「とってもカワイイ私と付き合ってよ!3」大団円の最終巻

★★★★☆

あらすじ

恋人たちの聖夜に偽物カップルが向き合う本物の感情の行方は――。

ふとしたきっかけから偽物カップルになった陰キャオタクの和泉大和とリア充ナルシストの七峰結朱。その関係は文化祭でお互いの想いの一端に触れ少しずつ変わり始めていた。
クリスマスが近づき、大和がデートスポットとして何気なく選んだイベントは、実は片想いの相手を誘って告白するためのもので――。それを知る結朱は予想外の提案に戸惑いながらも、その胸はどこか抑えられない高鳴りを感じていて……。
「ほ、本気なの? それなら私も覚悟決めないと……!」
恋人たちの聖夜に、偽物の関係と本物の感情に揺れる2人は何を思うのか――。ナルかわ青春ラブコメ第3弾!

いやーーーーー良かった、めっちゃ良かった……すっごい良かった……。

偽物カップルの恋の行方

グループ内恋愛の三角関係を回避するために大和と偽装で付き合い出した結朱。偽装というのがバレたけれども本当にお付き合いになりましたということで続いている偽装カップル。
けれども徐々に互いのことを知っていくうちに――というお話ではあるんだけれど、いやー綺麗に収まって本当に良かった……。

クリスマスに告白の聖地にデートに誘われ嬉しげにする結朱がもうめっちゃ可愛かったし、告白の聖地であると後から知ってこれ俺が告白する流れじゃん!?!?となる大和のいやいやそれ勘違いだから!と言おうとしてもなかなか言えないヘタレっぷりだとか相手への気遣いだとかそこらへん含めてとにかく可愛かった。
今まで徹底して互いにじゃれ合いからの好きって発言や接触が多かったので、結朱が大和のことを恋愛的な意味で好きなのかな? 大和が結朱のこと恋愛的な意味で好きなの? とずっとよくわからなかったんだけれども、結局結朱は恋愛的な意味で好きってことで良かったんだよね?
このあたり分かりづらいし、告白されると嬉しそうにしている結朱を見ている大和が、結朱は自分に気があるんだという認識になったりもしないところもちょっと不思議なんだけど、でも今までの二人の関係性が関係性なので、そういうものなんだよなあと読めてしまうから不思議。

またしても結朱がヘタレて逃げたり、大和がヘタれて選択を間違えたりしつつ、それでもちゃんと到着するところに落ち着いて良かったです。

最後の最後の二人の会話がすごく好き。

「なんか、本当に付き合い始めたっていうのに、前と全然変わらないね。人を好きになるって、もっときらきらしてて素敵なものだと思ってたんだけど」
「そりゃ、お互いに根本的な人間性が変わってないからな。付き合っただけで何もかもが変わるわけじゃないってことだ」

読んでてこれほんと良かった。付き合い出した、相手が自分を好きだと認識し、自分が相手を好きだと伝えた。でも二人の関係は変わらないんだなって。
前の巻で結朱が、大和がヒナと仲良くなり自分の知らない頃の大和になっちゃって自分との関係性が変わってしまうのを怯えていたからこそ、付き合っても二人の関係性が変わらないというところが見れて良かった。まあもともと対外的な発言は双方ともに相当バカップルやってたしな。
二人の軽妙なやり取りが今後も続いていくだろうというのがしれて何より。

誠実さと報連相

この本に出てくる人間、自称陰キャの大和も(もはやどう見ても陰キャではないだろというツッコミはおいといて)、その他陽キャの人々も、陰陽は置いといて全員コミュ力が高い。コミュ強。

大和と結朱が偽装カップルになる原因である亜妃と颯太。亜妃が再度颯太に告白するにあたって、恐らく結朱は亜妃にかかりっきりになる。
そのため事前にグループ内の今回の告白に関係ない一人が大和に根回しとしてそのことを伝えておいてくれる。

こういう事前根回しとか、報連相とか、かなりしっかりしてるんだよなー。おかげで情報不足によるすれ違いというのが、個人の調べ不足以外はほぼ出て来ない。大和がミスって告白の聖地をクリスマスデートの場所にするといった個人のミス以外ではほとんど出て来ない。
人と人が馬鹿な流れですれ違うのって読んでてちょっとしたストレスになりがちなんだけれど、そういうのが無くて読みやすかった。
コミュ力高いなこいつと大和は思っているけれど、いやいやお前も相当コミュ力高いからな……。前の巻で、ヒナについてを結朱との間で拗れる前にちゃんと話している時点で相当コミュ力高いからな……。
人間関係のいらん疑いでの拗れがないの、読みやすいです。

また、そのコミュ力の高さが真摯さや誠実さから来てるところも好き。

颯太が亜妃からの前回の告白は結朱を好きだからと断っている。それによってトラブルが起きた。そして今回も受けるかどうか悩んでいる。その理由が真摯。

「……受けるのか?」
核心部分を訊ねると、シュートを打とうとした桜庭の動作が止まった。
「……さあ、わからない。受けたほうがいいんだろうなとは思うんだけど」
  (中略)
「……そのままの意味だよ。前に告白されて、それを断った時、俺たちはバラバラになった。もし、また断れば、同じことを繰り返すかもしれない」
「だから受けたほうがいいと?」
「ああ」
 ボールを弾ませながらうなずく桜庭。
「……俺が口を挟むことじゃないかもしれないけど、小谷のことはなんとも思ってないのか?」
 俺の言葉に、彼は自分の心を問いただすように目を閉じた。
 そして、ゆっくりと答える。
「……そんなことはないよ。可愛いと思うし、いいところも知ってる。なにより、あんなことがあったのに俺のことをまだ好きでいてくれるのは嬉しい。けど、どこまでが自分の気持ちなのか、俺には判断つかないんだ」

この選択に悩むあたりがほんっとうに好き。グループを守るために彼女と付き合わなければならないという義務感で動いているのか、彼女への恋愛感情があるのか。ただ受け入れれば状況は楽になるというのに、ちゃんと自分の気持ちにも向き合った上で彼女に向き合おうとする。その誠実さがものすごく好き。
コミュ力低ければここまで亜妃に対してちゃんと向き合えないし、言葉を探せないとも思うんだよね。もしくはグループ内の人に話してしまってそこからどうにかされてしまうか。
あえてグループ外だけれども自分たちの関係は知っている大和に話すあたりも、場をどうにかする能力がある人だなと思えた。この、あえて近すぎる人ではなくグループ外の人に話すというの、前の巻で大和も亜妃の不満をどうにかするためにヒナに聞いてもらっていたよね。うまいなあ。大和含めてみんなコミュ力高いなあ。

テンポの良い掛け合い、シリアスとコントのバランスの良い配分、登場人物皆コミュ力高くて真摯かつ誠実であるがゆえの読みやすさ合わさった、すごく楽しいシリーズだった!!
この先の二人がどうなるかも読みたい気がするけれども、新シリーズ始まってるっぽいから恐らく無理かな。楽しかった。

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