「彼女を奪ったイケメン美少女がなぜか俺まで狙ってくる (電撃文庫)福田 週人」どの面下げて主人公に恋愛的に迫ってんの?
あらすじ
「やっほー、彼氏クン見てるー?」
佐久原颯太、高校一年生。初めてできた彼女は『彼女』に奪われました。
ヤツは水嶋静乃。ボーイッシュな顔立ちと高身長で「彼氏にしたい」美少女No.1。けど、なぜか俺にだけは飄々とした態度でからかってくる、憎き恋敵だ。それなのに……
「本当の狙いはキミだよ、颯太。私と付き合ってよ」
こ、こいつ、いきなり壁ドンしてきやがった! しかも「お試しで付き合う一か月間で私を好きにさせてあげる」なんて言いだしてきて……。俺は絶対お前なんかに落とされないからな!
イケメン美少女に毎日くどかれる、一方通行ラブコメ!
読んでてひたすら「どの面下げて……?」と思ってたし、主人公に対しても「お前一体どんな勘定でデートしてんの?」と思ってしまった。ヒロイン・主人公ともに感情が理解できないし何考えてんだこいつらと思ってしまう。本当に何を考えて……?
彼女を寝取ったイケメン美少女に狙われて、好感を持つ理由がない
これ、読んだ限り元カノは主人公が自分にあんまりグイグイ来ないから、気持ちを確かめるためにはどうしたら良いだろうとイケメン美少女に相談した結果、二人は別れて彼女とイケメン美少女が付き合っているということにする、その状態で彼女にところに復縁申し込みしてこなかったらそういうことじゃない?orその状態でイケメン美少女がグイグイ行っても主人公がぐらつかなかったら主人公は本気で彼女が好きだよ!ということのどちらかだとは思うんだよ。
でも、そもそも自分の彼女を奪った相手になびくと思われている主人公、相当やばくない? めちゃくちゃ軽んじられてない? 彼氏のこと信じてなさすぎじゃない? と思ってしまう。
イケメン美少女側も結構本気で主人公のことが好きでグイグイ行っているっぽいあたりが更に関係性のヤバさに拍車をかけているけれども。それ、彼女とイケメン美少女の間の友情めちゃくちゃじゃん。
イケメン美少女自体、彼女を奪った(ほぼ確定で嘘)のにどの面下げて主人公を狙ってるんだ。大丈夫か? 普通に考えてその立場の人間に普通の人間は堕ちないし、落ちるとしたら相当やべーやつだから絶対に避けた方が良い。人としてやばい。
とはいえ主人公も主人公でよくわかんないんだよな……。
元カノが幸せになってほしいと思っている。現在彼女と付き合っているはずのイケメン美少女が自分とデートしてることについて、彼女はいいのかと問う。けどそれだけなんだよね。こんな半ば浮気されてる彼女が不幸じゃないのかとか、もっと彼女とちゃんと向き合えとか、彼女の元彼に手を出すのはどうかしているとか、そういう倫理的なことは何も考えていない。イケメン美少女はおっぱいデカいぐらいしか考えてない。
元カノに話題が飛ぶと彼女の幸せを大事にしているような発言をたまにちらっとするけれども、イケメン美少女といるときにそういう思考はまるで出てこないし、彼女とのデートもそれなりに楽しんでやってるしベタすぎるエピソード(ナンパ男に絡まれているのを助ける、デート終盤で襲われているのを助けるなど)もこなしているので、こいつなんなの?と思ってしまう。
元カノの幸せを考えるならばイケメン美少女が自分という異性とデートしたり、ウエディングドレスのイケメン美少女とタキシード姿の自分が写真を取るなんて避けたほうがいいとわかる。自分と一緒に過ごす時間を彼女と過ごしてやれよと考えるだろう。
なのにそういうのなしにひたすらイケメン美少女と楽しく過ごしているので「結局お前なんなの?」という感想しか出てこない。
物語が全部匂わせだけで進み、結局なんなの?という感想しか持てなかった。1冊かけた盛大な序章でしかなかった。