「豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい」主人公の作中作での設定が盛りすぎてあんまり応援出来ない

★★☆☆☆,ファンタジア文庫チート,ファンタジー,恋愛,悪役令嬢,片思い,異世界転生

あらすじ

大人気アニメ『シューヤ・マリオネット』には、嫌われ者が存在する。
魔法学園に通うデニング公爵家三男こと豚公爵だ。
そんな悪役に転生してしまった俺は、このままじゃバッドエンド直行!?

…だけど熟知したアニメ知識と、『全属性の魔法使い』なんていう無双能力を駆使すれば、学園の人気者になって、運命も変わるハズ!
そして、アニメの中では成し遂げられなかった豚公爵のささやかな願い
――「おはようございます、スロウ様!」
滅ぼされし大国のお姫様。今は俺の従者である愛しのシャーロットへ。
君に相応しい男になって、告白してやるんだ。

悪役令嬢モノの男キャラバージョン

大人気アニメの世界に転生した主人公。しかしポジションはデブい嫌われキャラ。
このままだと周りみんなから嫌われてバッドエンド直行だが、アニメ知識のある自分ならそうはならない。頑張って人気ものになり、今度は最愛キャラに告白するんだ! ――という物語。

悪役令嬢モノの男キャラバージョンといえばいいのか。
主人公のポジションは、原作となるアニメのなかでは他のキャラから嫌われまくるやられキャラ。しかしその実際は――というタイプのキャラクターで、主人公はその能力+もともとのアニメの知識を駆使してバッドエンドを回避したりチートじみたことをしたりする。

悪役令嬢モノとしてもなんとなく覚えがあるような展開などがあるものの、悪役令嬢あるあるの婚約破棄はすでになされた後のところが物珍しかった。
ヒロインのキャラも可愛い。特別な過去持ちドジっ子メイド。読んでて正直なんで主人公はこの子が好きなのかな?と思うところはあるけれど可愛いといえば可愛い。

個人的に好きなのは、アニメのメインヒロインとアニメ主人公の組み合わせか。
王女様のアニメヒロイン、彼女のツボを壊してしまったからその金を返すために小銭を集めているアニメ主人公。言い合いをしまくりながらも仲の良さも感じられる二人という雰囲気が読んでて楽しいし可愛い。
金を返すためといいつつも結構仲よさげなんだよなあ。ぎりぎり恋愛感情がなさそうな雰囲気なのが特に。こういう組み合わせが大好きなんだよ。
この二人がメインのアニメ結構気になるなあ。ちょっと見たい。とはいえアニメヒロインは元々まだ主人公の豚公爵に思いが残ってるし、1巻終了時にはかなりそちらに傾いてしまってるんだけど……。これ、原作アニメ好きの人(存在しない)的にはめっちゃ嫌な展開じゃない? 場合によってはNTRになるんじゃない? わからんけど。

作中作原作アニメの設定が悪い

原作となる作中作アニメの設定がとにかく悪いんだよなあ……。
つまりはこの小説自体の設定が良くねえなとも言うんだけど。

アニメ主人公が人気がないっていうのはありえないこともないというか、人気のない主人公もいる。
でもその代わりに豚公爵が人気No.1っていうのが、女キャラ押しのけてそんなことあるかぁ? と思ってしまった。だいたいこういうのってメインヒロインないし片思いサブヒロインが1位獲得するものでは。そうじゃなく別のキャラが1位って、キャラの設定や人気取るような動かし方出来てない制作が失敗してるんじゃないのかな。
ハーレムモノって女の子が可愛いのが一番でしょ。なのに別のキャラが1位って……脚本もしくは演出がとても下手……。

アニメ主人公が察しが悪すぎるのもどうかと思った。
学園長から話を聞いているシーンでのやり取り、どう見てもアニメ主人公が悪役で主人公が主人公(という言い方も読みづらいけれども)なんだよね。
これは原作知識を持っている主人公のほうが現状を理解しているからっていうのもあるけれども、それにしても察しが悪すぎる。アニメの場合はアニメ主人公と学園長の2人での会話になるわけで、だとすればひたすら察しの悪いアニメ主人公とあまり説明しない学園長で会話がほぼ全く進まない状態なのでは。

また、全属性使えるチートなのもどう考えても……。アニメ主人公喰うでしょ。
表ではアニメ主人公の物語、裏は豚公爵の物語として設定しているにしても、裏主人公である豚公爵に力を注ぎすぎて萌えダメぎりぎりのラインまで来てる。
これ見てるとアニメの設定がどうにかしているように思えるんだよなあ。

それはそうとしても、作中で豚公爵たる主人公が全属性使えるチートなのもどうかと思った。なんでもできるんかーい。

主人公がダイエット以外の苦労ほぼなしって読んでてつまんない

友情努力勝利の昔言われたジャンプの方程式って結構良いんだろうなと思った。
これは主人公が誰かからなにか教わることもなければ協力することもない。誰かに教えることや助けてあげることはあっても逆はない。
ただひたすら主人公がすごいのと強いのは知らされるけれども、弱さがないから誰かから手を貸してもらえないしダイエット以外の努力もしない。そのダイエットだってただ走ってるシーンがぶひぶひ言いながらあるだけでつまらない。

なのに主人公は賞金首の伝説の傭兵より強く、魔法の使い方教えてあげたので可愛い後輩に好かれ、元婚約者の王女様からなんとなく意識され、メインヒロインの従者にはずっとついててもらっている。
ひったすら主人公が強いとこだけ見たいんならそれもいいかもしんないけど、一回折れてそれでも立ち上がるとか、苦労するのが好きなのでつまらなかった。

なんかひたすら設定盛りすぎてて応援もなにもないんだよな。

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