「VRMMOをカネの力で無双する2 (HJ文庫)」鰤/牙

★★★★☆,HJ文庫チート,ネトゲ,家族,現代

あらすじ

イチローのギルド【Iris Brand】に錬金術師アイリスが復帰した。
イチローの周りに美少女が増え、気が気じゃないフェリシアに彼女との関係を尋ねられたイチローは、ゲームを始めてからの一週間を語り始める。
その内容とは、彼がトッププレイヤーに躍り出るまでの軌跡と、アイリスとの出会いに関連して引き起こされた事件(と課金)の数々で――。

デザイナーとしてのプライド

今回もまた、カネの力で無双する2巻。
というか1巻読んだのいつだっけ……。KindleUnlimitedで本探しして眺めている最中にタイトルを見て「あっあの1巻ラストで対戦相手のPCスペックではラグが発生するぐらいにフィールド内に課金アイテムばら撒いて、自分の高速回線ハイスペPCで勝利したやつだ!」と思い出せるぐらいには印象が深い本。なんつー印象だ。

ということで、めちゃめちゃ金のある御曹司が、カネの力で無双する第二巻。
今回は御曹司一朗がやばいことを自ら引き起こすというよりも、一朗が動いたために他者が揺さぶられ事件に繋がる巻。

とはいえ、今回はそこまでカネで無双しているわけじゃないかも。
アイリスに武具を作らせる際に消費される課金アイテムをいくらでも使えと出しまくったぐらいで、前巻のようなむちゃくちゃな使用法じゃない。それでも確実にすげー金額は行ってるけどまあ、あれと比べたら……。

お金持ちなので自分の身につけるものにも全力を出すという一朗、金持ちとしてのよくわからんプライドが覗いていて好き。
この一朗の理論というかプライドというか美学というか、そのあたりの明確になりそうでならないあたりがすごく好き。

武器や防具はどうせならデザイン的に好きなものを見に付けたい、そのためには既成グラではなくオリジナルグラフィックが良い。だったらオリジナルグラフィックを自主的に作っているような、そんな心意気の人に頼みたい。偶然見つけた露天のアクセがそういった意味で目についたのと、顔をちゃんといじっている子だから気に入った。
ちゃんと並べ立ててみるとギリギリ理解が出来るラインなんだけど、他者から見たら全然理解出来ないよね、という具合なのがすごく良い。

そして今回、この一朗の美学につきあわされた二人がなんともかんとも、可愛いと言うかなんというか。
利便性ではなく(そっちは能力が無いのでまだ強化出来ていない)デザイン性を好きにしたいデザイナー志望の少女アイリスと、実利を重視するエドワード。
アイリスは自分の実力をわかっているからこそ現状にもんにょりしてしまうし、でもデザインを文句つけられるのはプライド的にムカつく。けれどエドワードの作る武具のがゲーム的に良いことはわかっているし実力も高い……というなんとも言えない状況で、本当に居心地悪かったろうなあと思う。

私はエドワードのプライドも好きだけど、若干ちょっと無茶苦茶じゃないか?とも思う。
そういう職種プレイやってりゃいくらか似たようなこと過去にもあったんじゃないのかな。親方が認めた相手なのに他人を選んだというの、そんなの客なんてかなり移り気なんだから一度や二度じゃないだろうに。そのたびに毎回こんなキレてんのか?
まあ、その客が自分とこのギルドの斜向いにギルドの本拠地を建てるなんて無茶苦茶はそこまでないだろうが……。

ところでこれは私の感覚の問題なんだけど、過去編ってちょっとだるい。
現在時間を見れば誰が生きていて現在どういう関係になっているかわかる。この本はエドワードとアイリスが現在そこまで悪い関係ではなく、エドワードは一朗に負けてしまったのがわかる。それってやっぱりちょっと面白くない。
これは歴史小説を読んでいるときにもよく思ってて、歴史上の人物は何があっても死なないだろうなとか事件の犯人ではないだろうなとか予想がついてしまった(たまに意表を突くものもあるけれど)。それってちょっとおもしろさが半減してしまう。

1巻ですでに衣装が出ている以上難しいけれど、過去編っていう形はあんまりとってほしくなかったな、というのが感想。

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