転生魔王のジュリエット (ファンタジア文庫) 久慈 マサムネ
あらすじ
北方魔族に対抗するため、中立地帯に存在するグランマギア魔法魔術学院。
そこで俺、平民出身魔術師・ハルトが告白されて付き合うことになった相手は―敵国の姫・イリスだった。
人の前では宿敵を演じ、2人きりなら可愛く甘えるイリス。
彼女に惹かれていくうち、残酷な秘密を知る。それは互いが「魔王の半身」を宿し、結ばれると世界の滅びをもたらすこと!?
しかも、俺たちを強制的に結ばせようとする組織まで現れ…
「それでも私は、この気持ちに嘘なんてつけないわ」
身分も、しがらみも、世界の終末も、「好き」の前には関係ない。彼女のために、立ちはだかる全てを俺は打ち砕く!
好き好き大好き愛しあってる!な二人の間にある呪い
いや……これ……可愛い……。
この二人は結婚してほしい! でも二人がくっついたら魔王が復活してしまうから結婚できない! ああもう! はやく結婚しろ!(できない)
シリアスとラブとコメディの割合が最高に良かった!
作者さんが作者さんなのでどのぐらいえっちぃのかなと若干不安視してたので書いておくと、
胸を揉む、胸に顔を突っ込む、尻を揉む、主人公拘束された状況でヒロインが胸もろだしで主人公の上に乗っかる、ヒロインの入ってる風呂に転移ワープで主人公が落ちてくる
だった。これが倫理アウトな人はやめたほうが良いかも。
個人的には、相思相愛カップルのほぼ合意の上での恋愛エッセンスだったこと、主人公は倫理に反している内容は思いっきり拒否りまくってること、呪いだという前提があることによりセーフです。
魔法学園には4つの国の民が集まっている。そのうち過去に敵対していたアブソリュートとブレイズ。ブレイズの筆頭魔術師たる主人公と、アブソリュートの王女様であり実力者であるヒロインは、顔を合わせるたびに喧嘩をするほど仲が悪い。
――というのは仮の姿。実は互いに一目惚れでお付き合いをしていた。立場上表立ってイチャイチャは出来ない二人だが、それ以外にも二人が表立って付き合えない理由があった。
二人はそれぞれ自らの身に魔王の半身を宿しており、二人がくっつくたびに魔王が復活するかと魔物たちが大喜びし集まってくる。二人の接触が大きくなるほど魔物もたくさん現れる。つまり、ふたりが寝たりなどしたらもう大変! そして魔王の半身は早く復活しようと頑張って二人をラッキースケベに合わせるのだ! ――という物語。
面白かったー!
メインカップルがもう可愛いのなんのって。
ビジネス不仲が好きなので、授業中ではひたすら敵対、何があっても敵同士、顔を合わせれば口喧嘩、ときには武器も魔法も出るレベルの二人。なのに二人っきりになった途端に語尾にハートがつくレベルのイチャイチャっぷり相思相愛になるのが可愛すぎた……。ギャップ可愛い。
ヒロインが二人っきりのときは「ハルトくん!」とくんづけしちゃってるのが可愛いんだよな……ああもう……可愛い……。
「何だ、お姫様がじきじきに相手しようってのか? 光栄すぎて苦笑いするしかねえな」
教室の気温がぐっと下がり、イリスの周りにキラキラと光るものが煌めいた。
イリスの放つ冷気が、空気中の水分を凍らせている。
「なめるなハルト・シンドー。アブソリュートの王位は強さの証。強くなければ、頂点には立てないわ。アブソリュートの筆頭魔術師であるこの私に、貴様ごときが勝てると思っているの?」
こんな二人が、ひと目のないところでは
「分かってはいるが、俺達の中の魔王の半身が、お互いを引き寄せる。本能みたいなもんだ。ガマンしようと思っても、なかなか難しい」
「だからといって、普通のカップルのようにベタベタするわけにはいきません! 私達がイチャイチャすると、それだけ世界が破滅に――」
「だったらなんで、さっき抱きついてきたんだよ……」
「うっ! そ、それは……」
イリスは言い訳に困った。
「ハルトくんの顔を見たら、うれしくて……なんだかガマンができなくなっちゃって……気付いたら、飛びついていたの……」
あーーーかわいい、はーーーーーーかわいい!!!!!!!
そんな二人の間にあるのは魔王の呪い。この呪いがあるせいで二人は手を繋ぐことすら戦闘と隣合わせで、抱きしめあったら魔物ご登場。えっちぃことするなんて夢のまた夢。
この加減がかなり面白かった。やった! 会えた! とヒロインが抱きついてくる状況で慌てて剣をかまえる主人公の可愛さよ。イチャイチャはしたいが魔物も来る! でもイチャイチャはしたい!というのが漏れ溢れている。
よくよく考えると二人が口喧嘩している最中も魔物は寄ってきていたわけで、もしかして魔物的には口喧嘩すら二人のイチャイチャ認定なのか。お前らは尊みを感じすぎるオタクか。
主人公がやること格好良くてさー! ヒロインが惚れるのもわかるんだよね。ヒロインも同じく。
きっかけは一目惚れだとしても、そこから好きだからこそ気付いてしまう可愛さや格好良さ、そういう部分で更にまた好きになって、という永久機関に陥っているの、なんかもう、かわいいね……。
どうにかして復活したい意思があるっぽい魔王がひたすら二人をくっつけようと必死でラッキースケベ引き起こしてるのも面白い。魔王が必死こいて「お前ら! 早く結婚しろ! えっちしろ!」とやってる状況なの、あんまりすぎる。
残念なのは、ビジネス不仲部分が少なめなことぐらい。でも二人のラブイチャ描く以上しょうがないのかな。ラブイチャは超満足。
ラッキースケベ
割と様々な物語で主人公にのみ都合が良いのではないか?と言われがちなラッキースケベ。しかしこの作品ではヒロイン側も望んでるというか、むしろどんとこいラッキースケベ!している状況なのが可愛いんだよね。嫌がる暴力女子なんていないんだ。
夜に密会しましょうと主人公に伝えるヒロイン。もうすぐ彼が来ると思ったヒロインが、「きっとラッキースケベが起きるから下着が見られる、なら可愛い下着を選ぼう!」と考え始めるところがもう。好きすぎるでしょ……。そしてラッキースケベを前提にしすぎでしょ。
なにせ、ハルトが来るのだ。
また転生婚礼が発生するかも知れない。いや、起きるに違いない。
だから下着を見られる可能性は高い。
ハルトに見られてもいいように、むしろ、ドキドキしてもらえるようなのを――と思って、選びぬいたのに、汗をかいたのならこれも替えなければならない。
好きな相手に可愛い下着を見て欲しい!ドキドキしてほしい!ってもう可愛すぎでしょ……。
ヒロインのほうが魔王の呪いによる催淫状態になっているときが多いとはいえ、ヒロイン側がかなり積極的で可愛い。彼女のほうが「この呪いがあるからえっちできない!」といった発言が多いし、もう一刻も早くイチャイチャしたいんだろうな。
見知らぬ誰かやなんとも思ってない男と発生するラッキースケベじゃなく、愛し合う二人の間に発生するラッキースケベ(しかも普段はあまりふれあえない立場)、完全に恋のエッセンスになっている。もうお前ら早く結婚しろ……。
ラッキースケベって結構「どう考えてもその体勢にはならないだろ!」みたいな状況が発生しがちなんだけど、この話は『そういう呪いなんです!』『そうなるように引き寄せられてるんです!』で押し通すので、そのあたりの違和感は持たずに読めるのも良かった。
魔王の呪いと暗躍集団
魔王の呪いなんてものがあるなら魔王を復活させようという集団もいる。そして彼らが魔王を復活させるために必要なのは、魔王の半身同士が接触することである。
つまりは二人がえっちするために頑張る集団。……アホかな……。
傍からみたら気が抜けるぐらいにアホな状況を頑張って起こしてくれる集団である。
廃教会にそこだけ清潔なベッドを配置し、それじゃ駄目なら天蓋付きふわふわベッド。他人に見られているのは嫌だろうからとわざわざ天蓋を閉めてくれる優しさ。
めちゃくちゃに笑ってしまった。まあそうなんだけど、そうなんだけどな!? そうなんだけど、魔王を復活させるためにやることが10代の少年少女が致すように頑張ってお膳立てすることって、むちゃくちゃすぎるだろうが!!!
魔王の呪いは二人が愛し合ってくっつくようにすること。そのため二人の感情は作り物では?という疑問をかなり序盤から勝手に持ってた(参照:六花の勇者)んだけど、そのあたりも理想論と感情論で解決してくれた。
とはいえ、六花の勇者を思い出すとそこまで楽観視は……いやあ六花の勇者の新刊はどうなったんでしょうね……。
この宣伝マンガもめちゃめちゃ可愛い。
立場を考えると、最終的に二人は和平のために結婚します!オチになるのかな?
とにかくメインカップルがめちゃくちゃに可愛くて楽しかった。続きも出るなら読みたいな!!!