「エリスの聖杯」10年前の処刑の謎紐解く女バディもの

★★★★★,GAノベルファンタジー,女性バディ

あらすじ

「いいこと、コンスタンス・グレイル。お前のこれからの人生をかけて、わたくしの復讐を成功させなさい!」

誠実だけが取り柄の地味な子爵令嬢コニーは、とある夜会で婚約者を奪われ、窃盗の罪まで着せられる絶対絶命の窮地に陥っていた。
しかしそんな彼女の元に、10年前に処刑された希代の悪女、スカーレット・カスティエルの亡霊が現れる!
かつてその類稀なる美貌と、由緒正しき血統と、圧倒的なカリスマでもって社交界の至宝と謳われたスカーレットは、コニーに憑依するや瞬く間に形勢を逆転し、危機を救う。だが、その代償としてコニーが要求されたのは、スカーレットの復讐に協力することだった!?
利害関係から始まった二人のコンビは、貴族社会に潜む悪意や陰謀を蹴散らすうちに大切な絆で結ばれた真の相棒へと成長し、やがて過去から続く巨大な陰謀と対峙していく……!

面白かったー!! えっここで終わるの!?と思っちゃうぐらいに面白かった!!!
全体的にテンポがよくて読みやすい。えっこの先どうなっちゃうの!?と思うのの連続なんだけど、ちょいちょい軽いツッコミが入ったりもしてするする読める。えーこれすごい面白い。

純朴でお人好しな令嬢と、気の強くてツンデレで気の強い令嬢のデコボコバディ、読んでて超楽しい!!

 

なんてったってスカーレットの性格が最高に良い。良い人という方向の良いじゃなくて、お前いい性格してんじゃねえか……!のほうの良い。
強気で、性悪で、気位が高く、頭の回転が早く、記憶力が良い。そんな彼女が、お人好しで『誠実』が家訓のような貴族の少女・コニーとバディを組んで、スカーレットが処刑された理由を探っていく。

スカーレットに言われるがままあっちに走ったりこっちに走ったりしているコニー、最初のうちは拒否するだけの勇気がないのかなとも思ったんだけど、中盤に出てくるその理由で、ああこの子本当に良い子だな……とも思ったし、この子好きだなとも思えた。
嘘ついて礼拝堂に入り込むシーンあたりだと、巻き込まれキャラかな? と思ってたんだけどね。
スカーレットもコニーがそんな性格だからこそ次第にほだされていくのだと思うのだけれども。いやほんと可愛い。
仮面舞踏会の会場で、自分が捕まるかもしれないとわかっていながらも倒れた女性を助けようと懸命になるコニーのお人好しさと誠実さよ。コニーは自分は正しく誠実ではないのではないかと思っているけれど、彼女は間違いなく誠実だと思う。

コニーのピンチにスカーレットが出てきて啖呵を切って挑発をして、そしてコニーに引き継がれて彼女が震えながらも自分の意見を伝える。
このコンビ、ほんと良い。
終盤でボリス夫人のお茶会に呼ばれたあたりの流れに、ああこれ序盤のコニーじゃ絶対に言えなかったなと成長に嬉しくなっちゃったよ。いやコニー本当に可愛い、愛せる主人公。

出てくる人間、誰も彼もが腹に一物ありそうな人ばっかりで、読んでる途中でお前もかよwとなりかける。
いやほんと王妃……王妃めっちゃ怖いんですけど? スカーレットから言われている、あまり人がよくなさそうな事前情報も相まって(スカーレットはそもそも他人をほとんど褒めないけれども)この人絶対やべえ人だ!と警戒してしまう。
現状あまり王妃のヤバさが出ていないけれどもこれは2巻以降で出るってことでいいのかな。

 

登場人物はすごく多いし頭が混乱しがちなんだけど、章終わりあたりにちょいちょい現時点での登場人物紹介が入ってきてくれてありがたい。これ誰目線?
なにか新規情報があると←new!って書かれてるのに笑っちゃった。これ全然キャラクターへ優しくなくて逆にすごいし面白い。

 

面白かったから最後まで追いかけたい。デコボココンビ、超良い。
スカーレットを陥れた人間で当てはまりそうな人が無限にいるのが怖い。絶対恨み買いまくってるでしょスカーレット。

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