「乙女ゲームのヒロインは婚約破棄を阻止したい」悪いこといわんから一刻も早くそんな男が王太子の国から出ろ
あらすじ
乙女ゲームのヒロインに転生した私、気づけば王太子ルートが好感度MAXで王妃一直線! でもこれ、巷でよくある悪役令嬢にざまぁされる物語なんじゃ…? 破滅フラグ回避と平穏な生活を送るために、超堅物な王太子の側近アルフォンスを巻き込み、2人の仲を取り持とうとするけど――「あなたが必要なんです」って、なぜかアルフォンスの好感度が上がっているみたいで!?
うーん、主人公は良い子なんだけど、それ以外が面白くなかった。というか気になる箇所やノイズが多すぎる。
突然ぬるっと前世の記憶を思い出した主人公が、今自分が生きてるのは悪役令嬢が存在する乙女ゲーの世界で、自分はヒロイン。このままだと特段誰か死んだりはしないが自分は王太子ルートに入ってしまっていると気付いたところから始まる物語。
記憶を取り戻すのがあんまりにもぬるっとすぎて、おもい……だしたの……?と読んでてすごい困惑した。もうちょっと劇的にしてくれとは言わんが、本当にぬるっとだな????
主人公が実家の商家の関係で国外含めた名産品に詳しかったり、現代日本の記憶が無いとはいえあった(このあたり正直雑だなーと思う)ために、子供の頃からの教育の大切さや、手に職をつけることの大事さを認識しており、実家では孤児院からの子供を引き取り教育していくのに力を入れているというのも良かった。
主人公とヒーローの恋愛模様が少しずつ進んでいくのも、ベタなシチュエーションや行動が多いとはいえ可愛かった。
なんだけど、それ以外の部分にノイズがあんまりにも多すぎる。
まず当て馬で出てくる王太子がめっちゃくちゃクズ。すごいクズ。
終盤、王太子から言われたら男爵である主人公は婚約を拒否できないからいうぜ!っていう権力を笠にきた行動を噛ましてくるあたり全力でクズ。
主人公を傷つけたのは自分の婚約者だと思いこんで婚約破棄するけれども実はそうじゃなかったとわかった途端に婚約破棄を破棄する掌くるっくるっぷりもクズだし、更にはその上で主人公を妾にすると公言するのもいい感じにクズ。
主人公が結構明確に拒否ってもプレゼントを押し付けようとするあたりもいい感じにクズ。
元気にクズポイントを稼いでいく当て馬。当て馬だけどいいやつだから……という擁護のかけらもさせる気がない。そんな王太子の無茶振りを止める気がない側近もどうかと思うんだけどね。
王太子は王太子だからそういう育ちなので男爵令嬢ごときに直接言われても照れてるんだなとかなんとかいい感じに脳内翻訳かましてくるかもしれない。だったらそれこそ、わざわざ学園のなかまでついてきてる側近がもうちょっと諌めたりなんだりするべきだろう。なのに一人は面白がってるし、もうひとりは主人公の相手役というあれこれの私情が混じってるのでアレだし、まじでろくなやつがいねえ。この王太子、将来的に理じゃなくて情でなにかやらかすので、主人公はさっさと国を出たほうがいい。
こんな最悪男がおそらくはメインヒーロー扱いで用意されていたのだろう乙女ゲー、いやだな……。とはいえ主人公もこれで相手を好きなのだとしたら、執着してくるイケメンヒーロー扱いでそこそこ良いキャラなのかもしれない。いや、でもこれだけ拒否ってるのに理解してくれず側近も諌めてくれないのは普通に嫌だよ。
王太子の婚約者であるローズも正直よくわかんないんだよな。プレゼントをもらったり一緒にお出かけしたら嬉しそうだけど、最終的に王子がまだ主人公に未練たらたらなのわかった状態で主人公と王太子と一緒にお茶会してるのよくわからん。その状態で主人公とは仲良しなの、物語的にそのほうが丸く収まりますからねーっていうのすら感じてしまう。
婚約破棄直後に王太子を怒ったのも、恋愛感情なのか国母として今まで自分が勉強してきたからのを雑に扱われたことへの怒りなのか、まるでわからん。細かくラストも決めずに書いてそのまま直進したのかな。
というか、そもそも乙女ゲーモノにありがちな悪役令嬢という概念自体、要するに婚約者のいる男を奪いますというものなので正直めーっちゃ趣味悪いよな。NTRを大々的に出してきた乙女ゲーメーカーがその世界で幅きかせてるの怖。だいたいメインヒーローに婚約者いるけれどもどんだけNTRをメインに持ってきたメーカーだよ。爆死しそう。
今回の話は、主人公の相手役は、恋愛感情はなく金ばかりかかる面倒な女であると描写されているとはいえ婚約者持ち。恋愛感情無いのをいいことに雑に当て馬に使った上で婚約者排除してるの、趣味悪~~と思った。
あとすげえどうでもいいんだけど、王太子の名前がエドワード、主人公とくっつく側近の名前がアルフォンス、主人公の弟の名前がエルリックで全体的に某錬金術師を思い出した。