「今日も生きててえらい! ~甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活~」出てくる嫌なやつは舞台装置でただヒロインに全肯定されまくる

★★★☆☆,電撃文庫デレデレ,両思い,付き合ってる,学園,恋愛,現代

あらすじ

日々頑張るあなたへ。甘やかしたがりな彼女と過ごす甘々同居生活。

その日、高校生の俺――稲森春幸は無職になった。
親を喪ってから生活費のため労働に勤しんできたが、休憩中出会った少女を暴漢から救った騒ぎで歳がバレてしまったのだ。
路頭に迷う俺の前に立つ麗しき美少女。彼女の正体は……ってあの東条グループの令嬢・東条冬季――!?

「私のヒモになっていただけないでしょうか!」

…………なんだって?

「あなたのような人をドロドロに甘やかしたいのです! 私がいないと生きられないくらい! これは私の性癖です!」

えぇ……。

食事に睡眠、お風呂まで!? 生きるため――そう自分に言い聞かせた俺は《お試し期間》として一ヶ月間の契約同棲をすることに。
平凡な日々も彼女となら輝いて見えるかもしれない。そんな淡い希望も抱きながら……。

合わない、好みじゃないっていうのか、でも最後まで読ませるのはストレスっていうものが終盤まで徹底的に排除されてたからかも。薄味とでも言えばいいのか、余計な雑味無くただ無みたいに飲み込める話って感じだった。

全体的には苦労している少年が突然宝くじあたったみたいな話。
両親が死んで親戚に頼りたくないからと頑張っていた男子高校生の前に、好き好き言ってくれてお風呂場でタオル越しの胸を押し付けてくれてただ一緒にいて甘やかしてほしいと言いまくりお弁当まで作ってくれて今後養ってくれると言い出す。彼女と共にイチャイチャしていくだけ。
終盤も終盤までただヒロインとイチャイチャしてるだけで、肯定されて世話焼いてもらって徐々にヒロインを好きになっていくというだけなので、本当に無みたいな薄味だったんだよね……。可愛いね、嬉しいね、そうだね、おしまい!みたいな。

とにかく一貫してヒロインが主人公大好き!しているので、主人公がOKすればお付き合いする開始、一生一緒にイチャイチャします!な状態。主人公これなに頑張るの?すぎた。

終盤に一応害悪モブが出てきて「お前みたいなのがスクカー上位のヒロインと合うわけがないだろ!」と男女問わずに喚いてくる。ヒロインの友人たちもヒロインというトロフィー目当てでしか無いからヒロインの彼氏(仮)である主人公にあれこれ文句つけてくる。
この害悪モブたちがとにかく舞台装置っぽさがすごくて、それを言うためだけに出てきたハリボテすぎた。過去も背景も何もなく、ただ主人公とヒロインが本格的にくっつくための装置でしかない。そのぐらいなら2巻から出てくる予定っぽいあからさま当て馬後輩のほうがまだ人間味がありそう。

そもそも主人公がこの害悪モブに対抗する方法も他人の力でなんだかなー。
主人公じゃヒロインとは釣り合わないと言い出す連中に対抗するために、主人公は外見を変えることを選ぶ。ヒロインに教えてもらった美容室に行き、ヒロインの家族がやっているグループのエステに通い、1週間かけて外見を変えてから登校する。見違えた主人公に周囲は主人公と気付かず「いいじゃんこのイケメン!」とちやほやする……という流れだけれども、その金どこから出したんだよ。金がなくてバイト漬けだった主人公、その金どこから出してるんだよ。書かれてないし、出世払いだのなんだの使用してでもやっぱりヒロインの金なんだろうなあ……。
美容室やエステもヒロインの知識で教えてもらっている状態なので、この最後の行動において主人公がしているのって「自分を変えたい」とヒロインに伝えること、害悪モブに自分がヒロインの彼氏であり釣り合わないとかうぜーあれこれ言ってくんなということぐらいなんだよね。ぐらいなんだよねというものの後者はそこそこ気力いるとはわかるけれども、だとしても大半がヒロインにおんぶにだっこ。もっと己で動けと思ってしまった。

ヒロインに甘やかされる主人公というのがでかい売りポイントの物語であるとは言え、その起点たるヒロインが主人公に惚れる理由だってありきたりで面白みがなくて、全体的にうーん……となる薄味だった。

Kindle Unlimitedへ登録

スポンサーリンク