「悪逆貴族の身辺整理」死を厭わない主人公による丁寧な自殺準備

★★★★★

あらすじ

転生先は物語の悪役公爵!? 400万PV越えの人気WEB小説が書籍化!

現代日本で死んだと思ったら、小説『叛逆のジーク』に登場する悪役公爵・ハインレイドに転生していた。血も涙もない””己””の非道な行いを思い出し、物語通りに死ぬことを決意するハインレイド。
一方、公爵のおかしな様子に、ハインレイドを殺すはずの護衛騎士・クレイグは不審を抱く。だが、ハインレイドの“とある行為”を目撃してしまい、予期せぬ執着を抱くようになり!? 
物語はハインレイドの破滅に向かい加速するが、クレイグは物語では考えられない行動をとり始め――

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こんな人におすすめ
  • 本人視点だとおちゃらけた雰囲気を出してるのに別の人間視点になると一気に不安定になるキャラが好きな人
  • 丁寧にメンタルダメージ描かれてるのが好きな人
  • 従者×主人が好きな人(精神的優位は一応主人だと思う)

(転移後)主人公が死ぬ理由がわかりすぎる

面白かった!!! めっっっちゃ面白かった!!!!

妹の治療費を作るため、また自分がちまちま稼ぐよりも保険金で入ってくる金のほうが多いと計算をしてしまったためにどう見ても事故に見える自殺を画策した主人公。見事自殺は成功したが、目覚めたとき彼は大好きだった小説の悪逆貴族に転生していて――という物語。
悪役令嬢モノの男版というかBL版というか。主人公である現代日本人兼悪逆貴族は受けで、攻めは本来の小説通りの筋書きならば、主人公を殺すポジションである従者騎士。従者×主人の下剋上モノ、と言って良いんかな……中身一応別人になっちゃってるしな……。

いやほんっっっっと面白かった。
主人公のメンタルが理解できるギリギリのラインなのが面白い……。

物語の中で主人公は自分の死を目論む。
悪役令嬢モノなんかで時たま「でも私は処刑されるんだ……」みたいにキャラが言い出すたびにお前なに言ってんだよ!こんだけしといて!と思いがちなんだけど、この話ではすとんと納得できた。

理由としては、

  • 元々主人公が理由があるとはいえ自殺した人間であり、死とはどういうものか理解している
  • 物語敵あるある中世ヨーロッパで悪逆の限りをつくし虐殺をしまくった悪逆貴族の行った事柄を現代日本人の感覚を持ったまま記憶してしまっているためメンタルにめっちゃキている

上記の二種類があげられる。
いやそりゃクるわ、めちゃめちゃクるわ。そのうえで死んだほうがいいな!と思えるわ。彼が死んだほうがいいなと思うこと自体が二度目で、一回目は成功してしまっているんだから二度目も成功すると思ってしまうわ。

悪逆貴族を自分と認識してしまっている、彼の記憶を引き継ぎ彼の体の感覚が残ってしまっているからこその自殺志願や自罰感情が読んでいてぞくぞくしたしめっちゃ良かった。
主人公のメンタルがぐちゃぐちゃにされるのが大好きなのでめっちゃ良かった。本当に良かった。

そして、自分が死んだ後に領地に迷惑がかからないようにできることをこなそうという主人公、さすが自殺2度めなだけある。仕事が丁寧。そんな部分丁寧になるな。

強がってるけどメンタル壊れているキャラが好き

時折不穏な部分は見せども割と三枚目っぽくて地の文おちゃらけてる主人公だなーと思ってたんだけど、後日談部分で攻め視点になった途端にものすごくギリギリで綱渡りみたいな精神状態なのがわかってぞっとした。こういうキャラにすごく弱い。

この状況になったからには、もう主人公にとって救いというか逃げ道が死しかないんだろうな。
そして攻めは攻めでそれを許容しないので絶対に平行線でしかない。
途中で言われてたけど、手を伸ばしているのは騎士の側からのみで、その手を離したらするっと落ちて死ぬんだろうなと思えるような描写だった。

それが主人公視点になるとふざけた文章になるから怖い。お前傍から見たらというか完全にどっからどう見てももうぎりぎりなのにごまかすなよ……!

主人公がぎりぎりで、完全に救われることは未来永劫ないだろうしアンハッピーとも言い難いがハッピーとも言いづらい、メリバというのもまた違う、絶妙な後味の悪さと最高な読後感だった(後味絶妙な話がめっちゃ好き)。

それはそうとして主人公の性格もめっちゃ好きなんだよな……。日本人の倫理観がありながら微妙に死の側に足を踏み出してて、自己犠牲というにも若干違い、自罰的というには一番近いんだけどなんなんだろうな。
性的描写は主に後日譚のほうがメインなんだけど、そっちも受けの誘い方とか諸々、攻めへのメンタル攻撃など含めてめっちゃ好みだった。いやほんと好きなとこしかねえわこの主人公。

陛下と悪逆貴族の関係が気になる

それはそうとして、悪逆貴族(主人公が記憶を取り戻す前)と陛下の関係性も好きだし過去どうだったか見たいなと思う。

元々おかしかったのが悪逆貴族であり、陛下はそれを面白がってともについてきてくれた人という認識で良いのかな。陛下もかなりぶっ飛んだ嗜虐者という印象を受けたので何がどうあってここまで来てくれたのか知りたい。
陛下の死に際に内なる悪逆貴族が叫んでいた部分でこの二人がどういう関係だったんだろうって知りたくなった。
誰もが嫌がる最悪コンビというのはわかる。

ピアス開けられた話良かったな。気に食わないなら仕方ないという納得のしかたが超良かった。

それから、個人的には執事のカールが大変ツボだった。
こういうキャラに大変弱い。スパイとか間者とかあのあたりのキャラに大変弱い。

本当に面白い本だった……。めっちゃ楽しかった……。

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