「小説 BATTLE OF TOKYO vol.1」近未来SFモノ、もしくは原作ってなんなんだろう
あらすじ
僕らは「最後の真実」を探している
大嵐による壊滅から、急速に復興を遂げた大都市「超東京」。高度に進化したネットワークに管理された街で、多くの人が豊かに暮らしていた。
だが平和な超東京に、怪盗団MAD JESTERSの噂が流れ始める。
そして動き出すROWDY SHOGUN、Astoro9、JIGGY BOYS――特殊な能力を持った若者たちのバトルが、いま幕を開ける!
前代未聞の総合エンタテイメント「BATTLE OF TOKYO」原作小説。
なんでもコピーできる時代となった近未来の東京で、コピーできない指輪が盗まれた。被害者である少女はネットで検索したとある探偵事務所に足を運び二人組の探偵に捜索を依頼する――というところから始まる物語。
からの、半ば崩壊したトウキョウに存在する特殊なスキルを持つ若者たち4チームの物語。まだまだ顔見せと世界観見せ程度で物語は進んでないので、2巻以降どうなるかの様子見。元ネタの人数が多いものの出てくるキャラを絞っているので読みやすい。
ジャンルとしては近未来SFモノなのかな?
この先能力バトルに発展しそうな布石はかなり打たれているけれどもまだそこまではいかず、といった雰囲気。
私はSF苦手なんだけど、その能力ごとの説明があまり詳しくされておらず、科学について詳しくあるわけではないので私でもギリギリ読める範囲。
1巻は世界観設定と各チームの顔見せ、普段どういうことをしているかの紹介がメインであり、怪盗団は各チームをつなぐメインチームとして出番が多かったけどハッカー集団は数ページとそこそこ差があったなー。
これぐらいだったら1冊まるごと怪盗団メインでやって、次の巻で裏側ではこういうのがありましたみたいな描き方でも良かったかも。
ただ、この小説自体がどういう経緯で作られたか考えると怪盗チームをメインで物語を作るというのが難しいのもわかる。
もとがLDH系のJr.EXILEのMVコンテンツ? というのか、ライブはした、MVはある、けれども何もわからないものが小説で情報を出してくるという謎すぎるパターンの小説。原作ってあるけれど、原作とはなんなんだろうか。もととなる作品だろうけれど、もともとはMVじゃないだろうか。
とはいえ、もととなるMVも各チームのVSモノのMVがあるだけという状況で何も設定がわかんないんだけど……。
いちおうこの小説が原作とあらすじについている以上、今後の展開はこの小説が元になるという考え方でいいのかな。でも原作って一体なんなんだろう。わかんねえ……。
そして、このJr.EXILEの各グループが作中キャラクターというのをもとにして考えると、たしかに1巻では全チーム出す必要はファン感情的にはあるだろうなとは思える。
とはいえ、各チームごとの登場量はかなり違うし、作中でメインとなるキャラクターもかなり絞られている。具体的には各チームほぼ2人ずつ。でも16人いるチームなどは下手に全員出したほうが処理しきれないだろうしこの手法で良かったと思った。ほとんど名前のあるモブ程度かつエピソードではなく『(能力)な(名前)』とさくっと表現されるので、わかりやすいといえばわかりやすい。これが下手に全員の見せ場を作ろうとしたり特徴をエピソードで出してこようとすると絶対に行数が多すぎて逆に薄っぺらくなる。
ただ、これは私がJr.EXILEに推しがいないから言えるしBOTのキャラ名とキャスト名が一致しているのが一人だけかつ思い入れ皆無だから笑っていられるだけで、これでもし出番が皆無なキャラが推しだったらきついかもしれない。
でも、内容はある程度予想していた『ラノベのそこそこ人気あるシリーズを出した作家がそのシリーズを終わらせて新シリーズを出したときによくある2巻が出るのに胡座をかいて1巻はキャラ紹介と舞台設定だけに徹したラノベ』だ!!!!
これはそのまま1巻打ち切りになるとすげえしんどいやつ!! しかし最近の3巻切りどころか1巻切りしてくるラノベだとわりとよくあるやつ!!! LDHマネーでせめて2巻は出して欲しい。ここで終わると消化不良にも程がある。
軸となるだろうファイナルファクトを転がしつつ、メインの怪盗団を中心に据えて他の3チームが全員軽く関わっていたと持ってくるのが面白かったし、だからこそ1巻まるまる怪盗チームで進めてほしいと思っちゃった。
これから先の2巻なども、怪盗チームはファイナルファクト狙い、警備チームは巻き込まれ、サーカス団は団長探し、ハッカーは否が応でも巻き込まれという流れで全チーム関わるんだろうな。
書いてて思ったけど、これ映像としてのほうが見せやすそうだね。
小説だとどうしてももうちょっとメインとなるところを決めてくれ! 深く書いてくれ! って思っちゃうけど、映像ならばその部分はここまで気にならない。顔見せで3話くらいまで使ってもあんまり印象悪くならない。ラノベのアニメ化で1巻ってだいたい3~4話ぐらいまでだよね? 体感だけど。
だから映像化のための原作小説扱いとしたらわかるかもしれない。LDHだし映像化はするだろう。
個人的に好きだなと思ったのはハッカー集団。こういうIRCで連絡取り合ってキャッキャと集まって何かしでかすハッカー集団が好きなんだよな。楽しそうで。
警備ロボ乗っ取ってリアルオープンワールドゲーム!ってキャッキャしてるところが可愛くなっちゃった。
からの、序盤で怪盗チームが苦戦した警備ロボの動きはお前らかよ!っていうつなぎ方も面白かった。
無事2巻が出たら読みたいけど、そのときは下手に群像劇とか全チーム顔見せとかにこだわらず、怪盗チームをメインで話を進めてほしいなー。可もなく不可もなしというよりは可もあるけれども不可もあり、総合得点100点満点中65点ってかんじだった。
内容的にラノベレーベルで出てそうなのになんで角川文庫なんだろうな。