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「配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信 (ファンタジア文庫)佐藤 悪糖」リスナーとの距離感良!

配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信 (ファンタジア文庫)佐藤 悪糖

配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信 (ファンタジア文庫)佐藤 悪糖

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あらすじ

コミュニケーションは苦手、でも最強な配信者「日療の白石さん」とは――

魔物を瞬殺し、颯爽と人助けして、名乗りもせず去っていく、いまダンジョン配信で最も話題な配信者、「日療の白石さん」。彼女が全然喋らないワケは――ただコミュ力が低いだけ!?
迷宮探索者=配信者な世界において、大手医療法人に所属し国内初の迷宮救命士となった白石。アイドル配信者や大手配信者を黙々と救助しながらマイペースに配信を続けていたところ、とある事件から配信がバズり……。
喋ればポンコツ、黙れば最強、やりたいことは人助け。自己紹介すらたどたどしい人見知り少女が、人助けしながら成長するダンジョン配信ファンタジー!

タイトルから想像してた以上に面白かった!
タイトル通り、致命的に配信に向いていないコミュ障少女がルールに則って配信する話なんだけど、こういう配信はしたくないけどルール上必要だからという、普通のキャラ性格考えたらやらなそうなシチュエーションを納得させる設定が上手い話て好きなんだよ。
実際コミュ障で喋るのは苦手ながらも思わず応援したくなる主人公で良かった。

喋りベタコミュ障の配信者生活

この物語の主人公は、「喋る」というコミュニケーションが大の苦手。対話が苦手でどもるし、人前でキョドるという、配信者として究極に向いていない少女なんだよね。でも迷宮探索時は動画公開が義務という世界設定のルールに従わないといけない。そうして始まった無言スプラッタ配信に慣れたリスナーたちが、勝手に内輪ノリで盛り上がったり応援したりコミュニケーションしたりする様子がめちゃくちゃ面白い。

:行くのか
:え、でもやばくね?
:配信的には大丈夫? 最悪、死体が出るぞ?
:お嬢は行くよ
:この人は配信映えとか一切気にしないから

この、主人公の性格を理解した上で発生する、新規と古参のリスナーの会話が良いんだよなあ。主人公が配信中にろくに喋らないが故に、リスナー同士で勝手に交流やコミュニケーションが発生している。おもしろ。ついでに主人公がろくに喋らなすぎるせいで主人公の感情を察知してくれる能力がガンガンにあがっている。リスナーたち、おもしろ!

配信者としてはろくに喋らないとはいえ地の文では主人公がいろいろと考えていたり、他人のために頑張っている姿が描かれていて、そのギャップがたまらない。
特に戦闘という命がけのタスクにはさほど苦労していないのに、人との会話というタスクだけはめ~~~~っちゃ大変と嫌がっている様子が可愛くて応援したくなる。
経費精算すら「他人と関わらなきゃいけないから」という理由で避けてる姿にわかりみが深い。テキストメッセージですらきつそうだもんな。ていうか精算って行為自体が今までソロでそこらへん全部なんとかしてた人間にはきついよな。その分だったら自分で稼ごうとするよな。本当に生きづらそう……でもそこが魅力的だし、リスナーたちもついおじさん目線で応援したくなる気持ちがわかる。

そもそも、主人公はは日療(物語内の組織)の救命士として働き始めるけど、それ以前から日常の迷宮探索中に人を助けることを通常スタイルとしてやっていた。だからこそ救命士の仕事も通常の配信やダンジョン探索の延長としか認識していないし、今回発生した魔力暴走のときに自分が死ぬかもしれない状況でも誰かを助けるというシーンですら「今までの自分なら戦っていた」と思えるんだよね。
そして、そういう人間だからこそ、「通常やっていたことで壊れた武器の買い替えで経費をもらおうとしていいのか」となるの、わかる~~~~~~日常だったからこそそれが経費になると思えない……。
いや、わかる。わかる。こういう細かい部分のそりゃあそうなりますよねを組み立てるのうまいなこの話。配信苦手なのに配信しているということへのルール付もだけど、こういう細かい場所がうまいな。

リスナーたちとの絶妙な距離感

この作品の面白さの一つは、主人公とリスナーたちの関係性だと思う。途中で主人公が「リスナーはリスナー」と言うシーンがあるけど、これがすごく的確な表現。リスナーたちは主人公を見続けているから後ろ姿でも感情の機微はなんとなくわかる。主人公もここぞというときにリスナーを信頼したりもする。親しいけど、でも友達ではないという絶妙な距離感がすごく好き。
リスナーたちも自分たちのことを「親戚のおじちゃんたち」的なポジションだと自認してて草。かわいがって口も出すけど、それ以上はしないという距離感。これはとてもよく訓練されたリスナーの距離感。バグるとガチ恋粘着獣になるからね……。

主人公側としてもリスナーに対してせいぜい前に名前見たことある人程度の認識で、読者としても全員見分けがつかない。アラサーVTuberのように読者なら見分けがつくみたいなこともなく、完全に名無しで匿名の誰かなんだよね。
そんな彼らに対して主人公が中盤助けてと救助を求めるの、めっちゃ良かった。

あと、リスナーコメントによって、主人公が「普通のこと」だと思ってやってることが実は超ヤバいことだと分かるのって配信者モノの良いところだよね。
普通に主人公はこなしているが実はやばいというのは第三者視点がないとわからない。主人公は当然だと思っているので「実は俺ってすげーんだよな!」と書くのはおかしい。世界観的にそれがどのぐらいやばいかというのの表現としてコメント欄っていうのは、配信者モノが広まったことでわかりやすくやりやすくなったんだろうなーって思う。

ところでリスナーじゃないけど真堂さんが好き。戦闘能力では主人公を助けられないが、若い主人公をサポートしようとするツンデレで怖くて本心がわからない大人。こんなん好きにならずにはいられない。


いやーーーーほんとおもしろかった。カクヨムがメインぽいのであとで読みに行く。

配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信 (ファンタジア文庫)佐藤 悪糖

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