「水の後宮」自白で吐かせる主人公と証拠を第一とする女性の対立が良い

★★★☆☆

あらすじ

後宮佳麗三千人の容疑者に、皇子の密偵が挑む。本格後宮×密偵ミステリー。

入宮した姉は一年たらずで遺体となり帰ってきた――。
大海を跨ぐ大商人を夢見て育った商家の娘・水鏡。しかし後宮へ招集された姉の美しすぎる死が、水鏡と陰謀うずまく後宮を結びつける。
宮中の疑義を探る皇太弟・文青と交渉し、姉と同じく宮女となった水鏡。大河に浮かぶ後宮で、表の顔は舟の漕手として、裏の顔は文青の密偵として。持ち前の商才と観察眼を活かし、水面が映す真相に舟を漕ぎ寄せる。
水に浮かぶ清らかな後宮の、清らかでないミステリー。

姉の死の真相を求めて後宮に入り込んだ主人公が、とあるお偉いさんに好かれて事件解決に引っ張り回されるミステリー。
面倒くさそうな雰囲気を出しつつも誰かが不幸になるならばと事件解決に動く主人公のスタンスが好み。もともとが商人だった故に人間心理方面から解決しようとするという事件解決方法も彼女の生い立ちや性格と合っていて、読んでいて面白かった。

主人公を事件に引っ張り込む狸才人は、たしかに誰かが不幸になるのも嫌という部分もありつつも、彼女自身が暇で暇で仕方なくて事件を求めている部分もあるんだろうな。そういう雰囲気が絶妙に主人公とはスタンスが違うなと思わされた。

個人的に好きなのは証拠第一主義の黄宮調。何事も証拠証拠、証拠が一番と言い続け、ただの一宮女でしかない主人公が事件解決をするのをプライド的に嫌がるし、主人公は自白させて事件解決に向かわせるやり方なので対立するのもよくわかる。そりゃあ自白主義と証拠主義は合いませんよ。
しかし正義を信念と掲げる彼女が、事件解決のために動く主人公を認めざるを得なく、次第に何かあったら助けてやろうとしていくのは読んでいてじわじわと微笑ましかった。

主人公のしごとが水夫っていうのが物珍しかった。
後宮に入る物語と言えば、主人公が后候補ではない限りは某薬屋や某検視官が思い浮かぶものの、こういう職業か。
水の上に存在している後宮という部分がきちんと物語に関わってきていたので意味が合ってよかったし、主人公の水夫という職業の物珍しさがあった。

ただ、この1冊では結局物語終わって無くない?というのはあり、しかし続きを読むほどではないなーというぐらいでもあり。

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