「作家で億は稼げません」億は稼げないかも知れないが、営業忘れず泥臭く、作家として細く長く書いていくための方法
あらすじ
「ベストセラーは出せなくとも好きな本を書いて生きていこう」
……ぶっちゃけた話、『作家で億は稼げません』などというタイトルの本をウッカリと手に取ってしまったあなたは、かなり高い確率で天才ではないと思うのですよ。
しかし、それで正解なんです。本書は、神に愛された天才や、強い運を持って生まれてきたひと向けではありません。
そういった御仁は、放っておいても世に出ていくでしょうし、凡才にすぎない僕が教えられることなど、ひとつもございません。
僕がレクチャーしたいのは「凡才ならではのサバイバル方法」です。やり方によっては長く戦えます。
この本が、天賦の才や運を持って生まれなかった、以前の僕のような小説家志望者の道標になればと思います。
まずは本を出せないと意味がありませんから、ベストなデビューの方法を一緒に考えていきましょう
作家で億は稼げないが、細く長く泥臭く、それでも作家として行きていくためにはの本。
そもそもが「小説家になって億を稼ごう」に対して「そう簡単にうまくは行かねえぜ!!」というための本というか。実際に著者の最大年収と最小年収も書かれているので、お、おう……億はちょっとむずかしいかもな……と思わされる。
なろうではなく新人賞狙って行こうではあるんだけれど、受賞ではなく拾い上げの想定でこうしていったほうが良いというのが描かれていく。
編集者から修正を指示された場合はどこまで変更するか、自分がどうしても変えられない場所をどのように死守するかといった箇所から、受賞作ではなく拾い上げなので発売がいつかわからないし他の作者が落とした穴埋めに使われるだろうといった微妙に切ない話も出てくる。
書かれている内容は、全体的にすっごい泥臭い。
本が出たら献本は関連する出版社の関連する部門にとにかく全部送れ、なんなら自費で購入しても送れ、とにかく営業して名前を覚えてもらえと繰り返される。そして送ったことやそこで声をかけられたら新人賞で拾い上げてくれた編集部にも一言伝えておけとも書かれている。
これ、報連相をちゃんとしろ、話をしろ、仁義を通せ、義を忘れるなってことだよな。著者がいろんな出版社から出しているし以前書いた出版社から数年ぶりに本を出したりするからこそ、いろんな出版社との関係性をそこそこ良くし、悪印象を持たれなくし、どこの出版社からでも本を出せるようにしている。
上記の新人賞拾い上げの想定でも、2巻目で打ち切り、3冊目で編集者からの反応が悪くなる状況になってきたら~という嫌すぎる想定をぶちかまし、なおかつそれでも作家としてやっていくために献本の営業が生きると書いている。
億は稼げないかもしれない。でも細く長く本を出して作家として生きていくための本だった。しかもそれを仮想戦記っていう正直あんまり人気どころじゃないジャンルを扱ってる人が書くとなるほどなとなる。
なお、受賞作自体の書き方に関しては、他の本に完全にぶん投げてる。潔い。作者になってからどうするかがメインの本だった。
これは完全に余談だけど、kindle unlimitedって作者のほうが入れて!って頼むもんなんだな。