「「若者の読書離れ」というウソ: 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか (1030;1030) (平凡社新書 1030) 飯田 一史」大人だって本読んでねえじゃねえか!!
あらすじ
「最近の若者は本を読まない」のは本当なのか?「中高生に読まれている本」の綿密な調査と分析を通し、十代の読書の実態を検証する。
面白かったー。若者の読書離れが嘘であるという実証からの、最近の若者にウケている小説の紹介が行われていく。
中高生に刺さる自意識+どんでん返し+感情爆発パターンとして人間失格が出てくるの面白すぎるだろ。
エロい挿絵のあるなろう小説を読むのはエロいのが好きなおっさんおばさんだけとかいう身も蓋もない結果にめちゃくちゃ笑った。オモロ。
そもそもみんな、本読まない
そもそも若者の読書離れは進んでいないどころか、朝読書が推奨されてからは上がっている。朝読書がない高校生以上は不独立は5割を若干切る程度だが、しかし1960年代から2019年までの日本人全体の読書率はずっと40~50%で推移しているため、誰かに強制されない限りはみんな5割程度しか本を読まないというのは笑ってしまった。
確かにわたしは本を読むのが好きだから読んでるけどジャンルがラノベに偏ってるし、海外小説以外は読むななんて言われたら月に1冊も読めないだろうからな。読書以外に趣味がある人は読書をしない。それはそう。
勉強などなんらかの理由がある人は読むかもしれないが、強制されなければ他のことをする、それもそう。
わたしも新聞読まない率とかあったら読まないほうに入るしな。読書、なんかたまに崇高な趣味扱いされるが、ただ単なる時間つぶしの趣味でしかない。他に趣味があったらそっちやるよ。
ちなみにスマホがあるから読書をしないというのも違うそうで、スマホの普及率が2010年は4.4%、それが2018年には74.3%。不読率は2008年は46.1%で2018年は47,3%。みんなすることがあるから読まないというだけ、というのが数値で表されるとたしかにな。そもそもスマホがあろうと本を読むやつは電子書籍で読むだけだし。
人間失格は若者にウケる要素がたくさん
勉強不足なので未だに人間失格人類なんですが、自意識+ドンデン返し+感情爆発パターンに入るなら読んでみたい。
若者に好まれるパターンとして紹介されていた型のひとつに、「自意識+どんでん返し+感情爆発パターン」というのがある。
周囲に馴染めない、自分は他と違うなどといった自意識を持つ主人公が、家族や恋人や親友など特別な存在になる相手と出会い関係が進展していくも、驚きの展開が発生。相手が主人公に対する秘めた思いを爆発させて、それを知った主人公も相手への情動を吐き出しエモが発生する。
確かに言われてみればスターツ出版あたりにありそうだなと思う内容ではあるが、人間失格、そんな話なのか……。めっちゃ興味持っちゃったじゃないか……。太宰治、なんか暗そうぐらいで読むの避けてたけれども読んでみたくなった。夏目漱石もろくに読んでないし有名文学だいたい読んでないけれども興味が出てきた。
若者にウケるのは死にネタとパロロワ(意訳)
これ以外の若者が好むパターンとして紹介されていたデスゲーム・サバイバル・脱出ゲームについては、ちょうどわたしが中高生ぐらいの頃にリアル鬼ごっこが流行っていたのでものすごく納得。
バトロワよりは少し後の世代なんだけど二次創作でパロロワが流行ったのも知っていたので、ああいうのみんな好きな時代あるよね、と。とはいえわたしは微妙に世代外れててパロロワは2chまとめサイト系で見てたのでまた別かもしれん。
余命モノも、読み終えてエモが得られるのがわかるし、一時期の年代って死にネタ好きだよなというなにかを思い出してしまった。それもサナトリウム文学と言われてしまえば、それはそう。
大事な人が亡くなったり、死んでしまった人との再会モノ、みんな好きだよな。
同人でやってると若い(柔らかめの表現)とか言われがちだけれども、昔からサナトリウム文学としてあると言われると元気になれた。
でも、読み終えたあとにどんな感情になるかわかる話はみんな好きじゃん! ◯◯しないと出られない部屋、みんな好きじゃん!!
好まれる傾向、結構エンタメの基本よりのものだな、それを特に強めた感じだなとは思った。小難しさよりわかりやすさに突出したエンタメってかんじ。本屋大賞受賞作は好まれるというのもわかる。あっちのがエンタメだしな。
身も蓋もない話も
エロい挿絵はそこまで好まれない。ラノベは大人向けに転換しているので子供はそこまで読まない。つまりエロい挿絵のラノベを読んでるのはおっさんおばさん。
このラノで10代ラノベ読みにラブコメは人気だが、そもそもラノベ読んでる割合が10代だと低いので、ラブコメ読んでる10代の時点で……。
そういったあれこれの身も蓋もない話に爆笑してしまった。やめてくれ。それはいい年した現代ラブコメ1対1展開好きに刺さる。