「お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?」因習村ミステリー!!!!

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お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?

お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?

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あらすじ

ねっ……お兄様、今夜も……いい?

“人外の仕業”と噂される事件の謎を解くことで、怪異を封じる力を持つ混河葉介。葉介の助手を務めるのは、とある秘密を抱える妹・夕緋。

葉介は、幼馴染に起きた不可解な出来事の真相を求め、“怪異を管理する”混河家の一員として、さまざまな謎を解き明かしてきた。

“捜査六課”の刑事・白羽奏から依頼を受け、葉介と夕緋は、放火と焼死事件が起こった伊地瑠村を訪れる。その村には、“焔狐”にまつわる奇妙な伝承が存在し、今回の事件も“焔狐”によるものではと噂されていた。

葉介たちは、村長の姪・春宮由芽らの協力を得て捜査を進めるのだが、さらなる謎が振りかかりーー。

ワケありの【兄×妹】バディが挑む、新感覚ミステリ!

ま、まっとうにミステリーとしておもしれーーー!
時勢的に流行している因習村で起きた焼死体事件を解決するためのミステリー。

冒頭の事件が『最近起きているかまいたち事件を紐解いて人間の仕業と断定する、しかし犯人が人外となったので人外っぽい妹が倒す』という流れだったのでてっきり警視庁あやかし課的な雰囲気の物語かと思ったら、ファンタジー要素よりもミステリー要素のほうが圧倒的に強い物語だった。
しかもオカルト怪異ファンタジー要素、ミステリー部分には一切関わらないからね。謎解きは完全にミステリーとして作られていた。いやおもしろ。
物語として『怪異とならないために事件は人間の行動で起こせるものだと定義するため謎解きをする』というのがあるのでファンタジーが出てくるのは最後なのはわかるがあるんだけど、それはそうとして面白いっすね……

この話の面白いところ、出てきた要素が全部ちゃんと物語の解決に寄与しているところ。主人公が民俗学を専攻する学生だっていう部分すら事件の解決に関わっていて地味に感動してしまった。なんなら作中でかなり出てくる因習村要素だって事件の理由と解決のために使われる。いや最高か?
もともと要素がきれいにハマってラストに向かっていく物語がすごく好きなんだよね、系統は全然違うけど天使は炭酸しか飲まないだとか。なのでこの話もすごくぶっ刺さった。

ところで前述のとおり主人公が行く村はかなりの因習村。

因習村
因習……すなわち、古いしきたりや言い伝えが現代まで根強く残っている村や地域を指して使われる呼称。「因習」と言う言葉自体が「弊害を生むしきたり」を非難する意味を持つため、こちらも基本的にネガティブな意味合いで用いられる。
pixiv百科事典 因習村

古いしきたりや言い伝えが現代まで根強く残っていてそれが事件に関わりのある村だ! 因習村だ!!!
村の人間がほぼ全員関わっている奇祭! 閉鎖的な空間! 神社! 当主様! 村に入った主人公が最初に出会うのはまだ年若い少女!(これはジャンルにもよるが) そんな因習村で起きる、最近のしあがろうとしている男が密室といえる環境で焼死体となって見つかる事件!!
いやこんなん完全にミステリーなんだよ。どこまでもガチもんのミステリーで起きる因習村なんだよ。最初に出会った少女が血縁のおっさんにヤられてないのが不思議なぐらいに因習村なんだよ(テンプレかってぐらい因習村物でその要素に遭遇しがち)。
この因習村要素まで事件解決や以前の事件に混ぜ込んでいたのが話としてマジでうまいしめちゃくちゃおもしろかった。

主人公は基本的に陽気で陽キャで主人公大好き!な女子高生の妹と組んで事件解決に挑む。この妹がまためっっっっっちゃ可愛かった。距離の詰め方がうまくて速くて可愛い。第一村人な女の子との会話がすごく自然体で可愛くてたまらなかった。
ところで物語のシステム上主人公はこの妹と血が繋がってないし、今後姉妹が増える可能性も全然あるんだよな。12人ぐらいに増えたときのこの妹の反応が見たいというか。

この主人公&妹バディで別の場所で謎解きをする話も見たいといえば見たいんだけど、今回すべての要素がめちゃくちゃ噛み合っていたからこそここまできれいな物語だったのでは?と思う部分もあり、2巻よりもこの単巻のほうが良いのかもなとも思った。

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