あの頃イイ感じだった女子たちと同じクラスになりました2 (角川スニーカー文庫) 御宮 ゆう

★★★☆☆,角川スニーカー文庫三角関係,両思い,付き合ってる,同級生,学園,恋愛,現代

あの頃イイ感じだった女子たちと同じクラスになりました2 (角川スニーカー文庫)      御宮 ゆう

あの頃イイ感じだった女子たちと同じクラスになりました2 (角川スニーカー文庫) 御宮 ゆう

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あらすじ

「だって、私の彼氏なんだもん」揺るがないのは恋心、絆、それとも友情?

かつて“イイ感じ”の雰囲気になった女子たちとの過去。
あのときの後悔を胸に、涼太は勇気を出して優佳に告白し――ふたりは付き合うことに!
昼休みは二人きりの密会、恋人にして欲しいことなんて話をして……まるでバラ色の高校生活!
一方で、
「私、あなたに彼女がいること気にした方がいいの?」
「吉木ともっとこーゆーノリ続けたかった」
幼馴染・麗美と女友達・由衣との絆にも変化が訪れる。
彼女ができたら変わるもの、変わって欲しくないと願うもの。
それぞれが距離感に悩むなか、涼太が熱で倒れ――麗美が看病をしていたところ、
「え? 二階堂さん?」
鳴ったインターホンの先には優佳がいて!?

シリーズ: あの頃イイ感じだった女子たちと同じクラスになりました

あの頃いい感じだった女子たちと同じクラスになり、未だに距離感近かったり付き合おうとしたりする話の2巻。前巻のラストで、以前同じ塾だった花園と付き合うことになった主人公から始まる。
なんだかものすごく、友人とそれ以外の違いや、誰かを助けるってことはそれ以外の誰かとの関係がどうなるかというのをある程度諦めることなのかもとか考えてしまった。

付き合いたての初々しさと、誰かと付き合うことの難しさ

付き合っていることはまだ広めないという約束をしているためクラス内や妹には言えないまま、花園とのお付き合いを開始する吉木。今までイイ感じで仲の良かった柚葉や幼馴染としての付き合いがあった麗美との距離感には悩みつつ、花園との関係性を築いていく。

これに関しては難しいよねー……と考えてしまう。付き合っている相手がいるのに他の女子とも距離が近いのは不誠実ではあるし、特に柚葉は肉体的接触が多いからなおさら距離を取ったほうが良い。柚葉本人もそれを理解しているのがまた難しい。
柚葉がここで彼女持ちにべたべたと接触して勘違いされることの危険性を理解してないようなガチの距離なしだったら「お前がそういう性格だから……」的なことを考えられるが、そうじゃないのでこいつ現実見れてる良い子なんだよなと思ってしまう。
同時に麗美も、吉木の幼馴染であり家に行き来するような仲、さらには吉木におそらく恋愛感情を抱いているという立場の人間。そりゃあ近づかないほうが良い。ただ、吉木がそれを理解しきってないのが難しいんだよね。

風邪を引いてぶっ倒れた吉木のもとへ、吉木妹に頼まれて急遽看病に訪れた麗美。そして吉木と一緒に学校に行く約束をしていたためにいつまでも訪れない吉木が気になり家まで来てくれた花園。女子二人がぶつかるシーンはピリピリしてた。そりゃあそう。
ここで花園が結構明確に麗美にマウント取ってたの意外だったかもしれない。そのぐらには吉木は自分のものという感情があるだ。
そこからの花園にドキドキさせられるあたりとかめっちゃ初々しいのに、吉木に恋愛感情を抱いているが吉木が花園と付き合っているのを知っているために攻勢に出られない麗美がすぐちかくにいることで、読者的にはすっげえ重たいシーンとなってるの、めちゃくちゃだよぉ!! ここでいい感じのテンション味わってるの吉木だけじゃねえか! この花園のキスも、何割が麗美への対抗意識かわからないのが絶妙に怖い。

花園との遊園地デートも付き合いたての二人の光景としてこんなにも可愛いのに、どうして直後に柚葉の問題が発生しちゃうんだろうなあ……。

でもこれは花園の気持ちもわかるよ。

柚葉がパパ活をしているんじゃないかと疑惑が持たれ、しかも匿名のインターネットのアカウントによって広められる。実際はパパ活ではなく、バイト代の高いホテルの清掃アルバイトだった。立地がラブホ街の中なので勘違いを生み、バイト代が高かった。普通だったら信じてもらえないようなそんな理由だが、中学時代に柚葉に信じてもらったことがある吉木は迷うこと無くそれを信じ、中学時代に助けてもらったように柚葉を助けようと奔走する。
その結果として花園よりも柚葉を優先している形になるのが難しいよなあ……と思ってしまった。

途中で花園に指摘されたのって、花園視点からしたらどこまでも正しいわけじゃん。

「まだ、付き合って一ヶ月も経ってない。まだ一回しかデートしてない。そんな時期に他の女子を優先するの? よっしー、私とこの先どうなるつもりなの? どうなりたいの」

吉木にとって柚葉は恩人であり大事な大事な友達でもあるけれども、柚葉にとって花園はそこまで賭けられるほどの友人じゃない。時々仲良く話すことはあるけれどもめっちゃ仲が良いというわけでもない。そんな相手のために、彼氏がもしかしたら学校に行きづらくなるかもしれないぐらいの出来事になるかもしれないのを黙って見過ごせというのか。なんなら協力しろというのか。
難しいよなあ、これ……。花園の気持ちもわかるからこそ難しい。

物語の主人公の主人公的行動からしたら、吉木はそりゃあここで絶対に柚葉を助けるに決まってる。一度助けてくれた少女を助けられる方法があるとしたら使えるどんな手を使ってでも助けたいのもわかる。でも花園からしたらそうじゃない。

これ、男女逆にしたら、うん……になるんだよね。
付き合いたての彼女。まだ1ヶ月しか付き合ってないし、デートも1回しかしてない。でも彼女が『友達が困ってるから』と、イケメンでチャラ男の男のために奔走している。なんなら自分の力も借りようとしてくる。
こんな女子がメインヒロインだったらそれなりに反感買うし、いやそれより先にすることあるだろ(主人公とのイチャイチャとか)って言われるでしょ。
ここで笑顔で送り出して協力したらしたで、今度はそのチャラ男イケメンが彼女に本格的に惚れて落とそうとしてくるかもしれないし。主人公からなら簡単に奪われてしまうかもしれない。そんなのに協力するのは、理性では正しいとわかっていても、心情的には難しい。

花園は闇が深いというよりも、自分の大事なものとそうではないものを綺麗に切り分けているタイプに感じられた。友人と思っている相手は助けたいし守りたい。けれどもそれ以外の相手は切り捨てられる。その『友人』のなかに柚葉は入っていなかったってだけ。
吉木だって峯岸相手とそれなりに会話しているわけで、見る人からしたら吉木と峯岸ってそれなりに仲が良いのではとも思える。けれども内心吉木は峯岸を良くなく思っている、むしろ幾分見下しというかあいつサイテーと思っていながら口に出していないだけ。峯岸が同じような状況になったら吉木はおそらくここまでしては助けない。
そういう距離感の相手に対しての行動としては、花園の選択はむしろかなりよく手助けしてくれたんじゃないかな……。
そんな花園が『異性として好きとはいえないかもしれない、でも付き合ったままでも良い』って言えるような相手ってことは、吉木のことはかなり好きなんだよと思うよ。


ラノベって最初に告白した相手と、当て馬を挟みつつなんだかんだでうまくやっていくか、複数女子がいて誰とくっつくと騒ぎながら最終的に一人になるか、ハーレムを築くかのどれかっていう印象があったので、最初に付き合った相手とこのペースで別れるとは思わなかった。
しかし柚葉が2番手だとしたら、最終的には落ちは麗美になるのかな。

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