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「ちゃんと好きって言える子無双 (MF文庫J)七菜 なな」ちゃんと好きって言える子つよい!!

ちゃんと好きって言える子無双 (MF文庫J)七菜 なな

ちゃんと好きって言える子無双 (MF文庫J)七菜 なな

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あらすじ

ラブコメの必勝法はいつもひとつ──『好き』って伝えるだけなのだ!

男子高校生・和泉に恋心を寄せる女子たちは、一歩が踏み出せず日々を過ごしていた。
【学園のアイドル様は、二人きりのときだけ甘えたがり】天崎雨音。
【実家から勘当されたのに、なぜか元・許嫁が放っておいてくれないんですが】白菊白亜。
【学園の天使ちゃん……の隣の悪魔ちゃんが、案外ちょろい】春日波留。
しかしそこに転校してきたのは、一見平凡だが天性のメインヒロイン・七瀬七緒!
七緒はあざとい直球アプローチで和泉に猛攻をしかけ出す。
「和泉くん、好きです。付き合ってください」「はい、あ~ん♪」「和泉くんが、わたしをこんな女にしたんだよ?」
「「「「こいつ……やりやがった!?」」」と慌てた雨音たちも行動に──!?

いやーーー好き! 大好き! こんなん好きにならないほうが無理だろ!
常日頃から告白もしないうちから自分の所有物感を出すな、かっさらわれるぞ! などと思っている人間としては、もろにそんな話で笑ってしまった。いや最高。
無双をキメてるメインヒロインは強いし、サブ(負け)ヒロインらもそれぞれ個性があって可愛いしでみんなすごく良かった!

横から来たトンビ(無双ヒロイン)に油揚げ(主人公)をかっさらわれる負けヒロインたち

主人公・和泉をそれぞれ想う、「自分が最も主人公に近い」と思っているヒロイン×2と、自分は好かれないかもしれないけどでも主人公のことが好きだし……と思っているヒロイン×1。それぞれ今のところ告白するつもりのないまま和泉のそばにいたけれども、ある日、転校生・七緒が昇降口で和泉に告白するところを目撃する! ということから始まる物語。

そんな負けヒロインたちの作中キャッチコピー的なのが面白い。

『学園の憧れアイドル様は、二人きりのときだけ甘え下手な頑張り屋さん』
『氷の女神様は、俺にだけ甘みが過ぎる~実家から勘当されたのに、なぜか元・許婚が放っておいてくれないんですが~』
『学園の天使ちゃん……の隣にいる悪魔ちゃんが、案外ちょろいことを俺だけが知っている』

どう考えてもメイン格ヒロインなんだよなぁ。なのに、突然やってきた嵐の転校生にぶっちぎりに差をつけられてしまうのである!

タイトル通り、ちゃんと好きって言える子は強い。サブ(負け)ヒロインのなかには5年以上和泉に片思いしている美人生徒会長もいるし、昨年から和泉に片思いしているモデルもやっている学年のアイドル同級生もいる。
それなりに好意を示してはいるものの、ちゃんと「好き♡」を伝えなかったせいで、たった数日前に現れた転校生に和泉の恋愛的な意識を全部持っていかれてしまうの、あまりに残酷というか諸行無常というか、仕方ないというか……。
いくら自分には恋愛的好意があろうとも、相手にも同種の感情があるとは限らない。結果、現状の立場に甘んじていた(じれったい両片思い状態のつもりでいたり、長期戦覚悟でゆっくりと準備していたり)子が、圧倒的無双ウェポンたる「好き」という告白をする者の登場により、ヒロインレースから蹴散らされてしまうのも道理というかなんというか。

とはいえ負けヒロインたちもそこで指を咥えて見ているだけではない、攻勢に出よう! とするものの、そこで告白をするんじゃなく、現れた転校生・七緒にマウントを取ろうとしたりする方向なのがどうにもなあ。
そこで好きと告げることでヒロインレースのスタートラインに立てるのに、結局彼女らは好意を告げることができないというのがまたなんとも。

告白をするって、確かに主人公へ自らの感情を伝える行動であり、自分をそういう目で見て♡と伝えて意識させるための行動でもあるんだけれども、同時に自らの内面をさらけ出すという自爆にもなりかねない行動でもあるんですよね。相手に自分への好意がなかったらモロにダメージを食らう。
そのもろなダメージを食らう勇気のない女子3人が、ダメージを食らっても良いと攻撃に出た子に負けるのは、それはさもありなんというか……。
そして「好きじゃない」と返答されても、それでも好きになってもらおうと接触したり行動したりする子に負けてしまうのは当然なんだよね。

負けヒロインたちは、他の(主に七緒)女子への妨害行為とマウント行為がメインであって、好きな人へのアピールじゃない。好きな人に自分を意識させ好きになってもらうための行動をしていない。
読んでいるうちに、あーそれじゃだめだ……いくら牽制しようと敵を減らそうと、好きな人に意識してもらわなきゃ意味がない……と天を仰いでしまった。お前ら負けです。

ちゃんと好きって言える子は可愛い!

初っ端から好意を告げるような転校生・七緒は、好意を告げるし意識してもらえるような行動を素直に取るのがとにかく可愛かった。
というか、実際にやっている行動としては、負けヒロインたちと同じような行動もいくつもあるんだよね。でもそんな行動だって、事前に好きと伝えてこの子は自分を好きなんだと意識させるだけで全く違うものへと変わっていく。いや……ちゃんと好きって言える子は強いですわ……。
そんな七緒も、和泉を翻弄するような発言をしつつも和泉の発言に照れてみたり自分の行動に照れてしまったりと、計算高い少女なだけではなく年相応の可愛さがにじみ出まくっていてとても良かった!

太ももに触れるみたいな接触、「和泉くんが初めて」のような初めて部分を印象付けて意識させる、耳元で囁くような弱点探し、あーんといった恋人っぽい行動、そして他人の前であろうとも好きだとちゃんと告げる言動。
なんかもう、全てにおいて「あーこの子冗談でもなんでもなく、俺のことが本当に好きなんですね」と意識させてくる。そんな行動されたらそりゃあ……ねえ……。

それにしても、終盤の展開は負けヒロインたる雨音にとって残酷だよなあ。
雨音を勇気づけた和泉の台詞って、結局のところ七緒から和泉がかけられた台詞じゃん。和泉的に勇気づけられ元気になれると思うような台詞って七緒のものって考えると、それで頑張ろうと思っちゃった雨音にあまりにも残酷すぎる。それが良いと言えばとても良いけれども。

最近のラブコメって、焦れったい二人が焦れったいだけで物語が終わってしまうものもそれなりにあって、私としてはそういうのは「横から誰かかっさらえ!」「ここで誰か来て奪われたとしても、お前は好意を告げていないから何も言えないぞ!」「焦れったいだけで進展何も無いじゃねえか!」となることがよくあるんですよね。
この話は、もろに横から現れた鳶に主人公をかっさらわれた形。立場に胡座をかいて、雨音にいたってはきっと和泉が告白してくれるはず♪と余裕ぶっこいてたら奪われたという物語。
最近のもやもやが読んでて晴れて痛快さまであった。


しかし、ラストの展開的にもしかしてこれ、負けヒロインたちは今後の巻でもピエロではなく頑張るつもりなのかなあ、とも。
これだけちゃんと好きって伝えて無双キメてる子がいるなかで、自分がどういう行動したら良いのかわかってない子たちは果たしてどこまで戦えるんだろうか。

そして、同時期に読み始めた本が、ちょうどそれこそ隣の席の子が俺にだけ特別な顔をしてくれる焦れったい胡座ラブコメと、先輩が俺にだけ以下略ラブコメなんだけど、私はこの本を思い出さずに読めるんだろうか。無理な気がする。比較してひたすら爆笑してそう。助けてくれ。

ちゃんと好きって言える子無双 (MF文庫J)七菜 なな

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