「訳ありブランドで働いています。 ~王様が仕立てる特別な一着~」押しが強くて威勢のよい相手の言う事にホイホイ従う主人公が最後まで変わらない
訳ありブランドで働いています。 〜王様が仕立てる特別な一着〜
あらすじ
オシャレも恋も0点な女子が、 ファッション業界に!?
社長が失踪して会社は倒産、アパートは火事で焼失。私、一宮佳菜(24)は今最高に不幸だ。しかもうっかり背負った借金の返済の代わりに、洋服知識ゼロなのに個人経営の小さなアパレルブランドで働くことになってしまった!
検針? 展示会?? 発送費が100円安くなるから、この大量の荷物を運送会社まで持っていけって!?!? 洋服の裏にはデザイナーやパタンナーたちの戦いが隠れていて――。
無愛想なコスパの鬼(※顔だけはいい)の代表に負けず、ブランド拡大を目指します!
もうちょいなんかあるだろと思いながら読んでしまった。
『オレ様』キャラってうまくやらないとただのモラハラキャラになるなというのはわかってたんだけど、これはかなり失敗してんじゃねえのかな。対比として出したんだろう主人公が好きだった男も含めてやべーやつばっかりだった。
冒頭の徹底的にご都合主義な不運
- 勤めていた会社が倒産した
- 住んでいた家が燃えた
- 紹介されたシェアハウスでご挨拶一番荷物がぶつかって花瓶を割ってしまい弁償沙汰(500万)となるが、払える金がないので働いて返すこととなる
流石にここまでベタofベタみたいな設定積み重ねられたら、推しCPを雑に同居させて一緒にお仕事させたい二次創作同人誌かな?と思っちゃった。もうちょっとあるだろ!ww
ベタと王道は詳しい状況説明の簡略化に便利で良いとは思うんだけど、だとしてもあまりにベタなものが、電子書籍開始6%で全部出るので流石に笑ってしまった。こんなんある?wwwww 失業保険はどうなったよwwwww
モラハラ多すぎ
1章に出てくる大学の同期であり主人公が片思いしている男は、やることなすこと主人公をさり気なく否定し自分のほうが上だと表現してくる。
紹介されたシェアハウスの大家は主人公が花瓶を割ったのを理由に仕事を手伝わせるが、仕事のやり方をまともに伝えることすらせず、主人公がうまく仕事をこなせなかったらボロクソに言う。
この二人は一応物語としては対比のつもりで出してるんだろうなーっていうのは想像がつく。
同期は『一方的に主人公を否定するばかりであり、主人公が何をしても褒めてくれず、可愛らしい服を着れば似合わないと否定し、男らしいほうが良いと繰り返す』、対して大家は『一方的な否定ばかりではなく、お金を渡してこうしてほしいと告げれば手伝ってくれないこともない』という対比があるのではないかと。
でも読みながら、今はそうであったとしても同期も昔は違ったのではないか?とか、雇用主として本来ならば主人公に仕事の仕方を教えなければならない立場にいながらろくにやり方自体を教えず、火事に遭ったために必要なものの再発行や住所変更をしなければならない主人公を拘束してこの時間までにここまで終われば外出可能とルールを出しておきながら後出しで更に作業を言いつけ、ウェブサイトのリニューアルをしろとは言ったもののどのようなサイトにしたらいいのかの指示はせずに出てきたものに対しては文句をつけると言った行動をしている大家は、やってること的にやっぱりモラハラだしやり方は違えど同期と同じくモラハラではないか?と感じてしまった。モラハラかな、パワハラのほうかも。
一応大家は学生だから雇用主としてのやらなければならないことや火事になったときにどれだけ作業が必要かしらないのだろうと思うことは後ほど可能になっているものの、とはいえ学生でもそこんとこ薄々わからん? 横暴にも程があるのでは。
「私、いつも佐々はすごいって思ってた。あれこれアドバイスしてくれてさ、迷ったらこの人の言うことに従っておけばいいのかなって」
会社説明会で、「私たちと一緒に社会を変えてくれる仲間を強く求めています!」と力強く言い放った社長に痺れた。いわゆるベンチャー企業と呼ばれる小さな規模のできたての会社で、でも社長の熱量はとにかくすさまじく、これがカリスマ社長という奴なのかと感心したものだった。
こういう人に惹かれやすい主人公が、最終的にどうやら大家に惚れているらしい(本人自覚がなかった)と出たとしても、あー威勢の良い人に惚れちゃう性分だしそういう人に従って行くという性格なんだね……と思うばかりだった。カリスマ社長もモラハラだったんだろうな。
主人公が選び取ったのは本当に自分の夢か?
「服を選んでもらったとき、色々言ってもらえて、自分がやりたいこととかやれることとか、そういうの、改めて考えてみようって思いました」
私の言葉に前園さんはさして表情も変えず、「その歳で自分探しかよ」と呟いた。
「でも、失業した今こそ自分探し、いいと思うんですよね。次こそ誰かの影響じゃなくて、自分で考えて決めたいっていうか……」
「自分探ししたいって言ってた奴の答えが『雑用』かよ」
そんな風に言われたら身も蓋もない。
でも、やりたいと思ったのだ。
門外漢だからこそ、もっと勉強して、もっと戦力になるように、ちゃんと胸をはってこのブランドの一員だと言えるようになりたかった。
そして、仲間たちに気を配りつつも、自分は一人で戦いに挑むような、そんな帝くんの本当の意味での手足に、力になれたらとも。
自分の夢がなく強い人や断言してくれる人にあこがれてついていくばかりだった主人公が、文庫本1冊掛けて自分の夢を見つけ出す。というのが物語のコンセプトでありテーマなんだろうなというのは感じるんだけど、前述の通りつえー男であり言う事キラキラしてて圧が強くてこいつに従っておけば的な男である大家にくっついていくというルートになった以上、いや今までとなんら変わん無くない?と思ってしまった。
これが大家がもうちょっと性格がオレ様じゃなかったり、今まで主人公がついていこう!と思った人たちとは違うタイプの人間だったらまた違う感じだったのかもしれないんだけど、タイプがタイプなのでまぁたそういう人間に惚れたのか……としか思えなかった。
営業が安定はしていなくて、でも声ばかりは大きくて威勢の良い男にくっついていきがち主人公が、1冊掛けて新しい夢を見つけた!自分の居場所を見つけた!とキラキラした目で今までとおんなじところに到達するだけの話にしか感じられなかった。
訳ありブランドで働いています。 〜王様が仕立てる特別な一着〜