「教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 1時間目」ロリものかと思いきやド王道現代お仕事モノ

★★★★☆,MF文庫Jお仕事,ロリ,現代

あらすじ

中高受験指導塾に勤める27歳塾講師・天神。
小中学生を指導するテクニックに長けてはいるが、子どもに対する思い入れは全くない。
世間の荒波に揉まれたり同僚のJDを揉んだりしながら、どこか冷めた気持ちで今日も明日も働き続ける、はずだった。
しかし――
「せんせい、すき、すき、だいすき……」
ある日、担当クラスの小学五年生女児にスリスリされている姿を中等部のクソ悪魔(14歳・JC)に見つかって……?
「わたしに、夜の個人レッスンをしてください――ね、一流のロリコン先生?」
まさかの強制課外授業スタート!?
『変態王子と笑わない猫。』のさがら総が放つ通報必至の年の差ラブコメ!
誰も知らない小中学生の禁断の“リアル”がここにある――!?

シリーズ: 教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?

おっおもしれ~~~!!!
タイトルからてっきりロリモノだと判断してうーんロリは……となりつつ読み始めたのが申し訳なくなるくらい(少なくとも主人公は)未成年をそういう目で見ていないし、そもそも恋愛沙汰が(一方的なものしか)ほぼないし、なによりお仕事モノだった。
あらすじには年の差ラブコメとあるけど少なくとも主人公にラブは無い。ヒロインというか教えている生徒側には年上の先生に憧れ的な恋愛感情があるけれども、主人公には無い。ここ個人的には結構重要。

大人の「仕事」への冷めた視線とその実秘める熱さとプライド

塾講師って仕事にとうに情熱は無く、子供をうまく制御して授業を聞かせるというやり方をしている主人公。裏の顔はラノベ作家だが、1本目は個性尖りすぎてそこまで売れず、大衆向けにした2本目以降はそこそこ売れている立場。
そんな彼のところへ、中学生の少女がラノベの書き方を教えてくださいと言い出す物語。

塾講師という仕事事態には諦めと手抜きと子供の制御をメインにして行い、自分は冷めていてろくな教師ではないしこのさん付けとあだ名を利用して自分は怒っていますと圧を掛けての制御は良いものでもないと思いつつ、それでもどこかこの職業自体が好きなんだと思わされる主人公に惹かれた。
本当に塾講師の仕事自体が片手間だったり面倒くさかったりしてたら、放課後質問室なんて頑張らなきゃ良いもんな。ロリコン講師みたいに趣味と実益を兼ねている人ならばまだしも主人公はそういうものもなく、実際サボっている講師もいるのに、なんだかんだ言いつつ質問室にも参加する。
子供たち全員の性格や制御方法も理解しているあたりからしてもこの仕事すごい好きなのもつたわってきて、でも冷めた振りしているのがすごくもどかしいし素直じゃない27歳って感じがある。

ラノベ作家って職もそう。
ラノベ作家志望の中学生に、そうとは知らずに自作について1作めは良いけど2作めは大衆受け狙いしすぎて良くないと言われまくる。こういうの作家モノあるあるだと思うし、それではっとして1作めの作風みたいなものも書くぜ!というのがお約束なんだけど、主人公は中学生の発言に苛立ちを覚える。大衆受けの何が悪いと散々自己の作品を冷笑していたのに、面と向かって貶されると怒りを覚えるぐらいに自作に対して誇りがある。

「自分だけが大好きな『いいもの』ではないからって、どうしてちゃんと読みもしないで否定できるんだ? おまえの好きな作者とやらは、それを、それこそを、『いいもの』だと確信して書いたかもしれないのに?」

尖ってる話がよしとされる創作内創作において、こう出てくるのがすごく好きだなと思った。大衆受けイコール悪いものばかりではないというか。自分の作ったもののプライドや作家としての矜持が見える。

 くだらないライトノベルを書いている俺は馬鹿かもしれないが、それをくだらないと馬鹿にする権利は誰にもない。わがままで、当たり前の理屈だ。

正直自分も溺愛チート無双静かに暮らしたいが嫌いな立場で言うのもアレなんだけど、大衆受けってそれを好きな人がたくさんいるんだよね。だからこそ、尖ったものを書いてた作家が大衆受けを書いたからといって、それを面と向かって読みもせずに否定されるのは違う。
とはいえまあ、中学生側も中学生であり、中学生としてのまっすぐな心をいだいて主人公にぶつけたら言葉でぶん殴られたのは可哀想でもある。これは本当に。

装置ではない悪役

出てくる悪役がただのモブ舞台装置悪役じゃないのすげえ好きだな。

調布校を超不幸と呼ばれるだけの状態にしたやばい塾長。パワハラ上等、塾生たちのことを思っているからこそ! 成績をあげるために! 生徒にも無茶苦茶を、講師には更に無茶苦茶なパワハラをぶちかます!
という上司としては最悪でずっと主人公を痛めつけている人だって、そうなるだけの理由があり、そこにはやり方を間違っているとはいえ愛があった。生徒たちを自分の子供のように思っているからこそ!という言葉に一切の嘘はなく、自分の子供がこのやり方でもうまく育ったからこそ、塾生たちにも同様の教育を行った。
ただの意地悪パワハラ一辺倒の舞台装置ではなくそういう人間でしたと出されるの、正直結構ぐらっときた。クソ野郎なことは間違いないし今後同じことをしたらマジでクソなのはそうなんだけど、でも舞台装置が人間になった気がした。
勇者パーティーを追放された精霊術士あたりみたいに、ただ舞台装置として存在するだけの悪役じゃない、血の通った人間だった。

総じて物語としてめっちゃ面白かった。

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