
あらすじ
従妹を引き立てるため、初心なのに悪女のフリをしたエルシー。
アプローチしてきた年下の騎士ケンドリックを利用するつもりが、予想以上に一途に迫られて!?
「あなたのただ一人の男になれたらそれでいい」
情熱的なキスと、不器用ながら丁寧な愛撫。
初めての快感に抗えず、蕩かされる。
ずっと前から好きだったと真摯に告白されれば、胸が高鳴って。
もう、本当の自分を隠せなくなる!?
性格悪い男のせいで社交界に悪評をばらまかれたヒロインが、親に「一旦国外にある親戚の家に行ってろ!!!」と言われ向かった先で、7年前に一度あったっきりのヒーローに偶然遭遇し、全力で愛嬌あふれる執着に襲われるという物語。
ヒーローが7年ものあいだイカれた執着でヒロインを探し続けているのが、作中でも『変なやつ』『おかしな行動を繰り返してる』と表現されているのに笑ってしまった。普通こういう話の執着って、もうちょっと格好良さがあるように描いてもらえるものじゃないですか!? 作中でも完全に変人あつかいなんだよなあ……。大丈夫かこのヒーロー……。
ヒロインのついた嘘である「私には信奉者がたくさんいるの」を信じて「僕もあなたの信奉者にしてくれる?」と言い出すヒーローの可愛さというか愛嬌よ。
年下ヒーローって愛嬌と可愛げが強いと、ここまで子犬っぽくなるのか……と読んでて笑ってしまった。一見変な人という噂(と実際の行動)と可愛らしいわんこっぷりのギャップがすごいけれども、すべてヒロインへの一途な思いから来ているので最高(気持ち悪い)。
ヒロインはもうめっちゃ格好いいね……。
引っ込み思案な従妹の恋をうまくいかせてあげたい。けれども従妹の好きな相手はどうも自分に気があるようだ。ならばともともとの悪評を利用して悪女振る舞いし、性格わるそうな行動をし、腰軽な女を演じて見せる強さよ。大事な人のためにはいくらでも頑張れるし自分はどう思われたって良いという優しさが、読んでて応援したくなる。
悪女ぶっているが本当は奥手で清純で、ヒーローの子犬じみたまっすぐな愛情表現や、ヒロインの嘘を一切疑わず頑張ろうとするあれこれに慌てているのが可愛い。恋愛以外だとぐいぐい行けるが恋愛だとポンコツとまでは言わないが対処にこまるヒロイン、こんなの可愛いに決まっている。
最初から最後までヒーローがヒロイン大好きわんわんしていて、悪女を演じつつもヒロインが徐々に絆されていく過程が読んでいて楽しかった。ヒロインの頑張りのおかげで従妹の恋愛模様もきっちり進んでいくのが良い。こんな頑張って従妹はダメでしたなんてなったら辛すぎるもんな。
ヒーローもヒロインもどちらも可愛く、両方の視点から描かれているため双方の可愛さが堪能できて、めっちゃ面白くて応援したくなる話だった。
