「組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2 (電撃文庫) 有象利路」ラブコメカップルの馴れ初め過去編なんて好きに決まってるだろ!!

★★★★☆,電撃文庫バトル,両思い,両片思い,恋愛,敵対,現代,現代異能

組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2 (電撃文庫) 有象利路

組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2 (電撃文庫) 有象利路

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あらすじ

組織の宿敵が合コンで前の席に座ってた……イチャ甘夫婦の馴れ初めに迫る!

「な、なななな……んで、《羽根狩り》が、ここ……に」
「それはこちらのセリフだ、《白魔》。何らかの任務か?」
 かつて敵対する異能力者の組織に属し、反目し合う目的のために抗争を繰り広げていた二人。《羽根狩り》こと犀川狼士と、《白魔》こと柳良律花は……組織解散後になぜかイチャコラ付き合った上に結婚していた!
 そんな彼らの馴れ初めは、じつは場末の合コン会場からはじまった。大学生になっても宿敵同士はいがみ合うし喧嘩もするし、しまいにはどっちが強いかの幼稚なマウンティングバトルをはじめてしまう。でも似た者同士な二人は結局息ぴったりで、居心地も妙に良くて、互いの魅力にどんどん気づいていって……
 昨日の敵は、今日の合コン相手。そして、将来は……? 
 その宿敵こそが、やがて運命の人だと気付くまで。
 再会して恋して愛に至る、これは彼らの青春と初恋の記憶(ラブコメディ)。

シリーズ: 組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い

ラブコメとしてめっっちゃ面白かったー!
現代異能バトル好きだしラブコメ好きだからこそこういうの大好き! 戦っていた組織がなくなった後に異能力がある人間はどうやって生きていくか、微妙に普通になりきれない人の物語としても面白かった。
ただ、1巻でめちゃ甘い結婚生活が見れた二人の馴れ初めというのはすごく面白かったんだけど、随所に挟まる現代時間軸はなんとなく話をぶつ切りにされた感じがあったのが残念。

関係性の変化が最高

1巻でめちゃ甘い結婚生活をしている狼士と律花がそうなる前、二人のくっつくまでの馴れ初めの物語。人間が人間を好きになる瞬間最高! ラブコメ大好き! 片思い期間大好き! 両片思いだけれども何らかの障害があってなかなか告白できない二人大好き! な人間として、美味しいところがたくさん読めて最高に良かった!!

合コンで偶然出会ってしまい、その流れで勝負をすることとなり何度も顔を合わせる狼士と律花が、今までの敵という関係を築いてきた上で相手個人という人間を知って好きになっていく過程がめちゃくちゃエモい。相手の様々な面を知っていくにつれて今まで持っていた感情が徐々に変化していくというのは王道だけれどもベタかつ最高ですよ。
しかも好きになる瞬間が、劇的な出来事のあとに見た本当にふとした笑顔というのがもうさーーー……。劇的な出来事だったら、二人が敵対していたときに何百回でもあった。命をかけて戦った二人だからこそ、劇的なイベントなんてのは無限にこなしている。だからこそごくごく普通の笑みに惚れたというのが、この二人らしさが出まくっていて最高だった。

そして、クライマックスもこの二人ならではの熱さが最高。
随所に描かれてきた、律花は普通の少女とは違って異能を日常的に使用してしまうという描写。シスコン兄貴の嫌がらせの流れで語られる、異能力者たちは人の上位の生き物であるという彼らの認識。律花はその中でも能力が高いために狼士と並び立つのは難しいという事実。両思い状態ではあるけれども、持つ能力の差があって同じ位置では立てないからと拒否される恋愛感情。

この、人と人と同じ姿だけれども上位の生き物は共に並び立つのは難しいという認識っていうのを、上位側から出してくるのが結構意外だった。このあたりはわたしが今まで食ってきたエンタメが、その認識を人間側が出してきて故に上位の存在を迫害する物語が多かったからかも。仮面ライダー555しかり、鋼の錬金術師シャンバラを往くもののエッカルトしかり。あいつらは人と同じ姿だけれども相容れない生き物を排除し迫害し殺して人の安寧を図ろうとするという敵が出てくるし、それをどうにかして人とめちゃ強の共存に持っていくための物語。

共存の場合、強い側から弱い側へ手を差し伸べ、お前を加害しませんよという行動が鉄板。でも狼士は弱い側の人間。弱い無能力者側の人間がどうするかって、お前と同じだけ強いというのを、能力なしで使える策を全部使って圧倒して見せる!というのが、今まで敵対してきた狼士だけが使える技でめちゃくちゃ格好良かった!
やっぱり対等な関係で築き上げる恋愛、めちゃ良いっすよ。熱かった。

構成はやっぱりちょっと気になる

ラブラブでイチャイチャ♡な2人の結婚後の物語な1巻の続編として出てきた、二人の馴れ初めとくっつくまでの2巻。このシリーズのタイトルが「組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い」だからそれをコンセプトに作ったのだからこそ1巻の内容はアレじゃなきゃならなかったのはわかる。でも、あの1巻があったからこそ、2巻読んでても「どうせ結局くっつくんだよな」っていう予定調和感を覚えちゃう。
そりゃだいたいのラブコメって「どうせ最後はくっつくんだろ」「なんだかんだあっても二人はくっつくからな」というのはあるよ。三角関係でどっちとくっつくか……というのはあるとしても、このシリーズ自体はくっつくだろうというのはあるよ。でも、この巻の場合は、随所に挟まれる結婚後の現在軸のせいで「あーそうだそうだ、この二人どうせくっつくんだ」って現実に帰っちゃうというか。どうなるんだろうというドキドキがまるでない。

けど、タイトルが「めちゃ甘い」である以上、読者側としては当然そういうシーンへの期待はあるだろうしなあ……。過去軸としては二人がくっつくかどうかの焦れったいシーンは入れられても、めちゃ甘シーンは入れられないのはわかるし……。こうだった狼士と律花がこうなりました!というのが醍醐味なのはわかる……。うーん、難しい。
逆にこっちを1巻にしちゃえば、というと今度は本来の1巻を2巻にした場合間の年数がめっちゃ離れているせいでまたそれもそれで「この間はどうなったんだよ!!」になってしまう。難しいよな……。
どうやっても難しいとわかるし、この形が最適で最善なのもわかるんだけど、でも不意打ちで「どうせくっつくしなー……」の気持ちになるのは嬉しくない……。難しい。

組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2 (電撃文庫) 有象利路

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