姉の死の真相を求めて後宮に入り込んだ主人公が、とあるお偉いさんに好かれて事件解決に引っ張り回されるミステリー。
面倒くさそうな雰囲気を出しつつも誰かが不幸になるならばと事件解決に動く主人公のスタンスが好み。もともとが商人だった故に人間心理方面から解決しようとするという事件解決方法も彼女の生い立ちや性格と合っていて、読んでいて面白かった。
主人公を事件に引っ張り込む狸才人は、たしかに誰かが不幸になるのも嫌という部分もありつつも、彼女自身が暇で暇で仕方なくて事件を求めている部分もあるんだろうな。そういう雰囲気が絶妙に主人公とはスタンスが違うなと思わされた。
個人的に好きなのは証拠第一主義の黄宮調。何事も証拠証拠、証拠が一番と言い続け、ただの一宮女でしかない主人公が事件解決をするのをプライド的に嫌がるし、主人公は自白させて事件解決に向かわせるやり方なので対立するのもよくわかる。そりゃあ自白主義と証拠主義は合いませんよ。
しかし正義を信念と掲げる彼女が、事件解決のために動く主人公を認めざるを得なく、次第に何かあったら助けてやろうとしていくのは読んでいてじわじわと微笑ましかった。
主人公のしごとが水夫っていうのが物珍しかった。
後宮に入る物語と言えば、主人公が后候補ではない限りは某薬屋や某検視官が思い浮かぶものの、こういう職業か。
水の上に存在している後宮という部分がきちんと物語に関わってきていたので意味が合ってよかったし、主人公の水夫という職業の物珍しさがあった。
ただ、この1冊では結局物語終わって無くない?というのはあり、しかし続きを読むほどではないなーというぐらいでもあり。