やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 (角川ビーンズ文庫) 永瀬 さらさ
あらすじ
婚約者の王太子から処刑を言い渡された令嬢・ジル。だけど死ぬ間際に、6年前婚約が決まったパーティーに時間が戻る。
破滅ルートを避けるべく、とっさに後ろにいた人に求婚すると最大の敵だった皇帝・ハディス!? 彼が闇落ちする未来を知っている……慌てて撤回するも、喜んだハディスはジルを城へ連れ帰り、ごはんを作る始末。胃袋をつかまれたジルは決めた。
「あなたを必ず更生――いえ、しあわせにします」 いざ、人生やり直し!
累計550万PV突破! WEBの超・話題作!
強すぎた少女×孤独だった陛下の、年の差ラブ・ファンタジー!
- (外見のみ)年の差ラブコメが好きな人 ※ただし実際精神年齢でも主人公は相手の3歳年下
- 経験と努力に裏打ちされた最強幼女チートが好きな人
- かっこいい主人公を見たい人
- 主人公を口説きつつ主人公に胸キュンして死んでる相手が見たい人
逆行モノで年の差ラブコメ
ジャンルとして存在するよね、逆行モノ。
この物語も、主人公(16)が死んだ地点から逆行し、6年前、彼女が死んだ原因が開始する場所へと逆戻りする。
主人公は王子と婚約していたものの、王子は実は妹とデキてるタイプの男。
王子の浮気というかむしろ本気の相手に気付いて拒否ろうとしたところ罪人に仕立て上げられ処刑されることとなる。
その瞬間に諸々あって逆行し、王子に見初められ婚約される契機であったパーティへと時間が引き戻された。
王子と目が合いこれはやべえと思った主人公が逃亡、それでもなぜか追ってくる王子、このままだとヤバいと手近にいた相手をひっ捕まえて「私この人に一目惚れしました! この人と結婚します!」と適当に宣言。
そしたら相手が大喜びしてそのまま主人公((10)を自国へお持ち帰りして――というお話。
キャラの目的がわかるお話って読みやすい
逆行モノ、一時期流行ったけど良いよね。
自分が未練に思っている出来事を今度こそうまくなんとかするというのは良い。
前に読んだ願わくばこの手に祝福をもだけど、未来を知っているからこその行動というのは楽しいし、異世界転生もなんだけど、未来に配置されていると知っているイベントを、現在知識とできることで回避しようとするのは物語として面白い。
この作品も。
未来を知っているからこそ変えようとする、自分がいやすぎる未来になるのを変更したくて頑張るという物語は、ふわっとしているものの着地点がわかりやすく、どういうラストになるのかある程度想像ができるから読んでいて楽しい。
「期待を裏切るな、予想を裏切れ」だっけ。それができるんだよね、逆行は。
なおかつ主人公の動機にもしっかりと理由があるから良い。
今回は、主人公が「自分が失恋した上に好きだった相手に裏切られて処刑される未来を変えたい」、そのために「婚約者と婚約関係にならず、他の相手とどうにか良いかんじの関係になった上で、子供の言ったことだと婚約破棄をする」が目的。
目的がわかっているから、元(将来?)婚約者が追ってきた際に逃げるのもわかるし、これだけ必死になるのもわかるし、がんばれー!と応援しやすくて楽しかった。
キャラが好き
主人公が、脳筋――とまではいかないが、かなり指揮官かつ自分も中央突破的体質なんだよね。
ジャンル的には幼女チートにあたるもの。
とはいえ、主人公がこれだけ強いのは、逆行前に鍛えていたから。
なおかつ(ここの大半は予想だけれども)魔力はもともとの素養がありそれを開花させたものなので、筋力と違い逆行しても残っているのが理解できる。
主人公の努力がこの場でも使用できているという意味でとても好き。
そんな主人公が、圧倒的魔力を使って大人と渡り合うのは読んでいて好きな人は好きそうだと思った。
私の場合はいくら強いとはいえ幼女を戦場に出すのは若干好きではないやつなのでそのあたりはあんまりなんだけど……。コナンの小五郎のおっちゃんがコナンたちをあんまり殺人現場にいれたくない倫理観が好きなので……。いくら主人公がドチャクソ強いとはいっても外見は子供、ちゃんと子供扱いして周囲の人間が守ってやってほしいな……。
そして、主人公は前述の通り過去に失恋している。
失恋というか、相手がクズオブクズだったのでなんというか……男運が悪いんだよね……。
だから出来れば恋愛したくない、相手が自分に惚れたら好きになるぐらいの気概で行こうと思っている主人公が、自分に対して優しく、好感度をあげようと食べ物を作りまくってくれる陛下に徐々に心を許していき、最終的には好きになっちゃう流れが良すぎた。
というかラストシーン! ラストバトル!! 必ず最後は愛が勝つじゃん! 困難最高でしょ!!!
で、主人公が惚れるだけあって陛下がもーーーーーーかわいいんだな。
魔力的にはめちゃくちゃ強いんだけど体があまりにも強くなく、胸キュンでガチで死にかける。
主人公のやることなすことで胸キュン起こしてマジ死にをしかけていたり、自分のその胸キュンを恋愛感情だと気付いていなかったりとどれもこれもかわいい。
陛下のお供というか使い魔というかな竜神は陛下の感情に気付いていて、陛下の胸キュンのたびにあーーーーうんソウダネ……みたいな反応をしているのがとてもおもしろかった。
もうお前ら結婚しろ。ああ、結婚してるのか。
ところで主人公の元(将来)婚約者の王子様。
この王子が物語の最後まで主人公を追ってくるんだけど、これ結局なんでなんだろうね。
最初は自分のプライドへし折られたからなのかなとも思ってたんだけど。
このまま主人公に執着するキャラになるのかな。それも何か変な感じ。