「夏恋シンフォニー こじらせヒーローと恋のはじめかた」どこまでもド王道物語

★★★☆☆,ビーンズ文庫三角関係,両片思い,学園,幼馴染,片思い,現代

あらすじ

そのギャップは反則です!? 想いが奏でる夏恋ストーリー!!

最近失恋したばかりの高2の心南。
ある日、からまれているところを派手で有名なサッカー部の陸哉に助けられる。
その優しさに触れた心南は、陸哉が実は、恋愛初級以前の“こじらせ男子”と知ってビックリ!
彼に恩返しがしたくて「本当の恋」をしてもらうため頑張るけれど――陸哉は、自分が心南の心から失恋相手を追い出すと言い出して……!?
「“ちゃんとした恋愛”ってのをさせてくれよ」
想いが奏でる夏恋ストーリー!

すげー良くも悪くも王道で、意外性がなく、きっとこうなるんだろう!を愚直なまでになぞってくれるので安心して読める中高生向け胸キュンストーリーって感じだった。

加点ポイントはものすごくあるし減点ポイントはなんにもないんだけど、ここがこの話だけの面白いポイントなんだ!って言うような場所もないお話だった。

ところでこういうのも今はビーンズから出るんだね。ビーンズってファンタジーがほとんどだと思ってたので意外。

王道的に好感情を抱ける主人公とヒーロー

チャラそうながらも実は面倒見が良くて他人のために頑張れるヒーローと、友達思いで少し内側に抱え込んでぐるぐるこじらせて悩んでしまったりはするけれども基本的には真っ直ぐなヒロイン、というどこまでも王道なキャラ付け。
そんな二人が、主人公は最初はヒーローをチャラ男と認識していたが、彼の人に手を伸ばす優しい人なところを知って、日常でも接するようになり、どんどん無自覚に恋をしていく――という物語。

本当に、あーこのキャラ絶対にこういうこと言ってくれるな、というのを徹底して守ってくれるので、意外性は本当に無いんだけど安心感がすごい。

こじらせヒーローとは言っているけれども、個人的には主人公のほうがこじらせていると感じたな。もしくは主人公の幼なじみで元彼。
ヒーローのほうは正しい恋を知らなかったところへ現れた主人公が恋を教えてくれて本気になったという印象。

キャラ紹介を見るだけでわかる当て馬

いやこれすげーよ。少女小説はよくキャラ紹介あるし、それを見るとなんとなくこういうポジションかなとわかるのもあるけれども、それで当て馬とどういう流れかと最終的にあてがわれるキャラがいるかどうかまでわかるのは本当にすごい。褒めています。

いい人な当て馬である先輩は実のところ好きな男がいてそっちとラブラブ、悪い人な当て馬である幼なじみは主人公に内心を切りつけられて自分の彼女とも別れて独り身に。
こういうの含めて全部「あー、わかってた、こうなるだろうとわかってた」と言える展開なのは本当にすごかった。

どこまでも安心感ある展開

展開もね! すげー想定通りに進んでくれるので安心感がすごい。

主人公の弟が絡まれているところに割って入る主人公、けれどもどうにも出来ずにピンチになっているところへ現れるヒーロー。そうしてヒロインはチャラ男と思っていた相手が存外にいい人であると知り、自分が彼の一面だけしか見ていなかったとわかり、他の面も見てどういう人か知り、当て馬が出てきてぐらつくもふたりはくっついてめでたしめでたし。
本当に絵に書いたようなきれいな起承転結で、きれいな王道展開だった。
ここが胸キュンポイントです! ここで切なくなってください! ここで主人公が思い込んで暴走しているが実際のところヒーローが好きな相手は予想通りのヒロインです! というのが下手な小細工なしで描かれていくため、不安感が本当に何もない。

あえて言うならば幼なじみがヒロインと付き合う理由や今カノと付き合うことに決めた理由が闘争心からであって恋ではないというのが物珍しいなとは思ったのだけれども、これは全体をハッピーエンドにするためなのかな。
下手にクズであるオチよりも、学校のせいで闘争心煽られて誰かに奪われそうになるとすぐさま俺の!ってしなきゃならない精神状態になっていたというほうがまだ少し救われるもんな。

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