「経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その4 (ファンタジア文庫)長岡 マキ子」ルナの家族メインの巻
あらすじ
“青春してるなぁ。みんな、誰かに想いを寄せているんだ。たとえそれが、一方通行なものだったとしても”。
恋人、友達、姉妹、家族……なかなか思い通りに行かないのが人間関係! 通じ合う気持ち、届かない想い。悩み多き高校生活の中で、理想と現実のギャップに翻弄されながらも一歩一歩前進、成長していくリュートや月愛、そして海愛たち。
愛すべき「#経験済みな彼女」キャラクター、今回は全員大活躍な“あるある青春群像劇”を繰り広げます。
ハラハラドキドキ、ほっこりウルウルな第4巻。
そして……「うぅ……童貞ですいません……」果たしてリュートは卒業できるのか? 必読不可避!!
主にルナと家族に焦点が当てられる巻。両親しかり、黒瀬しかり。
この巻読んでて特に思ったんだけど、リュートとルナの関係はルナが主に「ずっと一緒にいてほしい」「このまま結婚してほしい」のずーっといっしょ!なノリだけど、でも他のカップルたちはすでに1回別れてたり、ルナと黒瀬の両親は離婚してたりで、恋愛感情って移りゆくものって描いてるんだな。果たしてリュートとルナはどうなるのか。
リュートと黒瀬の決着
優しさ故に黒瀬から伸ばされる手を完全には拒否しきれないし、体育祭で母親がルナに取られてしまったからと一人で屋上へ逃げる黒瀬を放っておけないリュート。前巻の最後はかなり不穏な空気で終わっている。
そんなリュートが今後黒瀬との関係をどうしたらいいのか相談した先は、ニコルの彼氏であり一時期女遊びしたおしていた関屋。関屋はリュートに、異性愛者にとって異性なんてみんな友人以上恋人未満、いい感じだなと見るの自体は彼女に言わなければ自由と告げる。
前巻の感想でリュートの優柔不断さ気持ち悪いなとは言ったけれど、でも恋ってそういうものだよなーとも思っちゃった。
少し前にはてな匿名ダイアリーで話題になってた恋の仕方で書かれていた
①「気になる」人を見つける。できれば複数
恋愛感情が薄い人は「好き!」という感情を他人に持ちにくいんじゃないかと思う。それでいい。「この人、ちょっと素敵だな」「他の人より少しだけ気になるな」この程度の温度感を感じる相手がいればOK。更に言うとこの相手は複数いるとリスクヘッジの点で非常に良い。
と理屈的には同じで、うっすら良いなと思う子がいれば、一人駄目でも他の子がいる。めちゃ本気というわけじゃなくなんとなくうっすら気になる程度だったら、告白っぽい雰囲気になったところで振られたとしてもまだ精神的に楽ではある。
って考えてから、いやいやいやリュートの場合はルナと付き合ってるからね!?と気付いてしまったので終わりです。
でも異性で自分に好意を持ってくれる相手がいたらうっすら好きになっちゃうのは仕方ないし、ルナだってもともとは「あたしのことを好きって言ってくれたから好き」という、自分を好きでいてくれるから好きという薄いものだったもんな。じゃあ仕方ないかもしれない……うーん……納得しがてえが……。
と思っていたところで、リュートはルナと黒瀬を天秤にかけて、他の女友達がいなくなったってルナが良いという重めの決意をして黒瀬に再度お断りをして、今までだったら送っていっただろうところで一人で帰らせたのが驚いた。
言い方悪いけれどもラノベ主人公だからこそ優柔不断でキープ状態で暫くそのままだろうと思っていたのもあって、そう来るとは思わなかった。
その後黒瀬が痴漢に遭っても、側にいれば心細くないだろうとわかっていたし今までのリュートだったらそうしただろうときでも、ルナ経由で母親に迎えに行かせるという徹底して自分が関わっちゃいけないと決めたあたり、まじで驚いた。お前そういう人間だったんか……。
友達ですらなくなるというのは決着としてそうとう重いものではあるけれども、そのぐらいしないと完全に決別して期待すらしないというのは出来ない。だから仕方ないっちゃ仕方ないよね。その後黒瀬がルナの姉妹だと学校内で判明したおかげで女子の友人が増え気味になっていったのは本当に良かった。男一人振られた傷を癒やしてくれ……。
ルナの両親
ルナは黒瀬と協力し、離婚した両親をクリスマスに食事させることでわだかまりをなくして再婚への一歩を踏み出そうとする。しかし父が連れてきたのは今度結婚する予定の婚約者で、ルナとの顔合わせのつもりでいた。大好きな両親に再婚してほしいという願いは完全に絶たれて泣くルナ。
リュートとルナっていうメインの二人はずーっと一緒!結婚したい!子供は何人ほしい!のノリなのに、それ以外の人たちは、ニコルと関屋のカップルは1回別れて現在もまた距離置き中、ルナの両親はこの有り様と、人の恋心は移ろいゆくというのをガンガン出してきてる。そういうルナだって過去には男と付き合っては浮気されて別れまくってきた過去がある。
好きだとその時は思っても時間が経つごとにやっぱり好きじゃなくなったり、一緒にいるうちに歪みが出来てきて修復不可能になったり、逆に相手を思いやって(ヤリチン思考だけど)別れたりと様々な別れがある。
っていうのを前提にして、二人はこの先どうなっていくんだろうって想像した。
メタ的なことを考えちゃうと周囲の別れる人たちとの差を出しつつメインは別れませんよ!なんだろうけどさ。
ルナが1週間記念や1ヶ月記念など小刻みに記念日を祝っていた理由が、過去に出ていた『今まで彼女がそのぐらいの感覚で浮気されていたから』だけじゃなく、『1ヶ月この人は自分を好きでいてくれた』という理由が見えてきたのは切ない。そして記念日を忘れることで、それだけリュートへの不安視がなくなったと落ちがつくのが最高に愛おしかった。
それはそれとして、予約しているお店に人を増やすのはどうかと思うよお父さん。クリスマスなんて食材の数も考えたらそう簡単に人増やしちゃ駄目でしょ……。社会人なんだからそこらへんはちゃんとしよ。娘ほっぽってクリスマスに恋人としっぽりやってるしさあ……。