「ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?」ヤマタノオロチ(ウナギ)の蒲焼き一丁お願いします
あらすじ
荒廃した24世紀の東京は合成食糧や電子ドラッグが巷に溢れ、荒くれ者たちが鎬を削る……それでも、やっぱりお腹は減るんです。日々の戦いに疲れたら、奇蹟の食堂――《伽藍堂》へ!
厨房を受け持つのは「食の博物館」の異名を持ち、天使の微笑みをたたえる少女ウカ。狩人兼給仕を担うのは、無法者に睨みを利かせる、こわもて奔放娘リコ。
二人は今日も未知なる食材求めて、てんやわんやの大騒ぎ。「おいしい!」の笑顔のためならば、人を喰らうドラゴンから、食べたら即死の毒キノコ、はたまた棄てられた戦車まで!? なんでもおいしく、そして仲良くいただきます!
リコとウカの風味絶佳な日常を皆さんどうぞ召し上がれ。
お料理×ポストアポカリプス×百合
なんか美味しいもん全部詰め込んでんなー!と思うような組み合わせ。
なおブックウォーカー読み放題の百合特集のところにあったので読んだ。
これめちゃ良いね。読みたいの探しやすい。
ただでさえブックウォーカーはタグ付け細かくて気になる本が探しやすいのに、こういうのあったらもっと選びやすくなる。
ブックウォーカー、こんな本が読みたい!というのがある程度ある場合に最適。
ブックウォーカーの書籍検索機能はKindleと比べて本当にすごいと思うよ……。問題は読み放題で読める範囲が狭いことぐらいで……。
閑話休題。
荒廃した未来の世界で、メイド服姿の少女・ウカが料理を作り、給仕兼食料回収係の荒くれ少女・リコが店を切り盛りする物語。
連作短編集のため、一本一本が気軽に読める。
ポストアポカリプスならではの料理
面白いのは調理される食材たち。
1話目で調理されるのは機械の蜘蛛。
本来は兵器として作られた蜘蛛だが、内部にある人工筋肉が美味しいため乱獲された存在。いやいやいや製作者何してんだと思うが、まあありそうだな……とも思うラインなのもまた面白い。
ウカが金属で出来た殻(文字通り金属甲殻)を開けて中身を取り出し、出てきたぱっと見食べれそうにないそれをリコが美味しくいただく。
こういった、将来的にもしかしたらあるかもしれない?でも現代だったら絶対にありえないというラインの食材たちがウカの手によって調理されていくのが読んでて楽しい。
だって絶対食べれないじゃん、死んでも生き返る薬物を投与されているために首が8本あるウナギの蒲焼き。あるかい!と叫びながらもおもしれーと読める最高に楽しいライン。
荒廃した世界で、当然食物は少ない。今私達が行きてる現代と同じようなものは本当に少ない。
そんな中で彼女たち(主に狩猟担当・リコ)が必死こいて食材を回収し、ウカの手によってギリギリ想像はできるし味もなんとなく想像つくが一生食べられないだろう料理にされていくのを読むのはすごく楽しかった。
百合 これは百合です
ウカとリコの関係性~~~~~~関係性が大変尊い。
お店を切り盛りする料理人には誰も逆らえない! 荒くれ者の少女であるリコだってお料理を盾にされたら逆らえないし、そもそもウカ自体に弱いので逆らえない! という、誰でもああ~~~~と声を上げて拝むタイプのめちゃくちゃ好きな関係性。この関係性が嫌いな人類いないでしょ(大げさ主語)。あざとすぎとも思わないこともないけれども、読んでいて二人の関係性が実際とても強固かつ普段の様子からも伝わってくるのでありがとうございます最高です。
序盤にウカがリコと他のキャラの関係に嫉妬する回があったのでウカのがリコを大事にしてるのかなーと思わせて、最後の話でリコからウカへの涙ながらの愛見せてくるのが強かった。はい。ありがとうございます。
ポストアポカリプス飯モノとして面白かった。