配信視聴「舞台 鋼の錬金術師」正しく『原作再現』を優先した舞台
大阪楽を配信で見たので感想。一色エド・蒼木マスタング。
ざっくりというのならば、正しく原作再現を優先した舞台だった。
見た人
- 原作は完結時に既読
- 記憶が強いアニメは03年放送水島鋼
- ハガモバは序盤やってプレイ時間が長くて飽きた(ゲーム自体があまり得意じゃない)
- 実写映画は1のみ見た(そのうち2と3も見たい)
感想
原作再現度の高い舞台
すっごい原作再現気合い入れてたなーという印象が凄かった。
特筆すべきは誰もが言うだろうアームストロング少佐。吉田メタルさん演じるアームストロング少佐がもう! 本当に! 原作から出てきたんですかってぐらいそのまんまだった。
ビジュアルの強さがなによりすごいんだけど、動きが完全に少佐。
上着を舞台中に謎にばっと脱ぐ、突然筋トレを始めるなど、あーこれ少佐だわ! 少佐だ! という演技が多くてめちゃくちゃに面白かった。実際に生身の人間が演じている状態で見るとこうなるんだな。
実写映画の1でも相当これはアームストロング少佐!!! となったけれども、こっちもこっちであまりにアームストロング少佐すぎて笑ってしまった。もうめっちゃアームストロング少佐じゃん。
こういった箇所以外にも、一色エドが機械鎧直ったときに飛び跳ねてバク転する仕草なんかもエドがやりそう!と思えるし、そういった細々とした描写がものすごく良かった。
キャストによるキャラ再現力が本当に高い。みんないる。これいる。現実にいる。
原作再現を優先しすぎた物語
割とこれは話題になってたので知ってる人もいると思うけれども、実写映画の1は相当話を変えていた。前半はそのままにしつつ、中盤~終盤はラストをラスボスにして物語を作っていた。そのためラストが最後に死ぬ。
対してこの舞台は、最初の事件である新興宗教部分は飛ばしているものの、トレインジャックから始まって、ニーナ、スカーとの戦闘、雨の日は無能、イシュヴァール内乱について、マルコーさん、第五研究所と原作の要点となる要素をしっかりと拾った上でラッシュバレーで物語を終わらせる。
すごく丁寧に作られているし、原作の印象的なエピソードを拾ってるのはすごくわかったんだけれども、舞台として1本で見た時の盛り上がりが無い。
この舞台は何の話ですかと言われたときに、錬金術師であるエドとアルの話であって、それ以上が何も言えない。
例えば兄弟の絆の話というのならば最後をウィンリィメインのエピソードであるラッシュバレーにする必要が無い。兄弟が体を取り戻すための話にするならば、オリジナルのラストをくっつけてでももうちょっとケツの座りを良くしてほしかった。
ラッシュバレーの回は、錬金術では人間を一人作るのはとても大変だが、妊娠出産という自然の摂理ならば大変だが文字通り生み出す事ができるという、原作の全体で見ればすごく大事な回だ。でもこの舞台ではそこまで人間一人作るの大変だねー部分を強めにやってないので、これをラストに持って来られても感ある。一応第五研究所のアルが作られた存在じゃないか?との流れなのはわかるけど、それでも微妙にちぐはぐだよ。
1本の舞台として見たときに敵は誰か、解決したい物事はなにか、結局解決されたかの全てにおいて、いやよくわかんないっすね……としか言いようがない舞台だった。
原作再現としてはすごく良かった。キャストもすごく良かったし、話も大幅にオリジナルストーリー突っ込んだりして変更したりもしていない。原作を再現していた。
でも原作再現に寄りすぎて、これどういう物語の舞台?って状態になってた。
一部のなろう小説の書籍化みたいなんだよな。起承承承承承俺たちの戦いはこれからだ! なろうの書籍化は、インターネット上にある長くて場合によっては完結してない物語の一部を切り取り、場合によっては修正して1冊の本にする。当然もとの流れがある以上、盛り上がりの位置が書籍化した場合に終盤6割7割の位置に来るとは限らず、ひどいと1巻のうちには含まれないこともよくある。
それと同じで1本の舞台のうちに事件と山場と解決が無い物語になってた。
個人的には、映像部分に突っ込みどころはあるけれども物語としては完結を見せていた実写映画のほうが話としては好きなまである。
などと思いながら、ドラマの警視庁アウトサイダーの原作改変ぷりを眺めていた。
円盤おめでとう!!
珍しいね!? めでたい!!
もともとは廣野エド和田大佐の組み合わせで円盤化、一色エド蒼木大佐はダイジェスト版の予定だったのが、Twitterや色んなところで声が上がったのか両方収録に変更になった。めでたい。
自分の見たかった舞台がWキャストのうち見たかった方は映像化されてないなどというのがあるのでこういうのは一回決まったらそういうもんだと思ってたけど、声を挙げたら変わるんだな。すげー。めでたい。