
あらすじ
『お前のことが好き』――。ごく平凡な高校生・間山は、後ろの席から回ってきたプリントに告白文が書かれていて衝撃を受ける。まさかの送り主は、クラスの中心的存在の超絶イケメン・朝宮。自分宛じゃないよな?と疑うけど、朝宮はあっさりと「間山に書いた」と即答。それどころか、重すぎる愛が日に日にヒートアップして⋯!?「無理。ずっと我慢してたから」「俺はずっとこうしたかった」最初から最後まで尊さMAX!! 恋に一直線な一軍男子×超ウブな純粋男子の青春BL♡
自ら行動しない主人公は好みじゃない
席替えをしたあとの、プリントを後ろの人から前の人へと回すタイミングで、後ろの席のイケメンが「お前のこと好き」と書いたプリントを回してきて!? という物語。
告白後から受けとの距離を詰めようとしてくる攻め、周囲もそれを微笑ましく見守っておりという状況ではあるし、大きすぎる山もなくて日常青春系ではあったんだけど、でもびっくりするほど好みじゃなかった。
席替えきっかけに告白してきた攻めがその後受けに対して甘ったるい執着全肯定botになるあたりが好みじゃなかった。全肯定bot野郎があんまり好きじゃないので……。このあたりは完全に好みの問題で、最近の流行り(男女BLどちらも)が溺愛系と全肯定なのを感じるため、自分の好きな傾向が世間の流行とは違っているのを感じた。
また、突然告白してきた攻めに受けがさほどあんまり何も行動しないのもな……。いきなり告白してきて随分と距離を縮めてくる攻め相手にどぎまぎしたり動揺したりはしつつも、その行動に対して『どうしてほしい』『こうしてほしい』といった明確なアクションがないので、状況にただ流されているようにしか見えなかった。
攻めの側も、告白はしていながらも受けにこうしてほしいという願望がろくに出てないので、じゃあなんで告白した? となっちゃう。溢れ出る思いをどうしても伝えたかったにしても、伝えるだけであって付き合ってほしいとかそういうのはなにもない、でも受けがほかの誰かと仲良くしてると嫉妬する。なら付き合ってくれぐらい言え。
これは本当に毎回毎回言ってるんですが、わたしは視点のキャラが目的を持って自ら動く話が好きなので、主人公が現状に流されるだけのこういうのは好きじゃないんだよ……。溺愛系でも主人公の幼馴染が、脇役の俺にグイグイくるみたいに溺愛されてる側の主人公が知力を尽くして動き回り、ヒロインもその補助飛び道具として動くのは好きなんだけど、今回の席替えしたら~は完全に流されるばかりの主人公なので好みじゃなかった。
でも攻めが受けを好きになった流れはかなり好み
時々入る攻め視点で、攻めが何故受けを好きになったのかっていう流れはかなり好みだった!
攻めがいないときに攻めを揶揄した発言をしているクラスメイトの男子たち、話を振られて「そういうのはやめたほうがいい」的な発言をする受け(恐らく)。状況を聞いているだけでしか無い攻めは、その発言が本当に受けなのかは確証を持てない。けれども声は恐らく受け。しかし、授業中の受けはそんなはっきりとした受け答えをしないし、本当にあれは受けだった? と気になり、日常的に受けをよく眺めるようになる。
良く見ていたら、受けが周囲のことによく気がついて小さな気遣いや細やかな気配りをしているのに気付く。
この、庇われたから好きなんじゃなく、それはきっかけにすぎずその後の受けの行動を見ているうちに人間性に惚れたっていうのはめーーーっちゃ良かった。すごい好み。自分をかばってくれたことじゃなくてその後の人間性じゃん、惚れたメインって。いいよな、そういうの。
ただ、受けのやってた気遣いがなんか微妙ではあった。日直が日誌を書いてないので代わりに書くのはうーん……? たぶんこのあたりは作者との感性の違いだろうな。
購買のパンが売り切れたら校長手作りのまずいパンを食べるという描写も、いやまずいなら食わなければ良くない? そんなまずかったら男子高校生だったら学校抜け出して食べない? ていうか衛生が不安だな? みたいに突っ込みたくなったし、細かいところで作者と感性がズレている。
総じて、だいたいずっと好みじゃないんだけれども一点だけめっちゃ好みな話だった。
時々思うんだけど、こういう社交性はさほどなく友人が少ないキャラでも物語において陽キャ側や一軍側として描かれるキャラもいるが、主人公になると途端三軍や陰キャ扱いされるのって面白いよな。
案外陰キャ友達少ない友達以外とろくに喋れない系主人公って、近寄りがたいカースト上位一軍扱いされてるのかもしれない。
