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「もう好きって言っていい? (BeLuck文庫)伊達きよ」受け、お前顔が良くて良かったな……

もう好きって言っていい? (BeLuck文庫)伊達きよ

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あらすじ

高校生の八重沼奏は、容姿が美しすぎるせいでぼっちな日々を送っていた。趣味の糠漬け作りに没頭しながらも寂しく感じていたある日。同級生の爽やかモテ男子・二宮と選択授業で知り合い「友達になろうよ」と言われ…。戸惑いつつも、奏は二宮の明るさにすぐに心を開く。一方、人間関係に疲れていた二宮も、奏ののんびりした性格に癒やされ惹かれていき――「八重沼の前だけだよ、こんなの」「もう、なんっにも格好つけられない…」二宮の余裕ゼロな本音で友情は形を変えて!?♡

お前、顔が良くて良かったな……と心底思える主人公

クラス替えのあとの自己紹介で「ぬか漬けを漬けるのが好きです」と自己紹介したことからヌカちというあだ名になった美貌の主人公(受け)と、そんな彼に興味を持って話しかけてくれたみんなの人気者イケメンの攻めのお話。
周囲から遠巻きにされている主人公が、自分とある程度まともに会話してくれる人に懐いて距離を詰めて一緒にいたいと思うというのはわかるしありがちなんだけれども、同時にこの主人公の性格だとまあ……それもしゃーなし! となってしまう部分があり、どうにもなーなところがあった。

自己紹介でぬか漬けを漬けるのが好きですといい、それが笑いに繋がってもうまく活かすことのできない性格。相手の会話のテンポに乗り切れずふわふわと笑うだけ。スマホもろくに使わず、おばあちゃんっ子で、カラオケだとかそういうものも興味がない。
良く言えばマイペース、悪く言えば他人と合わせる気がない、自分の世界ばかりの性格。
これ、顔が良いからこそ浮世離れしている雰囲気だと周囲が思ってくれているだけで、顔が普通だったら別の意味で遠巻きにされるコースですよ……。

母親から「あんたは顔だけだから」と言われて育ったために顔についてあれこれ言われるとネガりがちな部分も含めて、読んでいてこいつ面倒くさいなーという感情のほうが勝っちゃった。

性格は悪くはない、たぶん。悪くはないはずなんだ。

「墨溶かしてるだけなのにあんな美しいことある?」
「いや、それな」
 さわさわと聞こえてくる話し声を聞くのも好きだ。会話の内容まではしっかり聞き取れないが、なんだか自分もそのおしゃべりに参加しているような気持ちになれる。好き、好きだな、好き、と心の中で歌うように好きなところを挙げながら、俺は墨を硯の横に置いて息を吐いた。

でもこれ、マイペースすぎて人の輪の中に入る気がまるでなく、だからこそ一人ぼっちなんだよなあ……。

 どのクラスも、みんな楽しそうに笑い合って呼び込みをしたり、店番をしたり、調理したりして……その、まさに「みんなで協力し合っている」という様子が大層楽しそうで。俺は
僻みにも似た「いいな」を心の中で何度も呟いた。
 客を呼び込むのは大事なことだと、それはわかっている。けど、それでも。
(みんなと一緒にいたかったな)
 準備の期間から、それは、じわじわと感じていたことだった。
「ヌカちだから」
 という理由で、俺はみんなとちょっと違う場所に追いやられる。

このあたり、じゃあ言えよ! みたいな気持ちが湧いてきてしまう。

空気のあまり読めない男である受けがある程度自己主張出来るのって攻めぐらいなんだけど、それは攻めが受けに興味を持ったから自主的に受けとの距離を詰めて信頼関係を築いていた結果。受けが周囲に言えないのは周囲との信頼関係や心理的安全性を確保していないからとはい、じゃあお前がもっと動けよ! と思ってしまう。
だいたいの出来事において受けが受け身であって自主的に大きく動くシーンが少ないので、読んでいてそこらへん本当に不満になってしまった。

このあたりは完全にnot for meの話であって、わたしが能動的に動く主人公が好きだからこその問題。


物語自体は青春ラブコメって雰囲気で良かったは良かったんだけれども、主人公である受けがあまり自主的に動かないので読んでて「てめえが動け!」と思う瞬間が多すぎた。自分の趣味がわかり易すぎる……。

もう好きって言っていい? (BeLuck文庫)伊達きよ

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