「落ちこぼれ王女と黒の番犬 2 (ビーズログ文庫)」結都せと
あらすじ
最弱王女の結婚を巡り…… 番犬vs狼勃発! ワケあり主従ラブ第2弾!
最強軍人オルバと《護り犬》の契約を誤って結んだ落ちこぼれ王女のリーザレット。
だが「俺が王にしてやる」という彼の言葉に、女王になる自覚をもち始める。
そんな折、長年の敵国で“北の狼”と呼ばれるノスヴァルトから政略結婚を迫られた!
オルバへの秘めた想いを抱え、リーザレットが選ぶのは……国? それとも!?
ワケあり主従ラブ第2弾!!
危機感ない主人公の感覚にこちらが不安になってくる
うーん……。1巻は主人公が後ろ向きで自己肯定感が低く自分を卑下しがちな部分以外は割と楽しめたんだけど、2巻はかなりきつかった。
敵国から政略結婚してくれと言われたリーザレット。父である王は結婚するにしてもしないにしても、ここに彼がいる間はお前がもてなせという。兄たちは政略結婚するか、もしくは敵国王子から情報をうまく奪ってこいという。護り犬のオルバは好きな相手である主人公が結婚させられるということで微妙に不機嫌。という状況での今回の巻。
オルバは主人公が好きなので、リーザレットが政略結婚するなんて嫌だ。だからと敵国王子にはかなりあたりがきついし、ことあるごとに強気で突っかかっていく。それ以外もあれこれと口が悪いし最後には手が出てしまう、とまあ恋愛モノ的には美味しい役どころ。
主人公が政略結婚は自分の立場的にしょうが無いと受け入れているのもすごく好きだった。
けど、それ以外の主人公の思考や悠長さがなあ……。
政略結婚相手である敵国の王子は、今回の結婚をかなり急いでいる。
その理由としては、自分の父である敵国の王が戦争で自国を豊かにしようとしているから。そしてその戦争は早急に行われようとしている。
このままだと自国の民たちは疲弊してしまう。だからこそ政略結婚をし、奪うでは無く皇妃への支援として物資を流して貰うことで、自分たちの立場が下になることなく物品を得ようとしている。
この思考もまず既に駄目というか、普通に何か名産品作って貿易するんじゃ駄目なのか。
貿易でいいじゃん貿易で。作物が育たないとか言ってるけど、そのお茶をもうちょっとうまいことブランドにして売ればいいじゃん。雪降る土地ならば、ならではの観光資源もあるだろうし、いくらでもやりようがあるじゃん。
それに対する最終的な主人公の対応は「自分が王様になって、友人として物資支援を行う」。
え? 悠長か?
今現在やべえ国に対してその支援って、どんだけ悠長なんだ。
よくあるたとえだけれども、「腹を空かせている人にそのまま魚を渡すのではなく、釣りの道具を渡して釣り方を教えましょう」というものがある。主人公がやっているのはこれに近い。今飢えてる人にそんなもん言ってもどうしようもなくね? 敵国では今戦争が始まろうとしているのに、「自分が王様になったら友人として支援するから上も下もないよ」って、それもうあまりに意味がなくね?
しかもそれで許容する敵国王子、それでいいのか。だったらこんなに政略結婚急がなくて良かったじゃん。一年待ったから今すぐ答えを寄越せ!って言わなくて良かったじゃん。
このあたりの悠長さと危機感のなさに、読んでいてこいつを王様にしてはいけない……ととても不安になってしまった。
ただ作中の他キャラが主人公に対してツンデレ気味で甘いから、多分なんとかしちゃうんだろうなー……うーん……嫌だ……。