「彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。 (ダッシュエックス文庫)さちはら 一紗」終盤の展開が熱いラブコメ

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彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。 (ダッシュエックス文庫)さちはら 一紗

彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。 (ダッシュエックス文庫)さちはら 一紗

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あらすじ

俺、陽南飛鳥には悩みがある。
異世界から現代に帰ってきたせいで、高校で浮いてしまったこと。
そして、隣に住んでいる彼女――文月咲耶が窓から俺の部屋にやってくることだ。
咲耶は同級生であり、かつて異世界で敵として戦った魔女でもある。
彼女は俺に負けたことを根に持って、今でも突っかかってくるのだ。
俺の願いは平穏な日常を手に入れること。
そのためには、二度と突っかかってこないよう、彼女をもう一度負かさなければならない。
俺は咲耶と再び勝負を始め――その中で彼女の秘密と、俺に会いにきていた本当の理由を知ることになる。
これは、異世界で最低な出会い方をした俺たちが、最高の青春を手に入れるまでの話だ。

面白かったー!!
異世界召喚されて勇者として戦わされた少年と、魔女として戦わされた少女。もともと知り合いだった二人が異世界で再会してそうして二人してこの世界に戻ってきてからの物語。
前半の二人の軽めの展開から、徐々におかしいなというのが明かされていく中盤、にじみ出てきた不穏が爆発する終盤とめちゃくちゃ好き!!
まあね、異世界召喚なんぞ自分の世界の人間にはまずいことを他の世界の人間にやらせるようなものだからね、そりゃあろくでもねえことですよ……。

異世界帰りの二人

異世界召喚帰りの二人っていう設定が面白かった。なんとなく最近は異世界行ったらそのまま帰ってこないことも多いけど、こちらの世界に未練があれば戻ってくるよな。そんなこんなで戻ってきた二人が、2年間行方不明だったために授業になんとかついていこうとしたり、留年なので当然周囲は年下で主人公は友達がつくれなかったりというあれこれから描かれていく。
そりゃ周囲にいるの年下オンリーなら友達は早々出来ませんよ。という流れから、主人公とヒロインが友達になる流れはベタだけど良かった。素を見せずに役柄を演じるような癖があるヒロインが悪役魔女のロールプレイングしているだけであり異世界ボケしているわけじゃないっていうの、本当に良かったよ(面白くて)。

時々薄々出てくるヒロインが主人公を意識しちゃってる、もともと初恋の相手っぽいという描写が読んでてものすごく刺さるというかてぇてぇというか……。
前述のとおり、最近の異世界転移て行ったら最後戻ってこないものも多い。現代日本が嫌ならそのまま異世界に居座ってしまえ、あっちだったら様々なチート能力も使えるし!っていうのもわかる。でも彼女は主人公がいる世界に帰りたかったし、出来ないならこの異世界をぶち壊してやるというのが戦う原動力だった、っていうのがもうね。めっちゃ恋じゃん。愛じゃん。こういうの大好き。

っていう二人の微妙に素直になれないながらも、異世界では敵対していた二人のラブコメ、と思っていたら中盤から話が変わってきた。

にじみ出る不穏からの終盤の熱さがヤバい

前半から薄々と出ていた不穏っぽさが中盤に一気に噴出するの、読んでてうおっとなった。
主人公が一人暮らししているのは、異世界から帰ってきたら実家が消えていたため一人で生きるほかないから。ヒロインは魔力をこちらの世界でも使える代わりに異世界で年を取らなくされてしまっている。主人公は記憶の欠損がある。このあたりが次々と提示されていって不穏が一気に深まっていくのが熱い。

からの終盤の、ヒロインが主人公の最大の秘密を理解してからのバトルがもうめっちゃ熱かった。こういう、ただの勝敗つけるためじゃなくて何らかの大事なものを賭けて自らの願いを押し通すためのバトル大好き! 主人公は異世界転移から帰ってきてからのヒロインとの思い出、ヒロインは主人公の自我や存在そのもの。互いに大事だからこそ絶対に引けない戦い、超絶熱い。

主人公が記憶と自我の一部を失ったのは異世界で脳味噌改造されたからじゃないか、というヒロインの推測はめっちゃ納得できるんだよね。
異世界側としては、効率よく戦ってくれる兵士としての勇者がほしい。自分の世界の人間というリソースを奪われるのが嫌だから、異世界から呼び出す。しかし呼び出された人間としては思い入れも何も無い異世界を自分の命を賭けて守る義理などない。だから義理を作るために脳味噌をいじくる。
めっちゃ理解できる理屈だし最悪の理屈すぎる。

――という予測を前提としてのバトルが熱かったし、魔法の代償としてバグり散らかすヒロインに主人公が本音を吐露するのももうめっちゃ熱かった。
こういうの弱いんだよ、愛で結局全てを解決してるの。あと主人公、もともと若干イカレ野郎なのに笑ってしまった。お前が脳味噌弄くったんかい。やってることはちゃめちゃわんぱくじゃねえか。
結局主人公もヒロインも愛と恋のために全力ぶちこんでたのが本当に良かった。

ちなみに同系統の異世界に行って帰ってきたラノベといえばこれが好き。

こっちはヒロインはこちらの世界に普通にいて先輩が帰って来るのを待ってたタイプ。不穏なしイチャイチャですごく可愛かった。

彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。 (ダッシュエックス文庫)さちはら 一紗

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