「憂鬱なヴィランズ」本当にハッピーエンドを求めてたか?

★★☆☆☆,ガガガ文庫バトル,学園,現代

あらすじ

その絵本を読む者は悪(ヴィラン)に染まる

「赤ずきん」の嘘つきオオカミ、「白雪姫」のいじわる王妃、「青髭」の殺人公爵など、童話やおとぎ話の悪役たちが勝利するという最悪の結末が描かれた絵本【ワーストエンド・シリーズ】。
 その中に棲む悪役たち(ヴィランズ)は、絵本を所有した人間に取り憑き、その醜い欲望を剥き出しにする――。

 親友の失踪、バスジャック事件、高校生・笠木兼亮の周囲で起こる異変の数々は、これから始まるさらなる事件への前兆だった。そして、蒼い目を持つ少女・帯刀月夜と出会った瞬間から、彼は不可思議な戦いの渦に巻き込まれていくことになる。悪役(ヴィラン)に借り受けた異能力を使い、罪を犯す者と、それを阻止する者たち。互いの能力を駆使し死力を尽くした戦いの幕が上がる。

こんな人におすすめ
  • 現代異能バトルが読みたい人

本当にハッピーエンドを求めてるのか?

個人的にはあんまりおもしろくないかなあといった感想。

理由として、とあるキャラクターが「物語をハッピーエンドにしようとしている」と言いながらも、読みながら「それは本当にハッピーエンドにしようとしていたか?」と思っちゃう箇所が度々出てくるから。
例えば、物語の悪役キャラクターの力を借りる絵本は、返却期限が過ぎたらその悪役に取り憑かれ、暴走してしまう。いやいやいや、ハッピーエンド求めてるならもうちょっと早く出張るとかない? もしくは人の心が読めるんだとしたら悪化する前に止めるとかあるだろう?
最終的に一片の幸せを与えておきながら自殺じみた行為にまで追い詰めておいてからハッピーエンドにしようとしていたって、本当にそれやれること全部やってから言ってる? と思ってしまった。

多分これ、そもそももう少し早く返却させておけば済んだ話だよね。
返却期限が過ぎた本で暴走している人を止める? っぽい仕事をしている彼らだけれど(内容が散漫すぎて序盤のほうに説明あったんだろうけれども忘れてしまった)、もうちょっと早めに動いたらどうだろうか?
人の心を読めるとか鏡の中で動けるとか特殊能力があるんだから、それを利用してもうちょっと早く動けばハッピーエンドとやらにもなるんじゃないの?
少なくとも、もっと早めに主人公に接触して又貸しの方法を伝えるなりしておけば、今回犠牲者は減った可能性もあるんじゃないのかな。

すべてが後手後手に回っておきながらハッピーエンドを~って、無理にも程があるだろと思った。

 

また、読んでる最中に時間軸が結構あっちこっちに飛ぶのが気になったかな。
今このシーンでの舞台はどこなんだろう? どの時間軸なんだろう? と思うのが時たまあった。1冊の本において1回ぐらいならまああるかな程度なんだけど、2回3回とあるとちょっと多いかなと。

伏線などもいくらか仕込んであったんだけど、とにかく全てにおいてこの最終シーンに持っていくための話だったのかな? という印象。
あちこちと気になる場所が多くて純粋に楽しめなかった。

ちょい抜けかわいい千鳥がかわいい

会話がなんとなくギャルっぽくてノリが良くてちょっと抜けててかわいい女子高生が嫌いな人間なんている?
その能力なんに使えるのって言われてぐぬぬってなっちゃう女子高生が嫌いな人間なんている?

他のキャラクター(特に月夜)があまり刺さらなかったんだけど、千鳥は可愛い~!となってしまった。ちょい抜けかわいい。

鏡の世界に行くっていうのも私は仮面ライダー龍騎を思い出してわくわくしてしまう。

鏡の中で、結婚式場で現実で一郎人形がマスケット銃を出し、千鳥が鏡の世界でそれを受け取り自らが使うシーンがめちゃめちゃ熱い。そこまで仲良さそうに見えない二人の共闘は良いものだ。
バスジャックした一郎だったら結婚式場で鉛玉ばらまいてもおかしくなくない? でもそっちでやっても意味なくない?というのを見事に回収してくれて超格好良かった。

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