「となりの彼女と夜ふかしごはん ~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~」仕事でピリピリしたシーンの後は腹ペコヒロインで癒やされる

★★★★☆,電撃文庫お仕事,ラブコメ,年下,料理,現代

あらすじ

となりの彼女が「おかえりなさい」と「いただきます」を言ってくれる生活。

大手スーパーの文具部門で新任マネージャーとなった俺・筆塚ヒロトは、仕事漬けの毎日にすっかり憔悴しきっていた。そんな俺の唯一の楽しみは、深夜帰宅後につまみを作って酒を飲むことだけだった、んだけど……いつの間にか、隣に住む腹ペコ女子・朝日さんと賑やかな半同棲生活をすることになってました。

「し、深夜に揚げ物は犯罪なんですよ!」
「今夜こそ誘惑に負けませんからね…!」
「こんなに美味しいなんて優勝ですぅ…」

優勝――それは大切な人と美味い料理で食卓を囲う瞬間のことを言う、らしい。
腹ペコ女子があなたの暮らしを彩る深夜の食卓ラブコメ、召し上がれ!

てっきり年下JDヒロインとイチャイチャ+料理モノという流行りのアレかと思いきや、パワハラ上司に無理難題を出されて奮闘するお仕事モノだった。
とはいえ年下女子大生とイチャイチャしたり、一緒に真夜中にご飯して「こんなご飯を作れるなんて!すごい!」と言われる成分もあり。でもそれだけじゃない、お仕事モノメインというのが面白かった。

主人公の作る料理がもうめっちゃどれも美味しそうなんだよね。揚げアスパラの肉巻きなんてそりゃ絶対うまいじゃん……。そして食レポが完璧。

「いやー、本当に美味いわこれ、俺天才、揚げ方が完璧。それになんといってもシャキシャキのアスパラが、いや甘みが、その、豚肉とね……」

というおしまいみたいな主人公の食レポからの

「さくさくな衣と新鮮なアスパラガスの瑞々しくもしっかりとした食感が絶妙にマッチして歯に心地よく、噛めば噛むほどアスパラガスの甘みが溢れてきます……薄切りにした豚肉もジューシーで、たいへん美味しいです……」

これが来るとうわ食いたいになる。ずるい。美味しそう。
腹ペコ女子大生の朝日さんがどれもこれも美味しそうに食べてくれるので、読んでてお腹が空いてくる。
主人公が食品も置いているスーパー勤務なので、ご近所のスーパーで売っていそうな食材をメインに、簡単な手順付きで書かれているので、あなたも今日の晩御飯で優勝しましょう。

そして物語のある意味メインの、お仕事での無理難題。現在の売上減の部門で昨対100%をあげろ、そうでなければ国外行きと言われ、もう無理だよ……と主人公はめっちゃ落ち込みまくる。けれども女子大生の発言からヒントを得て、今までろくに現場に関わってこなかった自分を顧みて、少しずつ現場のパートの皆さんたちと力を合わせて乗り越えていくという王道ストーリーがすごく良かった。

主人公は女子大生の発言から自分がろくに現場に目を向けていなかったのを反省し、現場を変えようとしていく。
てっきりこの後も、部外者素人の発言から素敵なアイディアが!というパターンかと思いきや特にそんなことはなく、一つぐらいしかそういう部分が無いのがすごく個人的に好きかも。
そうだよなあ、完全に部外者の思いつき程度のことだったら、同じくこの部門では部外者の主人公だって思いつく。それより主人公が今までまともに対話してこなかった現場の人たちに話を聞いて実行していくほうが確かだ。それだけのことをしていなかった主人公が女子大生の発言で奮起したのも良い。売り場改造計画に乗り出してからの主人公、生き生きしててとても良かった。

そして仕事で疲れたり行き詰まったりしたタイミングで、一緒にご飯食べる女子大生に癒やされる。この温度差がすっごい良いんだよ……。
ふわふわのご飯イチャイチャシーンだけじゃなくて仕事のシーンでピリッとして、でもどんだけつらいことがあっても自分が作ったご飯で美味しい美味しいと言ってくれる子がいる。本人全く意識してないだろう発言を不意にこちらの心臓にぶっ刺してくる。緩急がひたすら最高。

ただ、直前に読んだのが教え子に脅迫されるのは犯罪ですかだったのもあって、パワハラ上司がなんで主人公をここまで目の敵にしているのか全然わかんなくてもやついた。なんか嫌いだからぐらいはあるんだろうけど、そのあたりが全然欠片もなにひとつとして見えてこないので、主人公が追い詰められるためだけの舞台装置と化してるよなって。
これは本を読んだ順番が悪い。こっちが先だったらそうは思わなかった。

あとタイトルにはあるけど半同棲はしてないっすね。むしろ中盤からはほぼ会わなくなったりすらするし。タイトル詐欺!

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