「呪いの王は魔女を拒む」ヒロインのメンタルの強さで良い感じのカラッと感

★★★★☆

あらすじ

認めない。俺がお前を愛しているなど――。

田舎貴族の娘ララローズは、ある日突然、無実の罪で投獄されてしまう。
そこに現れたのは、以前、旅先で出会い、名も知らぬまま淡い恋心を抱いた美貌の男。
なんと彼は、国王ジェラルドであると言う。
さらには、ララローズの曾祖母に呪いをかけられていると告げてきた。
初めて耳にする話に驚き戸惑うララローズ。
だがそんな彼女をよそに、ジェラルドは旅先での紳士的な態度から一変、冷酷な支配者の目で、解呪のためにその身を差し出せと命じてきて――!?

魔女の呪いを受け継ぐ国王×おせっかいな魔女の子孫、呪いがつなぐ恋の行方は――!?

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久々にTL読みたいなと思ってソーニャ文庫の新刊漁ったら設定が好きそうだったので買ってみた。
実際こういうタイプの話好き! という傾向のお話だった。

ヒロインの曾祖母がヒーローの一族に呪いをかけたせいでヒロインが強制的に性行為させられる、というあらすじかつ物語なんだけど、互いにそこそこ恋愛感情じみたものを相手に持っているため、無理矢理感が薄いんだよね。なので性的加害! とあまり騒がずに読めたのもあるかも。
あとがきを読む限り『被害者と加害者』という関係であり、故にヒロインは罪滅ぼしのためにヒーローに体を許すということにはなってるんだけど、実際読んでるとヒロインも加害者というより完全に被害者。少なくとも彼女自身は何もヒーローへの加害はしてない。
でも好きな相手としているという部分もあり、彼女の正義感的にヒーローを見過ごせないだろうなという部分もあり、彼女の割り切りもありと諸々合わさって読んでてそのあたり清々しさすらあった。

そのヒロイン、結構というかかなり図太いんだよな。彼女のメンタルの強さがあるから読んでて楽しかったところもあるかも。

これから犯されるぞと連れてこられても飯を食って爆睡(これはよくいるタイプかもしれん)、翌朝腰が立たなくなったので仕方がないから匍匐前進で進むぜ!と気合を入れる、他も諸々。

「これから、陛下は私をどうするつもりです? てっきりお役御免になって白を追い出されるのかと思っていましたが」
「残念だったな、役目は続行だ。お前にはそうだな、俺の奴隷にでもなってもらおうか」
「奴隷? この国に奴隷制度はないのでは……」
 奴隷制度が続いている国もあるときくが、ヴェスピアス国にはそのような制度はない。最低限の人権は国が保障している。
 恐恐とジェラルドの答えを待つ。
 彼の機嫌次第で自分の処遇が決まると思うと、心臓が落ち着かない。
「ちっ、知っていたか。まあいい。お前は俺の次女として身の回りの世話をしろ。要は世話係だ」

ナイスツッコミ。この状況下でこの突っ込みいれられる胆力すごいよ。
自分を閉じ込めている男にこのテンションを続けられるヒロイン、メンタルが強い。ヒーロー側も閉じ込めているとはいえそこまで高圧的になりすぎずな部分があるのはそうなんだけど、お前のメンタルがつえーよ。

前述の通り、ヒロインは加害者の子孫ではあるが実質的な加害者ではない。
だからお前が頑張らなくてもいいんじゃないの、という突っ込みは、彼女のうっすらとした恋心とお人好しさで叩き潰され、ああ好きだし気になってるならしょうがないな……と思わせてしまう。
このヒロイン、めっちゃ好き。

また、私は『終盤(小説7割過ぎた頃)にヒロインが何らかの理由で捕まり殴られるなり性的にひどい目にあうなりのギリギリのところでヒーローが現れ助けてくれる』というシーンが正直そろそろ食傷気味で、出てきたらもういいわ! しつこいわ! というタイプなんだけど、この本まさかの逆があった。
クスリで動けなくさせられたヒーロー! 女に犯されそうになる! そこに現れ助けるヒロイン!
好き。このシチュ好き。ここで襲われる性別が逆になるとなんか面白くなっちゃうもんなんだな……。

めっちゃツボなところの多い本だった。

読んでて思ったんだけど、エロシーンってどうしてもそこで話の流れが止まるね。
性行為も戦闘シーンもだけど、そこまで続いていた物語の流れが一旦止まり、感情の変化や物語の進みというのを一旦犠牲にして性行為なり戦闘なりを行うことになる。
なのでエロシーンが入ると物語が止まった感が強いなと思った。

そして、曾祖母のかけた呪いに関して調べるシーン。
ここ、尺的に難しいんだろうけれど、全部祖母との会話で終わっちゃったの勿体ないっちゃ勿体ないな。ここをあっちで調べてこっちで調べてしてほしかったかも。主人公ならそのぐらい出来るだけの強さがあるし、調べている先でまた何か厄介事に出会ってそっちの対処をして……というあれこれが発生しそう。だからこそ削って会話だけになったのかもとも想像できるけれど。
各地で曾祖母について知っている人に話を聞いて、調べて、最終的に陛下の知り合いの魔術師のところにたどり着いて、そのどこかしらでトラブルの手助けに巻き込まれて、ヒロインを追いかける陛下の使いはずっと一歩遅れで追いつかず、っていうのが目に浮かぶようだ。

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