この作者さんの本って他にも何冊か読んでるけど、絶対に主人公に甘い世界で、すごくひどい!と思うようなイベントがあんまり起きないので安心して読める印象がある。
ということで、これも違わず主人公に甘く、安心できるご都合主義の強い世界で主人公が溺愛されつつ勘違いで頑張るお話。
溺愛系そんな好きじゃないけど読んだ理由として、あらすじに入っている『夫になったウィロウ王子をだましているのが申し訳なさすぎて、ついつい、ウィロウが寝ている横で、こっそり懺悔してしまう日々がつづく。』の一文がある。
このシチュエーション大好きなんだよね、本人は聞いてないと思って惚気のような相手について思っているあれこれを言ってしまうやつ。最近読んだ分だとこれ。

「竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事」本人が目の前にいるとは気付かないままに惚気けるのは最高
このシーンがあるだけで圧倒的に感想が甘くなってしまう。この部分、最高だった。
半ば騙して結婚したせいで罪悪感があり、今までやっていたノートに書き付けて発散することもできないため、罪悪感を持つ相手である旦那が寝てからその耳元で延々と懺悔という名のほぼ惚気を語り続ける主人公。
そして、騙されているのを知っていながら黙っていて、なおかつ狸寝入りをしながら懺悔(惚気)を聞き、自分の花嫁可愛い……!と内心身悶えている旦那。
こういうシチュエーション大好きなので、読んでいて最高!とテンションがだだ上がってしまった。
ただ、主人公は普段から好意ダダ漏れで全然隠せていないので、特にギャップがあるとか褒められて嬉しいとかではなく、ただ可愛いポイントが積み重なっただけなのが勿体ない……。ただポンコツ可愛い子がポンコツ可愛いことをしているだけだった。
とはいえ、自分の花嫁可愛い!しながらも狸寝入りをし続けなければならない旦那は最高。可愛い。
話自体は、主人公が身代わりをしているのは早々のうちにバレてしまうし、彼女が頑張って毒女を演じようとしているも全然できていない根は善人なのは速攻でバレてしまっているし、みんなは微笑ましく眺めているだけで良いねえ良いねえってしているだけなので、秘密がバレたらどうしようのドキドキ感もなくただの溺愛ものだった。
毒婦が妻になるなんてと反対するような勢力もほぼ出て来ないし毒婦と言われた姉自体も妹にはあまいただの良い人で、敵といえるような敵はほぼなし。
単純に溺愛ものを読んでいるだけという感覚で、そこまで面白いというわけじゃなかった。
ただ、この作家さん特有の『絶対にひどい目に合わない、勘違いが強めで、感情が一方通行だと思っているのは片方ぐらいで溺愛されていて絶対に安心して読めるラブコメ』というのを求めているならぴったりの本だった。
そういう絶対に安心して読めるものが読みたいときってあるよね。