没落令嬢の異国結婚録 江本 マシメサ

★★★★☆,ビーズログ文庫ツンデレ,ファンタジー,付き合ってる,偽装/政略結婚,恋愛

あらすじ

異国で新婚さん始めました! “理想の夫婦”を目指す異文化結婚ラブコメ!

没落寸前の伯爵家令嬢・レイファは、金髪碧眼が「幸運を呼ぶ」と、遙か遠い大華輪国の華族に買われてしまう! 借金返済は叶ったけど、このまま一生珍品扱い!?
そこへ「俺の妻として迎える」と救いの手を差し伸べてくれたのは、見目麗しくも病弱な当主シン・ユーだった。レイファは恩返しをしようと、得意の料理で彼を心身共に癒やす計画を立てるけど……?

シリーズ: 没落令嬢の異国結婚録

メインカップルひたすらかわいい、とにかくかわいい

主人公は、没落令嬢というより最早貧乏令嬢。
とうの昔に実家は没落したものの貴族の地位を捨てるには金が必要、その金もなく定期的に貴族税を持っていかれるため金が無い。

そんな彼女に声をかけたのは金持ちで押しの強いおばちゃん。彼女はこの国で珍しいものを探していた。そして自国の占い師いわく金と青のものを手に入れれば運気が上がると言われる。
偶然見つけた金髪碧眼の主人公に目をつけたおばちゃんは、彼女を買い取り自国へお持ち帰りしようとする。
自分を売った金で貴族の地位を返上した主人公だが、おばちゃんとともに異国へ渡ったところ、おばちゃんの息子が返してこいという、しかし返せないだのごたごた話しているうちに、主人公はおばちゃんの息子と結婚することに――というお話。

仏頂面であまり表情を出さないがワーカーホリック気味のところがある息子と主人公のまどろっこしい恋模様が面白い。
主人公は異国に来たばかりで言葉がかたことで、感情豊かだけれどもうまく意思疎通が出来ない。返事に「別に」ばかり多用する息子に対して「もっとちゃんと喋って!」と伝えたいけれど、自分の覚えている言葉ではそれすらちゃんと出来ないのだ。
息子のほうは言葉は少ない表情にも出ない。主人公の感情は表情などでなんとなく察せられるけれども、実際何を伝えたいのかは彼女の言葉が片言だから完全には伝わらない。
そんな、意思疎通がまどろっこしい恋愛模様がひたすらズレてて可愛かった。

主人公がひたすら健気で元気で前向きなのが強いんだよね。
強気のおばちゃんにも負けるどころかむしろ懐き、息子も若干怯えつつも(それを伝える語彙がないのもあるけれども)表に出さずに彼になにかあれば心配し、突然つれてこられた国も良いところを見つけていく。
元気で健気で雑草のように強くて、本当にかわいいし応援したくなる。
そりゃこんな子といれば息子も次第に目が離せなくなるし甘くなりますわ……。

他のキャラの会話で、よく大奥様といられるな……みたいなことを言われていたけれども、なるほど主人公視点で見ているとそうでもないが、他人視点だとおばちゃん強気だし怖いし確かにこれは主人公すごい。強気で金持ちで金に物を言わせようとするおばちゃんは怖い。

よくヒロインキャラにいる『異世界などから来たからこちらの国のことがよくわからず突拍子もない事をしてしまうが天真爛漫で前向きな女の子』の視点から描かれる物語なのも面白い。普段はちょっと何考えてるのかわからないポジの子視点でこういうこと考えてますよーっていうのがわかるの、なんか楽しい。

主人公はまだ自覚は全然出てないんだけれど恋の芽生えが出てきてるのに対し、息子は完全に好意を自覚した上で彼女が大事!彼女に笑ってほしい!と思っているのがもうかわいい。
周囲も「どうやってあの人を籠絡したのか……」という視点なのに、主人公ただ一人だけが全くもって理解してないの、ほんと可愛いなあ。

お義母様が強烈可愛い

最初はヒロインを買い付けた金に物言わせた成金おばちゃんと思っていたけれども、この義母様がまあかわいい。とてもかわいい。強烈だけれどとても可愛い。

息子から「なんで連れ帰った」と怒られたときは切れて主人公を地下へ幽閉するなどといった提案までするような主人公を人ともまともに思っていないお義母様。息子がこいつと結婚すると言ったときは自分の家の名誉を重んじて怒ったお義母様。主人公が礼儀を知らないところがあると口うるさく言うお義母様。でも主人公に「おかーさん」と呼ばれるとちょっとうれしそうなお義母様。主人公がふらふら外出しようとすると迷子になりそうと心配してくれるお義母様。最終的には(息子が目の前で主人公に膝枕だの膝だっこだのするのを見るのが嫌とはいえ)膝枕をしてくれるお義母様。

ツンデレ可愛い。
とてもツンデレ可愛い。
脳内再生がTHE・大阪のおばちゃんといった絵面なんだけど(ごめんなさい)とても可愛い。最高可愛い。
ツンデレというか、ツンだった人がデレになるのは良い。家で猫を飼ったら一番反対していた母がいつのまにか下僕になっていたエピソード並に良い。

お義母様、このままどんどん主人公に籠絡されてほしい。猫コピペ状態になってほしい。

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