「ひとでなしアルファに、白い花を (雑談屋)」野原 耳子

★★★☆☆,KDPオメガバース,恋愛,片思い,現代,男同士の強感情

あらすじ

ストーカー系不良少年α(17歳)×平凡なサラリーマンβ→Ω(32歳)

ベータとして平凡な人生を生きてきた沢木誠一(せいいち)。
お得意先である九条家に、上司の付き添いとして訪問した沢木は、突然、九条家の次男である少年に犯され、Ωへと変異させられる。

九条瑞樹(みずき)と名乗った少年は、沢木の平穏だった生活を土足で踏み荒らし、あんたは俺の番だと言ってくる。
沢木は少年に怯え、拒絶するが、次第に少年の不器用で一途な献身に気付き、複雑な感情を抱き始める。

望まずβからΩへと変異させられた男と、暴君から尽くし系男子へと変わっていく少年のお話。

アンバランスな執着責に落とされる

処刑少女で女女の巨大感情をたくさん食らったので男男の巨大感情を得たく、じゃあBLかなーということで。

BLはそこそこ読むけどオメガバースはほぼ全く読んだことがないので興味深かった。性別が変わる系なのかなと思ったらこれは特殊設定?みたいで。普通のベータはオメガに変化しないんだね。

瑞樹が子供ならではの我儘さと素直さと傲慢さを併せ持って受け好き好きしてるのがたまらなく可愛いかった。
無理矢理はしたけれど、その後家の前でちょこんと待ち続けてみたり、8時には親御さんが心配するだろうから家に帰ることと約束した上で誠一の家にあげてもらったりするあたりがたまらなく可愛い。

そういう子供ムーブされたらそりゃあ強く出られないだろうなあ……というギリギリのライン。そんな瑞樹に次第にほだされていく誠一、もうちょっと頑張れー!とも思うんだけれど、実際読んでいるとこれは絆されてしまうなあというわんこっぽさが瑞樹にはあるので負けちゃってもしょうがない。特に『良い人』の誠一には。

職場まで来た瑞樹をご飯食べにつれていく場所が普段来ないファーストフード店なあたり、この頃には完全に瑞樹を子供扱いしちゃってるのがたまらなく可愛い。

とはいえ、瑞樹のやったことは犯罪。中盤や終盤に見せる、誠一の前では隠していた凶暴さを見せるあたりがもー犯罪手前どころか完全に踏み込んでますねって感じだった。
こういった子供ならではの幼さと凶暴さのアンバランスさがすごく絶妙で良かった。

個人的に好きだなーと思ったのが瑞樹が兄に見せる感情で、家を継ぐのは兄のほうが良いだとかいうのもちゃんと全部理由があって筋が通っている。そういったあたり、兄をちゃんと見ていて好意を持っているのだろうなと感じられてすごく好き。
物語的には瑞樹兄は二人のあいだに立ちふさがる障害物キャラになっていたのだけれど、普段の瑞樹とのやり取りはきっとそんなに悪いものじゃないんじゃないだろうか。

サブキャラも魅力的。主人公上司ツンデレかわいいね……。良い上司だ……。 良いというか可愛いというか、ひたすらツンデレだった……。ツンデレに弱いのですぐ好き~~~~~~!となってしまう。

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