「最果ての魔法使い」大魔法使いが目が覚めたら、そこは魔法が存在しない時代でした

★★★★☆,GA文庫ファンタジー,恋愛,新人賞,片思い

あらすじ

はるか昔、人類を滅亡寸前まで追い込んだ魔獣を自らと共に封印し、伝説となった魔法使いがいた。だが、 彼は千年の封印から目覚めた後に絶望する。魔法は忘れ去られ、世界は再び崩壊の危機をむかえていたのだ。
そんな世界で彼に手をさしのべた少女・フィルとの出会いが、千年の孤独ですり減った彼の心に新たな火を灯す!
「あなたは一体……何者なんです?」
「僕の名前はアルカ=ニーベルク、ちょっと凄めの魔法使いさ」
悠久の時を越え、伝説の続きが今紡がれる! 最強の魔法使いによる救世の物語、開幕! !
第10回GA文庫大賞『優秀賞』を受賞した傑作ファンタジー!

目が覚めたらそこは、魔法が存在しない時代でした

めちゃ強魔法使いである主人公が凶悪な生命体を1000年間封じ続け、意識を失って目が覚めたら魔法が存在しない時代でした、ということから始まる物語。

自分が大事にして新しいものの開発も手掛けていた魔法というテクノロジーが完全消失し愕然とする主人公、めっちゃわかる。自分の大事なものが、自分が守った後の世で消え去ってたらそりゃ呆然とする。
けどもともとオタク気質で新しいものを知りたがりなので、速攻で科学に興味を持って知ろうとするあたりに笑ってしまった。オタク気質が強い!!!

魔法の存在しない世界で唯一の魔法使いたる彼が、魔物が蔓延る世界において、圧倒的戦闘能力でバカスカ敵をぶちのめしていくのは爽快感があった。主人公だけだとただ強いだけの物語になるかもなんだけど、成長途中どころか魔法が存在しない時代に生きていて魔法は憧れるものではあって能力は無いヒロインが、主人公の生徒として徐々にレベルアップしていくのは読んでて楽しかった。

終盤の展開なんかも序盤のうちにこうなるだろうなとは読めるんだけれども、それでも熱くてめっちゃ引っ張っていく強さがあった。ピンチからのチャンスはやっぱり強い。
新人賞作品なのに全体的に手堅くて読んでいて安心感があった。1巻単位での満足度がすごい。

物語も本当に面白かったんだけれども、イラストと描写が差があったというか、主人公って小説本文のほうだと結構年上っぽいイメージがあったんだけど、イラストだと結構ショタだよね。頼れる青年のイメージが強いのでイラストが出てくるたびにあれっとなった。

守るために頑張ってる少女を『守る』立場の主人公

船に残された子どもたちと、最年長だから子どもたちを守るポジションであるヒロイン。敵の魔物が出たら素早さメインの戦闘で翻弄しつつどうにかやってきた。
とはいえまだ幼い子供だし精神状態はめっちゃギリギリだったろうところに現れたのは、物語に出てくるめっちゃ強い魔法使い。そんなん出てこられたら憧れるし頼ってしまうし惚れてしまうだろうなっていうのがすげーわかるし微笑ましい。

同時に主人公が1000年間一人で戦い続けてきた主人公が、可愛くて無邪気で元気なヒロインで癒やされていくのもわかるし、ヒロインがたった一人の頼れる大人(実際そこまで年齢は違わないだろうけれども)である主人公に惹かれていくのもめっちゃわかるんだよなー。読んでて本当に微笑ましかった。
今までの状況が状況なので恋愛というものに無自覚なヒロイン、ベタだけれどももうめっちゃかわいい。

主人公はいちおう生きていた頃の幼なじみを恋愛的な意味で大事にしていたんだろうけれども、彼女は1000年か900年か前には亡くなってるので、そのあたりもあんまりNTR感無いのもいいな。どうしても故郷に幼なじみがいる系はそっちを気にしてしまうのでうまいなと思った。
でもヒロイン的に、好きな人の好きだった人が渡してくれたお守りを渡されるの、どうなのかなあ!?

全体的にしっかりしてて読みやすく、ファンタジーとしても手堅くて新人賞としてレベルが高くて面白かった。

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