「【恋バナ】これはトモダチの話なんだけど ~すぐ真っ赤になる幼馴染の大好きアピールが止まらない~ (電撃文庫)戸塚 陸」設定は面白いのに中身が全く刺さらなかった
あらすじ
両片思いの二人が繰り広げる探り合い――悶絶必至の〈恋バナ〉ラブコメ！
「友達から聞かれたんだけど……蒼汰ってどんな子がタイプなの？」
悩める高二男子・瀬高蒼汰はある日、幼馴染で片思い相手・藤白乃愛から珍しい相談を受けていた。
「乃愛……！ まさかそれって……」
「ち、ちがっ、これはトモダチの話だからね!?」
この手口なら、恋愛に疎い蒼汰でも知っている。
〈〈“友達の話”で始まる恋バナは、たいてい本人のことである！〉〉
――つまりは乃愛も蒼汰のことが!? と思いきや後日、蒼汰は他の女子から告白されてしまう。まさか本当に“トモダチの話”だった？
でも乃愛はグイグイ甘えてくるし……“トモダチ”って一体誰なんだ!?
タイトルやあらすじで出てくる部分は面白いのに、実際の物語はここまで面白くなくなることってあるんだなーと思いながら読んでいた。じれったくてろくに進展しない二人の話が好きな人は好みかもしれないけれど、わたしはかなりnot for meだった。
序盤はめちゃくちゃ好み
トモダチの話なんだけど、という前置きで、主人公を好きな子がいると言い出したヒロイン。トモダチの話という場合は大抵自分の話。そして主人公もヒロインが好き。しかもどんな子がタイプなのかと訊かれて答えたら彼女は後日その格好をしてきてくれた！ やっぱり彼女が好きなのは俺なのでは……と思ったら、別の子に告白された！？
っていう、「トモダチの話という場合は自分の話」から出来上がってるっぽい序盤はめちゃくちゃ好みなんだけど、それ以外が本当に好みじゃなかった。
ぶっちゃけ、主人公に告白してきた後輩に「ヒロインの言うトモダチってお前のこと？」って一言聞けば済む話なんだよ。というか主人公、もしそのトモダチが実在したとしても付き合わなそうじゃん。
だったらさっさとヒロインに告白してしまえよと。ヒロインの言う「トモダチの話」に無駄に付き合って（本当にトモダチがいるんじゃ……？）だのなんだの考えるよりもそっちのほうが速いじゃん。最後で言っているとおり今後もし彼女が出来ようとヒロインからは離れるつもりがないんだし、さっさと言えよ。
これの物語って、周囲から見ても両思いなのがバレバレな二人が、付き合ってないけれども付き合っているような行動をしているのを見て楽しむっていう方向なのはわかる。でもここまで来ると、こんなことして気付いてない二人は相当のバカなのでは？のほうが強くなっちゃった。
◯◯な理由で告白できない/トモダチが誰なのか確認できないという理由もふんわりしてるので、もう早くかたをつけろやと思ってしまう。
これ、本当に「トモダチ」が存在するなら、ヒロイン最低では？
「トモダチが参考にするから」という理由で主人公をデートに誘うヒロイン。まあヒロインはバカだから仕方ないんだけど、これもし本当に友達が存在するとしたら、ヒロイン人として最低では？
友達が主人公を好きだと知っていながら自分を異性と意識させる行動をする。デートをする。イチャラブカップルごっこもする。本当に友達がいるとしたら裏切り行為がすぎる。
クソヤバ裏切りモノで友情を捨て去る女か、バカすぎてそんなことすら理解できない女かの二択になるヒロイン。普通に後者なんだけど、それにしたって嫌すぎる。
また、周囲にいる女子を「こいつは主人公を好きなのでは」と敵対行動に入るぐらいだったら、さっさと告白して自分が唯一無二ですと宣言しろ。ライバル心は抱くくせに告白はしたくなくて今のポジションが良いなんて虫が良すぎる。そのくせ恋人みたいなことはしていたいという、虫が良すぎるというかヤバすぎる女。
進展もなくだらだらそのままの物語
特段二人の関係性が進展することもなく、今回の出来事でバカップルごっこをする程度というものなので面白くなかった。当て馬女が出てきたことで告白を決意する！みたいなのもないし。
だらだらと物語が進み、いつ打ち切りになっても告白させたら終われるんだろうなーという感想しか抱けなかった。なんらかの目標があるわけでも目的があるわけでもなく、当て馬が出てきても二人の関係はもうろくに変わらない。さっさと告白しろ（悪い意味で）っていう話だった。
もしこれがヒロインが陽キャで友達がめっちゃいたら、「これは友達の話なんだけど！」で主人公にそういう話をしてきても（もしかして本当にトモダチの話では……？）と主人公が思っても理解できる。でもこのヒロインは特に友達が多いわけでもない。そこらへんも違和感があったのかも。ヒロインにべったりな主人公だったら、ヒロインの交友関係ほぼ把握してそうなのに、友達かも？と誤認するのもわからん。
実際友達多いなら違和感ないし、他の子に告白されたときに（こいつヒロインの友達だったから、やっぱりアレはヒロインの話ではないのでは？）と思っても違和感がないし、友達のために！とヒロインがデートごっこしてきてもわかる。でもこの友達さほど多くなさそうで喋り方も独特で主人公に依存しまくりで主人公がほかの女子が仲が良いと即座にその女子にバレるレベルに嫉妬心明確にするヒロイン、何もかもがおかしいでしょ。