
あらすじ
とんでも食材の飯テロVTuber念願のコラボ!?ガチ推ししか勝たん!
最高ランクのダンジョン探索者・夜桜猪王は
推しVtuberの「ダンジョン食材を使ったごはんが食べたい」の一言で、
推しにダンジョングルメを食べてもらうべく自らもVtuberデビュー!
チート・スキル・アイテムなんでもネタにしちゃう猪王は
常にいい意味でも悪い意味でもネット民の話題の的。
そんな猪王に外部事務所からコラボの話がくるが、それと同時に新たな騒動の予感も!?
推しVとオフコラボをして推しVの食べたいと言っていたダンジョングルメを振る舞うためにVになったハチャメチャなVTuber兼探索者のお話。ダンジョン探索が一般化した世界だけれどもそこまで探索者の能力が知られていない、というのを描いていく巻として面白かった。しかし、あんまり印象的なシーンが無いんだよなあ……。山主の圧倒的強さは見られたが、めちゃくちゃ強い配信者自体が供給過多気味なせい。
圧倒的に強すぎるせいで不安感がまるでない
最近だとダンジョン配信者というカテゴリ自体が徐々に一般化してきていることもあり、ダンジョン配信者(ハチャメチャ強い)というのはあんまり物珍しくなくなってしまい、ふーんぐらいでしか読めなくなっちゃった。
ここらへんぜーんぶ爆裂強い配信者ダンジョン探索者たち。
まあよわよわ配信者が頑張ってダンジョンをクリアしていく系よりは物語としてネタにしやすいんだろうけれども、ただ強いせいでダンジョン配信部分はカンストしたキャラがただクリアしているだけの動画を見ているような気分になる。推奨レベルより低いキャラが知略や相性でどうにかしていくほうが好きなので、若干好みとズレている。not for meってやつですね。
これで戦闘的には一旦ピンチになり巻き返すとなれば盛り上がりも大きいのだけれども、山主は圧倒的な強さを誇るので敵モンスターも解説しつつあっという間に倒してしまう。歓声を上げる役な同期ライバーによって凄さを表現されるものの、苦戦しているところもないので倒したことへのカタルシスが何も無いんですよね。
やっぱ、苦境に喘いでから敵を倒す、圧倒的に強い敵に少なくとも周囲は「これは勝てないんじゃないか」と絶望するという1ターンがほしい。山主の場合は最初から海を切るわ相手の攻撃を一切受けないわで「どうせ勝つんだろうな」という印象が戦闘開始時からあったせいで、まあ勝って当然ですねの感覚しかなかった。
この山主のモンスター討伐を同期ライバーという他者+コメント欄という他者の視点にして映すことで、山主の凄さを表現したいのはわかる。わかるんだけれども、ただのageage驚き屋さんにしか見えなくなっちゃった。まあ実際めちゃくちゃすごくて人間やめてるクラスなんで周囲の驚きようはそれが正しいんだけれども、ただ最強なだけの主人公はあまり好きではない。
取れた食材ではちゃめちゃうまい料理を振る舞うというのは物珍しいけれども、とはいえ1巻で受けた「これはヤバイ」というほどの感慨もなくなっちゃった。
リアクション動画にしかならない。料理シーン自体はうまそうだけれどもそこまで目を引くほどではなかった。
この巻ではVTuberになった理由であるリーマンさんとのオフコラボが成立し、リーマンさんにダンジョン食材による手料理を振る舞うシーンがある。けれども推しVとはいえ会えてめちゃくちゃ嬉しそうというわけではないのでカタルシスは少なかったかも。
山主本人が「赤スパチャを投げて相手が動揺するのを見るのが楽しい」的なことを言っていたとおり、相手は推しとはいえ、驚かせたいという感情のほうが強く、推しに特別な料理をごちそうしたい! それで喜んでほしい! というのとは一種違うのかも。
最後に新しい推しを探し始めていたし、こうなると「好きな人に直接会いたいのでVTuberを始める」という目的自体が結構かるいノリだったんだろうなと感じてしまった。
匂わせというか先への伏線みたいなものを意味ありげに大量に出していたのでこの先も何かあるんだろうが、この巻での気持ちよさみたいなのがあまり無いのでもういいかな。
