「両親が離婚したら、女社長になった幼馴染お姉ちゃんとの同棲が始まりました」ヒロインが金遣い荒いやべえ女にしか思えなかった
あらすじ
お姉ちゃんと幸せになろう？
この春、両親が離婚した。そんな僕の前に現れたのは、昔隣に住んでいたお姉ちゃん――愛音。
しかも今は社長をしていて、一緒に暮らして僕を養ってくれるって！？
昔のことは詳しく覚えていないけれども、仲良くしていたお姉ちゃんと暮らすのはありがたい……んだけど、大人になったお姉ちゃんと一つ屋根の下ってマズくない！？ もちろん、何かするつもりはないけれど……。
一緒に暮らしている内に見えてくる、お姉ちゃんの知らないところ。
急に始まった同棲生活、いったいこれからどうなってしまうんだろうか！？
ヒロインが好みじゃないラブコメは面白くないんだよなーというのを改めて感じた。というか全体的に平成のテンプレかな？っていう部分が多くて発行が2010年以前かと思ったら2022年だったことに一番驚いたかもしれない。
話の流れとしては幼い頃遊んだ10歳年上の幼馴染お姉ちゃんと同居して溺愛されてイチャイチャ甘ラブコメなんだろうけれども、割とこう……10歳年下にめっっっちゃ恋愛感情抱いている年上お姉ちゃんがヤバい人なんだよな……というところから始まって、ツッコミどころが多かった。
年上ヒロインだったら個人的にはどうしても包容力や年上ならではの小悪魔っぽさを期待してしまったんだけど、ヒロインそういうの全く無かった。
むしろ日常としてはポンコツ加減のほうが目立って、片付けできない、料理もできなくて手料理食べさせると言って高級料理店から宅配してもらって自分が作ったように見せかける、洗濯できなくて下着を1週間溜め込むなどなど。部屋に洗ってない下着溜め込むっていうあたりで衛生的に有り得なすぎて結構引いた。
物語的にやりたいこととしては、「10歳年上のしごでき幼馴染お姉ちゃんが僕を溺愛してくれて僕の前でだけポンコツ」なんだと思うんだけど、ポンコツ部分のほうが目立ってしまっているために、ただのいい年して家事もできない洗濯もできないダメ女にしか思えなかった。家事ができないのはバリキャリ女社長だから金でどうにかしてるとは思えるんだけど、下着すらろくにあらえないし替えがあるから大丈夫っていうのは引くよ……。
逆にあるものはといえば金で、主人公への溺愛方向が基本的に金。欲しかったらジェット機だって買ってあげられるよ！とか、リムジン乗ってみたいと言ったらレンタルするとか、デートで主人公の服なんでも買ってあげるとか。そのせいで金にものを言わせて主人公を囲い込もうとする金遣いの荒いやべえ年上の女にしか思えなかった。
これでポンコツ部分とのギャップとして社長業を格好良く見せてくれたらいいんだけど、出てくるシーンは学生時代からの友人でもある秘書とだべってるシーンばかり。社長としての格好良さがわからないので、主人公の前ではポンコツ！と言われても常時ポンコツの金しかないヤバい人だよと認識してしまう。
終盤、主人公友人の母を正社員として自社にスカウトするシーンがあるっちゃあるんだけど、でもそれも友人母が仕事ができるからとかではなく、家族と一緒に晩ごはんを食べたいだろうからという感情部分であり、仕事が出来るという描写ではないんだよなー。このシーンがあったせいで仕事関連でも感情優先でやべえ人なんだろうなという印象がついてしまった。
しかも多分社長同士の付き合いも薄そうなんだよね。
途中で『25歳で独身の可哀想な女（と友人に言われた）』と不安がって見せるシーンがあるけれども、生涯未婚率が2割近くなり結婚中央値ですら27の現代、半数以上が結婚していない年齢で「その年で独身が可哀想」を真に受けるのはない。バリキャリならなおさら結婚しない人のほうが多い。
もし真に受けたとしても、社長だったら付き合いで他の社長とあれこれ会話したらこの年齢で既婚者は少ないとわかるだろうに、それもない。
この25歳云々、なんか完全に雑に創作でそういうモノ見たからやってるって感じ。作者がそう思ってるとか調べてるとかじゃなくて以前見たものをそのまま出力してんのかなって思っちゃった。
これ以外も平成のベタか？って部分が多くて、金髪だけれども実は地毛、妹二人を大事にしている勤労学生な主人公の友人だとか、その友人と主人公のカップリングを本人に聞こえるように話しちゃうクラスメイトだとか、ネタ的に昔のベタの特盛って感じだった。
主人公が魅力的だったらまだ面白いんだけど、主人公は逆に特徴が薄すぎてこれという良いところがわからないし。なんだこれ。
主人公が親にろくに連絡してないので未成年者略取誘拐罪なのかなとかは頭を過ぎった。合わないがためにツッコミどころばかり目についた話だった。