陽平なら大丈夫だろうとも思えるのに、不安感はめちゃくちゃある。この先がどうなるのか怖いのほうの話だな。
それとこれは完全に自分がうーんとなってしまったポイントなんだけれども、幼女という言葉にネットミーム的な意味合いが付きすぎているので、メインヒロインを本当にひめにするならば幼女という言葉は使わないでほしかったなーとも思う。
お前が幼女という単語をそういう目で見てるだけなんでしょープークスクスと言われれば本当にそれまでなんだけれども、本来の言葉の意味の他にいささかいかがわしい色合いや斜めから見るような色合いが含まれてしまっているので(特にラノベなどサブカル方面だと)、陽平がひめを真摯に向き合っているほどに少女と書いてほしかったよと考えてしまう。でもタイトルで少女というよりもかなり幼い子供だと出したいんだろうなーと思うから難しいんだろうな……。うーん……。