
あらすじ
喋るとバチバチ、筆談ではいちゃいちゃ。宿敵を演じる二人の裏表ラブコメ!
柊ヶ丘学園の生徒会と部活連合は対立関係にある。特に生徒会長の「冷徹メガネ男」東口真北と、部活連総代の飄々としたカリスマ女子・西丸何南は両陣営を代表する宿敵。顔を合わせれば口論する日々を送っていた。しかしある日の放課後、東口がひとりで通う学校の自習室に西丸が訪れる。身構える東口であったが、西丸がノートの切れ端に書いてきた言葉は、『……てか、付き合ってる人いる?』 本当は西丸は、東口と仲良くしたいのであった!
二人は宿敵を演じながら、放課後は自習室で筆談する秘密の関係に。東口が初めて知る、可愛くっていたずら好きな西丸の素顔。話せば敵同士、紙の上では付き合う目前(?)の恋の行方は!?
過去に何作か読んだことがある作者さんの本。これも「恋人以上のことを~」もそれなりに合うので、今度陽キャになった俺の青春至上主義も読むかな。
共通の秘密を持つ二人のこっそり感がとにかくかわいい
互いに「ミステリアスめ美少女」「お固め生徒会長」というキャラを他人から押し付けられ、結果的に学内では対立する立場に置かれている二人が、二人っきりの自習室で筆談をしたり密談をしたり徐々に仲を深めていくお話。
ヒロインが普段みんなに見せている姿と自習室で二人っきりでいるときの姿の差がなんとなく気になったり、そんな状況で二人で共通の秘密をつくって仲良くなっていったり、学校についてのあれこれを画策して協力するのは読んでてわくわくした。
でもそれ以上に、主人公・東口が、ヒロイン・西丸に翻弄されながらも、二人が徐々に仲を深めていくのがとにかくかわいい!
ヒロインである西丸が、色々と東口に対して気がありそうな素振りを見せてくるたびに、東口が『こいつはもしかして俺に惚れているのか……?』って動揺しまくっているのが読んでてニヤニヤする。そう、下手に鈍感だったりせず、恋愛アピールっぽいものはは恋愛アピールと受け取ったうえで動揺したりときめいたり、でも自意識過剰なんじゃ!? と悩む青少年が私は好きだ……。
自意識過剰な高校生っぽさもあり、けれど西丸側も本気なのか? もしかしてやっぱり好きなのでは? というギリギリを突いてくるのがうまいんだよな~。
私語禁止の自習室で『副会長と付き合ってるの?』や『てか、付き合ってる人いる?』といったルーズリーフに書かれたお手紙を出されたら、そんなんやっぱり『こいつ俺に気があるのでは?』と思っちゃうよ!
私語禁止故に、人気のないたった二人だけの自習室の個人スペースの仕切りの下から交わされるお手紙は、実際声に出して喋るよりも絶対楽しそう。
また、筆談ではあるものの、西丸が時々手書きで書いてくる顔文字が二人の間での暗号になるというのも面白くて良かった。筆談だと顔文字なんてほぼ使わないが、でも丸っこい女子の字で書かれた顔文字、絶対かわいいからな……。
双方ともに『素を見せるのではなく、他人に求められた仮面を演じている』という共通点を持つ男女が徐々に仲を深めていくのはかわいい。最終的には二人が仲が良いのがバレたところで演じるのが嫌になりくっつくパターンかな。
秘密の協力ネタが好きなので面白かった!
という流れから始まって、生徒会の会長である東口に、対立している部活連合の総代である西丸が協力体制を持ちかけ、二人の間にあった『自習室での秘密のやりとり』の種類が変わってくるところが面白い。
代々続く馬鹿馬鹿しくもそう簡単に「やーめた!」とは言えない伝統である生徒会とう部活連合の対立を徐々に解消していくために口裏合わせて討論の内容を考えていく二人。
こういうちょっとした秘密の共有が恋になるんだよな~とこれもニヤニヤしてしまった。
いつも西丸にしてやられている部分が多い東口だけれども、基本的には頭が回る。そんな二人が案を出し合って妥協点を見つければ、そりゃあうまい落とし所が出てくるだろうなという納得感が大きかった。
しかし、副会長である卯月ちゃんは何が合っても生徒会長を信じる! スタンスなんだが、この子がもし西丸と東口が通じていて、裏では談合をしているなんて知ったらすごくショックを受けそうだな……。2巻以後はそういうネタも出てくるのかも。
この子含めて生徒会も部活連合も女子ばかりなので、巻が進むごとにハーレムになりそう(ハーレム苦手人間の警戒)。
久々に邪悪な新聞部見たな
久々に邪悪でゴシップに全力の新聞部を見た気がする。というか、ちょっと前に読んだ誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由の新聞部が飛び級天才少女について真実を広めようとしているパターンだったからこそ、かなり違うこれが「うっわ邪悪~~!」と感じたのかも。
盗撮写真を「読者提供です! 私が盗撮したわけではありません!」で切り抜け、ゴシップにしかならない記事を載せて騒ぎを起こし、けれども毎回ゴシップ系の記事ばかりだと学園内から取り締まられるからとほのぼのニュースも混ぜていく。賢い。
しかし、他者提供の盗撮はセーフで本人による盗撮はNGってのもちょっと不思議な話だな。盗撮によって得られた画像はどちらにせよNGっていうくくりではないのか。
……というゴシップ系害悪新聞部の真実の狙いである『東口と西丸をくっつけたい!』というのが読者に提示されたところで私はまず笑っちゃったんだけど、その後にかなり「うわー……」となっちゃった。
このカップリング(実際にカップリングというセリフが出てくる)が好きだからといって、リアル人間をくっつけようとするのは違うだろ……。いやー……心意気はわかるし笑っちゃったんだけど、でも要するにやってることって害悪ナマモノカップリングオタクじゃねーか……キショ……。
同級生をくっつけようとするキャラってラノベでたまによくいるけれども、互いが明確に両片思いだがなかなか踏み出せないパターンならいざ知らず、こういう全く恋愛感情が見えてない二人を煽るために、意識させるための他者との熱愛記事、意識させるためのそれっぽい記事を書くのは、現実と創作の区別がついてないタイプだよ……やべーよ……。
これが男同士に対してやろうとしてる腐女子キャラなら害悪!!! となるが、公式カップリングになりそうな二人の場合は何故かセーフになりがち。個人的にはドン引きした。
東口と西丸の画策がこの後どうなるかはかなり気になるので続きも読んでいきたいところ。ただ、新聞部はどうにかならないですかねえ……。
