「経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子」優しさはときに残酷だよ

★★★☆☆三角関係,両思い,付き合ってる,同級生,学園,恋愛,片思い,現代

経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子

経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子

AmazonBookWalker
あらすじ

「もう、記念日はいいや。リュートと一緒にいられる毎日が、あたしにとっては特別な記念日だって気がついたから」。
“二ヶ月の壁”を乗り越えたころ、月愛はまた、走り始めた。どんどん大人になって、魅力的になっていく。そんな月愛に置いていかれないように、龍斗ともまた、自分の気持ちを新たにするのであった。激動の夏休みが終わり、待っていたのは愛しくも退屈な日常……ではなく、もっともっと刺激的な二学期でした。走り出す月愛。その手をしっかり握り止める龍斗。凸凹カップルとその仲間たちによるラブストーリー、お待たせしました第3巻。今回はあの人が幸せになって、あの人は振られちゃいます。

シリーズ: 経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。

うーん、今回はリュートの優しい部分が裏目に出て優柔不断さすら漂っててうーん……。読んでてお前それ悪手!その次のも悪手!と思っちゃった。

リュートと黒瀬の仲が進展していく巻

ルナが双子の妹である黒瀬と仲良くなりたい!と言うので、彼女と黒瀬が仲良くなるよう同じ文化祭実行委員となったりと頑張るリュート。しかし実行委員となったときの会話で黒瀬も自分と同じゲーム実況を見る人だと知ったり、予備校に入ったところ黒瀬が先に入校していたり、彼女を避けようとしていたのに図書館で顔をあわせてしまい遅くなったので家まで送り届けたところ運悪くルナが黒瀬の家で待っていたりという出来事が繰り返される。

案外黒瀬と共通項が多いことに気付いていくうちに、少しずつ黒瀬に友情のような好意を抱いていくリュート。リュートと黒瀬の共通項の多さに、自分とは違う人だから好きになったはずなのに嫉妬のようなものを感じるルナ。
そりゃあそうだよ、一度自分の彼氏が告った相手であり、現在自分の彼氏を好きな子が、共通の趣味が多いとなれば、そりゃあ不安にもなるよ。ルナは懐が広いというか基本的に人を疑わないからなんとかなっているけれども、普通だったらもっと早々に修羅場になっていてもおかしくない。というか、文化祭実行員の親睦会から先に帰ったはずの彼氏が、そんな微妙な立場の相手を送って来た様を見せられて怒らないルナはすごいというかなんというか。

決定的なのは運動会のシーンだよなあ。
母親をとられた気分になって屋上で泣いている黒瀬を追いかけてしまうリュート。リュートのそういう優しさは人としては美点なんだけど、こんなあからさまに「来ないでほしい、来られたらあなたのことを諦められない」と言われているときにそれでも側にいてしまうのは、優しいというよりもはや残酷でしょう。黒瀬の彼氏になることは出来ないくせに黒瀬がリュートを諦めるのの邪魔をするのってひどいでしょう。
優しいとは言え、こういうときに離れて一人にさせてあげるのも優しさだよ。とはいえ17歳の男子だからなあ……。どうすればいいのかわからないよなあ……。とはいえひでえ男だなとも思う。

最後のフォークダンスのシーンで黒瀬から出された手を取ってしまうあたりがあまりに浮気フラグに見えて怖いよ。やめてくれ。三角関係見たくねえよお前で。そしてそこで黒瀬とリュートを二人っきりにしちゃう白河は人を疑わなすぎる。
というか、意図的に疑っていないですって態度で示しているっていうのもあるのかも。浮気を疑ってしまったことで微妙な空気になってしまった夏の出来事があったからこそ疑うのも糾弾するのも出来ないっていうのはあるかも。

友人たちの恋愛模様

ニコルの恋愛は可愛くて良かったー!! 鬼ギャルなんて言われたり、同級生に酒飲まして潰して邪魔者を排除したり、サバゲーで無双したりとめちゃくちゃな行動ばっかだったニコルが、好きな人をずーっと引きずっていてその人の顔見たら泣き出しちゃうのはあまりに可愛すぎる。こういうギャップに人は弱い。
それはそうとして相手が振った理由が華麗なるクソ野郎で笑ってしまった。そこまでまっすぐクソ野郎なことある!?

イッチーの失恋は、読者がリュートの視点でいたからイッチーがどれだけアイリを好きだかわかるからこそ可哀想とは思うけれども、確かに「好かれているかわからないのに告白するのはテロ」というのそのままだよね。恋愛感情をいきなりぶつけるのはテロだし攻撃だ。
告白って互いに相手から自分への好意があるのをわかっている上で最終確認として使うのならば良いけれども、そうじゃないならば一方的に感情をぶつけるだけの攻撃行為になる。ぶっちゃけリュートとルナの出だしだってそうだったけれど、これはルナがちょっと特殊な子だったからうまくいっただけで、普通は怖いし無理だよな。イッチーの末路はリュートの相手がルナじゃなかったら通っていた道だし、その場合は紛れもなく罰ゲームになってただろうな。
でもイッチーの恋を知ってもらってそこからの発展をしてみたかったというのもわかるからこそ、うーん……。恋って難しいね。

経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子

経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子

AmazonBookWalker

スポンサーリンク