
あらすじ
皇帝のお薬係、解任の危機!! 『おいしい』薬で後宮の謎に迫る――!
皇帝・朱心から妙に気に入られ、専属のお薬係に着任。
さらに、官女から貴妃に昇格した英鈴。
ところが、後宮内にて最近『英鈴特製の安眠茶』が出回っているという噂が。
身に覚えがないのに、薬茶を飲んだ嬪が中毒症状を起こしたことで「毒を売りつけられた」と騒ぎになってしまう。
しかも、そのせいで皇帝のお薬係を解任されることに。
窮地に陥った英鈴は、身の潔白を証明するために後宮内を探り始める。
しかし、薬茶の正体を掴むと同時に、踏み込んではいけない『5人目の妃』の謎が絡んできて……?
後宮だったらそりゃああるよね、女人間関係バトル
1巻では疫病という自然の災厄と戦っていた英鈴だけれども、今回戦う相手は人間関係。そりゃあ後宮モノだったら他の妃と戦うのは当然でしょう! というノリで始まってくる。
1巻で英鈴や雪花を陥れた妃が、可愛がっていた子犬を助けてもらった恩から英鈴の味方となって気遣ってくれる展開はすごく良かったな! 英鈴の頑張りや薬の知識が、しっかり英鈴の味方になってくれている。
雪花もだけれども、英鈴の良い行いが彼女のもとに戻って来るっていう展開はやっぱり好きだしアツい。
今回は誰かがこっそりと毒を使い、薬に詳しい英鈴が自作自演で自分の株を上げようとしているのでは? という疑念が後宮内にはびこっていく。ここにおいて1巻で助けた妃が味方になってくれるのって、他人からの株がろくにあがらない状況でも英鈴が彼女を助けたからなんだよな~~。情けは人の為ならずをまっすぐ行っている。
その自作自演疑惑と言い、実際に英鈴が人を助ける流れといい、英鈴には誰よりも毒や薬の知識があるという前提で物語が進んでいくのが良かったし、それを利用して事件を解決に導くのもすごく格好良かった!
やっぱりギリギリに突然チートが湧くよりも、現状手元にある情報や能力をうまく利用して活躍していくのって面白いよ……。
任せてくれる朱心、良いなあ
それなりに(主に人間関係で)危険に陥る英鈴だが、朱心は助けてくれるどころか放置して「お前が解決しろ」と言い渡す。これって英鈴を信頼しているから出来ることだと思うんですよね。
朱心的には英鈴がいなくなったらそれなりに困るわけじゃん。英鈴に何かあったら自分の薬が苦くなるし、なによりこの先も多発するだろう疫病、また何かあったときに最もさり気なく使われやすい暗殺アイテムである毒・薬に対応できる腹心がいなくなる。
そんな状況ながら英鈴に任せて解決しろというの、信頼だと思う。やろうと思えば一応皇帝の権力であれこれ出来ないわけじゃないからね。
一応名目上は日和見でのんびりとした皇帝だからあんまり手出しできないし動かせないという話ではあるけれども、やろうと思えば燕志みたいな動ける人はいるし、燕志が更に下の誰かを使えばもっとバレずにやれないこともない。
そうしないのは英鈴自体が朱心にとって使えて有能な手駒だからなのもあるんだろうなって思う。英鈴と朱心の関係性ってバディというか戦友というか上司と部下であって、あんまり皇帝と妃ってかんじじゃないね。それが良いんだけど。
