「マネートラップ 三流詐欺師と謎の御曹司」クロサギが好きな人には迷わずおすすめ

★★★★☆,メディアワークス文庫お仕事,クライム,現代,男同士の強感情

あらすじ

俺たちに裁けない悪はない。『博多豚骨ラーメンズ』著者、待望の新シリーズ

福岡市内でクズな日々を送る大金満は、腕はいいが運のない三流詐欺師。カモを探し求めて暗躍していたある日、過去の詐欺のせいでヤバい連中に拘束されてしまう。
絶体絶命大ピンチ――だが、その窮地を見知らぬ男に救われる。それは、嫌味なくらい美男子な、謎の金持ち御曹司だった。助けた見返りにある協力を請われた満。意外にも、それは詐欺被害者を救うための詐欺の依頼で――。
詐欺師×御曹司の凸凹コンビが、世に蔓延る悪を叩きのめす痛快クライムコメディ!

詐欺師が詐欺師を騙す物語

三流詐欺師である主人公がある日イケメン御曹司に脅されやらされたのは、とある詐欺師から金を奪い返すこと。
うまく奪い返せた主人公へ、脅した張本人である御曹司は、詐欺師から金を奪い返す会社の社員になれという。
そんなものやりたくないが金がないなどの理由でついつい御曹司の仕事を何度も引き受けてしまう主人公の物語。

詐欺師が詐欺師を騙すですぐに出てくるって言ったらクロサギ。

この物語では、拝金主義者の詐欺師と財閥御曹司がバディを組んで、人を騙した詐欺師から金を奪い取る。

詐欺師の種類は多種多様。
金の詐欺を働くやつから、若干認知症発症しかけのお隣さんからお金を借りては相手が覚えていられないのを良いことに「もう返した」と繰り返す老人まで様々。

個人的には、お隣さんを騙して50万ほど回収している老婆のおめえよくやるな!?感が好きというかなんというか。
この人自体は好きじゃないんだけど、この短編自体がかなり好きかな。

今まで自分が行ってきた詐欺の手段をうまく使って詐欺師たちを騙していく主人公の手腕は読んでいて非常に鮮やか。
また、詐欺師としての能力はあるが博打に賭けては速攻ですりまくる主人公と対象的に、必要とあればレストラン一軒ぐらい軽々と購入してしまうぐらいに金がある御曹司のやることなすことビッグすぎてそちらもある意味とても鮮やか。
金に汚いが金遣いは悪い主人公と、金遣いが荒い御曹司のコンビ、読んでいてとても楽しい。

バディの組み合わせがサイコーすぎてサイコー

利用しあっている関係性って良くないですか。
互いに相手をうまく使えるからって利用しているだけの関係性って良くないですか。
私はめっちゃ好き。

主人公は、金がもらえるから御曹司から与えられた『詐欺師を詐欺にかける仕事』をしているが、人助けなんてやりたくないし、騙されるやつが悪いと思っている。
だけど博打に負けて素寒貧になったら御曹司を呼び出して代わりに払ってもらいつつ「仕事するから!」と言ったりと調子が良い。とても調子が良すぎる。

御曹司は御曹司で金の使い方というものをわかっておらず、警察のフリをする必要があるからと車一台買って塗装したりとめちゃくちゃをする。
金に対して糸目はつけないものの、詐欺被害者にわたす金はかならず詐欺師から奪い取るという信条がある。
とはいえ、詐欺の能力などはないので、基本的に主人公に頼らざるを得ない。

こんな関係性めっちゃツボるしかないじゃん……。

互いに互いを利用する。
次第に相手をただの嫌なやつ以外に思っていく。なんらかの感情を抱いて信頼関係が築かれる。
こんなん好きになるしか無いじゃん。

男同士バディモノが好きな人は読んだほうが良いやつだった。すげえツボった。

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