「特養日記~介護福祉士が見た最強ご長寿たち~」人間いつかは来る日々を明るくポップに描くコミックエッセイ
あらすじ
介護福祉士の資格を持つ漫画家、金山カメが「人生の先輩=最強ご長寿たち」と体当たりで向かいあった特別養護老人ホームでの日々を赤裸々に描くパワフルエッセイ!
「きつい、汚い、危険、給料が安い etc...」と言われがちな介護のお仕事の、マイナスイメージを吹き飛ばす抱腹絶倒の実態!
想像のナナメ上を行くトンデモトラブルやワガママに振り回されながらも笑顔と知恵と根性と、そして尊敬の念と愛を持って個性派揃いのご長寿たちのお世話をさせていただきます!!
笑いと感動でさわやかに綴るエピソード全17編+あとがきを収録。
超高齢社会と言われる今、多くの人に知ってほしい介護の世界!
介護士をしている著者によるコミックエッセイ。全3巻。
全体的に明るくポップで、日々の大変な出来事をどこまでもギャグ漫画風に、lでも誰かを傷つける形にせずに軽妙に描いていて面白かった。
月に1回の外食の日で、御長寿さんたちの食べたいものがお店に無いようなものばかりで(うなぎなど)ちょっとばたついてみたり、正月にお餅を出すための一苦労だったり、自力でお風呂に入れない人をどうやって入れるかだったり。
どれも読んでいてうわーこれきついだろ……というものなのに、描き方が軽妙で面白くて楽しく読んでしまった。
著者と共に働いている人たちも、みんな駄弁って愚痴ったりしつつもこの仕事を大事にしているし、外歩いているときお年寄りを見かけたらつい道案内したり大丈夫か確認したり様子がおかしかったら警察呼んだりしているあたり、すごく良い人なんだよね。でも大変なときには軽く愚痴の言い合いしつつもまた介護をしていく、という描き方の塩梅がめっちゃ良かった。
だけどこれ、御長寿の方々の立場って現状誰にでもあり得る未来なんだよな。
今はすごく理知的な人だって、こういう食べ物をタンスのなかにしまうような日々が来るかもしれない。自分の娘と介護福祉士の見分けがつかなくなる日も来るかもしれない。今持っている思考をなくし傍から見たら支離滅裂になっている思考回路を理路整然としていると思い込みながら誰かに迷惑かける日々がいつか来るかもしれない。
想像するとどうにかならんかなーと暗澹たる気分にもなってしまった。