
あらすじ
幼い頃から霊感体質に悩まされてきた女子高生・白春青は、怪談師を目指しているという孤高の女子生徒・夏目咏に目をつけられ、『怪談収集を手伝ってください!』と頼まれる。
真夜中に二人で家を抜け出し、不穏な曰くが伝わる神社へ行くことになるが――
「青! 藁人形が大漁です!」「少しは危機感持てないかなぁ!?」
好き放題に暴走する怪談オタクに振り回されて、青の灰色の日常は明るく塗り替えられていく!! 霊能力者と怪談師――仲良しJKコンビが送る〝真夜中青春エンタテインメント〟ここに開幕!
ホラーとしては怖くないから読みやすかったんだけど、ヒロインである詠の性格が気に食わないというか合わないので乗り切れなかった。
でも話としては軽い百合ホラーって雰囲気で、裏ピクが刺さった人あたりは好きかもしれん。
ポンコツ怪談師に連れられて怪談集めへ
主人公の青はもともと視えるタイプの人。それがクラスメイトの美少女・詠に知られ、怪談師を目指している彼女に頼まれて各地の怪談を集めに行くという物語。
ホラー苦手でも、そのホラー部分がまるで怖くないのでそのあたりはめちゃくちゃ面白かった。 これはホラーじゃないです。タイトルから分かる通り百合がメインのお話です。
視える人である青は、視えると同時に片付けられる人でなおかつ強い。立ち向かってくる幽霊を全部腕力でぶちのめしていくタイプなので、何があってもまあ大丈夫だろという安心感がものすごい。
某有名ホラー映画であるコワすぎと同系統なんですよね。主人公が強いホラーは若干ホラーというよりバトルモノの味が出て来る。
わたしはホラーモノ苦手なんだけど、それって感情移入する先であるキャラクターも怪異に対して怯え、なおかつ有名どころのホラーって怖いものがそのまま放置されるからなんですよ。感情を託す先であるキャラクターが怯えているからこそその怪異を恐ろしいものと認識するし、その恐ろしいものが片付かないまま物語が終わると恐怖は引き続きそこにあると思ってしまう。
対してこの話、怪異相手に怯えている人がまるでいないし、なんなら詠は嬉々として向かっていく。怪異自体は青が確実に片付けてくれる。そりゃあ怖いわけないじゃないですか。
ひとりかくれんぼの話が面白かったしツボだった。
同級生で配信者をしている子から、ひとりかくれんぼをちゃんと終了させず中途半端に終了させたところ、毎夜毎夜部屋が荒らされるからどうにか助けてくれないかと頼まれた青。
とはいえ、配信者の彼女はひとりかくれんぼの怪異に怯えるではなく、むしろ部屋を汚された憤りを感じてブチ切れている。そんな元気にキレられたら、読者側も怪異を怖いと思えない。
なおかつひとりかくれんぼのぬいぐるみへの対処も青がぬいぐるみの中に入ってのぬいぐるみvsぬいぐるみのバトルなので、可愛いしかないんよ。
この話、徹底してホラーとしては怖くないように作られている。そしてメインはタイトル通り百合だった。
百合としてはあまり好みじゃなかった
タイトルに『怪談収集はデートに含まれますか?』とあったけれども女子同士が仲良くしているのを百合というタイプのてぇてぇ系百合かと思いきや、少なくとも詠の側はかなり明確に恋愛感情を持っていると明かされる百合(恋愛もの)で驚いた。
ただ、わたしはその詠が合わなかったので、お、おおう……ぐらいになり乗り切れない部分があった。
クラスではろくに喋らず他人ともろくに交流しないし仲の良い子(青)以外とは会話もそっけないけれど、自分の好きなものの話となったら一気に饒舌になる。うわーーっやめろ! 傍観者羞恥がエグいタイプのオタクだ!! 空気読めないけど知り合いの前と好きなものについてだけ無駄に喋るオタクだ!!
タイミング悪く声優ラジオのウラオモテをAudibleで聞いていたらちょうど『クラスメイトの女子に話しかけられてもどもってろくに話せないが、好きなアイドル声優についてのみ異様に饒舌になる男子高校生』という設定のキャラがモブとして出てきて、まんまこれじゃん! となってしまった。ごめんな。
懐いた人にだけ馴れ馴れしいタイプのオタクである詠がとにかく読んでてキツすぎて、ずっと詠を好きになれねえ……と思いながら読んでいたので辛かった。本当にこれは詠は悪くなくてよくあるキャラクター造形でわたしが悪いだけです。こういうときこそ言いたい、not for me。
百合としても、青から詠へは恋愛感情というよりも女子高生の青春で引っ張られていくっていう雰囲気のほうが強かったためにあんまりノリきれなかった部分はあるかも。
青としては、今まで人に嫌がられていたり喜ばれていなかった自分の能力を大喜びしてくれる相手ということでそばにいてもいいかなってところもあるのはわかるんだけれども、それよりも青の友人や前述の配信者同級生との4人でわあわあやってる話が好きだったので、それ以外の話はそこまでなあってところはあった。
